お知らせ

2019.11.8

第回『倪陜はひずりがっち』䞖間を隒然ずさせた珟圹䞭孊生䜜家、高校生になっお初の曞き䞋ろし小説早くも倧評刀 党回連茉

この蚘事は掲茉から10か月が経過しおいたす。蚘事䞭の発売日、むベント日皋等には十分ご泚意ください。

第回『倪陜はひずりがっち』䞖間を隒然ずさせた珟圹䞭孊生䜜家、高校生になっお初の曞き䞋ろし小説早くも倧評刀 党回連茉

第回『倪陜はひずりがっち』

 䜐知子の郚屋は八畳ぐらいありそうな掋間だった。勉匷机ずガラステヌブル、本棚、掋ダンス、ベッドには、いかにも䞊質そうな花柄の掛け垃団が茉っおいる。

 ã€Œã“れも、綺麗」

 ã€Œã‚あ、ロヌラアシュレむ。お母さんの趣味なんだけど」

 ロヌラずいうからには、倖囜の女の人なのだろう。垃団屋の屋号ではなさそうだ。ふかふかしおいお、芋るからに軜そうだ。間違いなく矜根垃団だろう。今うちで䜿っおいる綿垃団を思い出す。アパヌトに越しおきた際、倧家さんにもらったず聞いおいる。元は客甚だったものを、もう䜿う人もいないので私たちにくれたらしいが、どぎ぀い赀地に極圩色の牡䞹ず鶎が描かれた花魁の着物みたいなド掟手な柄で、悪倢にうなされそうな垃団だった。それはカバヌを掛けるこずでなんずかなったが、これが䜕しろ重い。寝返りも容易にしづらいくらいに重い。

 お母さんは「このくらいの重さがあったほうがいいんだよ。ふわふわ軜かったら毎朝はだけお、颚邪ばっかりひいずるわ」ず蚀うが、重い垃団のほうが䜓に良くない気がする。敷き垃団に至っおは、せんべいを通り越しお、硬さも薄さももう、のしむカだ。お母さんにそのこずを蚀うず「硬いほうが腰のためにはいいんだっおよ。それに砂利道の䞊に寝るこずを思えば、極楜だ」ず返す。砂利道に寝るずいうのは䞀䜓いかなる状況を想定しおいるのかわからないが、い぀もこうやっお最䜎のラむンを持っおこられるので䜕も蚀えなくなるのだ。しかしロヌラアシュレむず、のしむカだったら、誰だっお迷わずロヌラを遞ぶだろう。

 ã€ŒçŽ…èŒ¶ã€æ·¹ã‚ŒãŸã‚ˆã€

 䜐知子が銀補のティヌスプヌンを添えお勧めおくれる。

 ã€Œç ‚糖もあるけど、これもあるよ」

 陶磁噚の壺を開けるず、赀玫色の぀や぀やしたゞャムらしきものが入っおいる。

 ã€Œãƒãƒ©ã®ã‚žãƒ£ãƒ ã ã‚ˆã€

 ã€Œãƒãƒ©ïŒŸã€

 ã€Œåº­ã«å’²ã„おるの摘んで私が䜜ったんだけど、無蟲薬だから倧䞈倫だよ」

 ã€Œãƒãƒ©ã‹ã‚‰ã‚žãƒ£ãƒ ãŒã§ãã‚‹ãªã‚“お知らなかった」

 ã€Œã»ã‚“のりバラの銙りがしお矎味しいよ。玅茶に入れおもいいし、そのたた舐めおもいいの。あずでレシピあげるよ」

 うん、ず返事をしおみたものの、うちにバラはない。倧家さんずこにキンセンカはあるけれども。バラのゞャムをスプヌンですくっお舐めおみるず、確かにバラの銙りがしお矎味しい。色も綺麗だ。自分で持っおきたクッキヌにも手を䌞ばす。良かった、シケっおいない。普通に食べられる。

 ふず掋ダンスの䞊の写真立おに目が止たる。さっき芋たピアノの䞊に食っおあった写真ず同じかず思ったが、どこかが埮劙に違う。ピアノの䞊の家族写真は䞡芪ず効だけで、䜐知子はいなかった。今目にしおいる写真には、䜐知子が写っおいる。䞡芪のスヌツず背景の色が同じだから、おそらく同じ日に写真通で撮ったものだろう。䜐知子も効もそれぞれこの春、䞭孊ず小孊校ぞ入孊した。その蚘念で撮ったのだずしたら、ピアノの䞊の写真はなぜ䞉人だったのだろう。

 ã€Œãã‚Œã¯ã†ã¡ç”šã®ã‚„぀だから」

 私の疑問を察したかのように、䜐知子が答える。

 ã€Œãƒ”アノの䞊にあったのは、祖父母甚のなの」

 蚀っおいるこずが理解できない。

 ã€Œã†ã¡ã­ã€ãŠæ¯ã•んが再婚したんだわ、今のお父さんず。私は連れ子っおいうや぀ね。で、生たれたのが効。異父姉効なのね。だからお父さんず私には、血の぀ながりがなくお、圓然その芪、祖父母にもないわけ。だからこのふたりにあげる写真は䞉人だけなの。私を陀いた」

 ã€Œãˆã€ãã‚Œã©ã†ã„う」

 ã€Œåˆ¥ã«ãã†ã—おくれっお蚀われたわけじゃないけど、向こうはそのほうが喜ぶから。今日も䞉人で祖父の家に行っおるの。䞀応私も声かけられたけど『宿題があるからいい』っお蚀ったら、お父さんもお母さんも、䞀瞬だけどほっずした衚情になったの。自分でも気が぀いおないかもしれないけど、『助かった』っお顔すんの。私がそう蚀えば、心が軜くなるみたい。でもどうせ私が行っおも、やな思いするだけだからいいんだけどさ。私だけ異分子だからね。ずっず居心地の悪さが぀きたずっお、お母さんにも䜙蚈な気、䜿わせるし。だったら家にひずりでいるほうがよっぜどいいやっお」

 ã€Œãã®ã€ãŠã˜ã„さんずおばあさんに、なんか意地悪ずかされるの」

 ã€Œéœ²éªšã§ã¯ãªã„んだけど、やっぱり蚀葉の端々や態床にそういうのは出るよ。ちょっずした時にね。たずえば倖食に行っお私が䜕でも食べるず、祖父が『奜き嫌いないんだね。偉いね。うちは偏食の血筋だから』ずか、私が巊利きなのを芋お祖母が『あら、巊利きなのね。うちの芪戚には誰もいないわ。たあいたずしおも、小さいうちに盎させおるず思うけど、うちなら』っお。そのあずで取っお぀けたみたいに『でも巊利き、スポヌツなんかするにはいいんですっおね』っお蚀うけど、党然フォロヌになっおないっ぀ヌの」

 ã€Œãã‚Œã£ãŠã€ã²ã©ããªã„」

 ã€Œã†ãƒŒã‚“、そもそもうちのお母さんず結婚するこずに倧反察だったみたいで。歳䞊で離婚歎があっお子䟛もいお。でももうその時は効がお腹にいたから、認めざるを埗なかったみたいで。今のお父さん、ひずりっ子だから、効は埅望の孫なの。もう可愛くお可愛くお仕方ないみたい。で、お父さんの実家、結構な資産家なんだよね。貞しビルずかマンションずか䞍動産たくさん持っおお、䌚瀟をしおるの。お父さんもそこで働いおる。効、里䟝玗っお蚀うんだけど、祖父ず祖母は、『ゆくゆくは党郚りぃちゃんのものだからね』ずか蚀っおるんだ」

 ã€Œãã‚“なのっおありえるの」

 ã€Œä»•方がないよ。あの人たちにずっお私は赀の他人だし」

 ã€Œã§ã‚‚、お母さんは 䜐知子のお母さんは䜕お蚀っおるの」

 ã€ŒãŠæ¯ã•んは、この家の人間になるこずに必死なの。私のこず考えおくれおいないこずもないんだろうけど、今日だっお私が家にいるっお蚀ったら『そうね。䞭孊生になれば、宿題ずか難しくなるだろうし、忙しいもんね。そうね、䜐知子は家にいたほうがいいわよね』っお。そう口に出しお蚀うこずで自分の眪の意識を薄めおるみたい。効が私立の小孊校に行っおるのだっお、祖父がお金を出しおるからだよ。そんなこず私だっお知っおるのに、お母さんは『りぃちゃんは、奜き嫌いが倚いから、絊食が食べられないの。だからお匁圓の私立に通わせるこずにしたのよ。䜐知子は奜き嫌いがないから、公立に行けお良かったわ』なんお蚀うの。なんかずれおおさ。私が欲しいのはそんな蚀葉じゃない。䞖間䜓のいい口実でも、自分を玍埗させるための郜合のいい蚀い蚳でもない」

 䜐知子が写真立おに手を䌞ばす。

 ã€Œãƒ”アノの䞊にあった写真が、この家の本圓の家族。私はいらないピヌスなの。家族のパズルにはたらない、䜙蚈なピヌスなの。この家に私の居堎所はないの」

 ã€Œãã‚“な」

 ã€Œæœ¬åœ“のこずだよ。この家には私はいらない子なの」

 ã€ŒãŠçˆ¶ã•んは 本圓のお父さんはどうしおるの」

 ã€Œã•あ、私が赀ちゃんの頃、離婚しちゃったからほずんど芚えおないんだ」

 ã€Œã†ã¡ãšåŒã˜ã ã€‚うちもお父さんいないから」

 ã€ŒçŸ¥ã£ãŠã‚‹ã€‚だからっおわけじゃないけど、この子なら仲良くなれる、私の話聞いおくれるなっお思ったから、声かけたんだ」

 ã€Œãã†ã ã£ãŸã®ã€‚䜐知子は、本圓のお父さんに䌚いたいず思う」

 蚀いながら、そういえば小孊校の頃、優銙ちゃんずいう女の子も䌌たような家庭環境で、優銙ちゃんの本圓のお父さんに䌚う時、䞀緒に぀いお行ったこずを思い出す。

 類は友を呌ぶずいうのか、なぜだか私はこういう子ず瞁があるようだ。

 ã€Œã†ãƒŒã‚“、どうだろ。なんかあんたりいい噂聞かないし。定職に就いおいなかったずかさ。でも私の名前、䜐知子はお父さんが぀けたんだっお。今時、子が぀く名前もどうかず思うけど、䜐知子っお、普通に幞せな子で、スタンダヌドな幞子でいいのに、䜐知子っお䜕 䜐なんお、䜐藀の䜐以倖で芋たこずある 䜐藀の䜐を知る子っお、䜕だよヌっお思っお。䜕でこの名前を぀けたのか、それは知りたい。聞いおみたい。ただそれだけ」

 思いがけない告癜に、うたい蚀葉が芋぀からない。こんな立掟な家に自分の郚屋があるのに居堎所がないなんお。

 ã€Œã ã‹ã‚‰æ—©ãã“の家出たくお。本圓は今すぐにだっお出たい。あの家からもらったお金で生掻しおいるず思うず、䞀分䞀秒でも早く出たい。それでお金を沢山皌いで、あの家よりお金持ちになりたい」

 ã€Œã‚、そこも同じ。私もお金持ちになりたい」

 ã€Œã§ã—ょ。䜕か花ちゃんには私ず同じ匂いを感じたの」

 ã€Œãã€ãã†ïŒŸã€

 そんな、ほかの人にわかるほど、私は金に飢えた匂いを発しおいるのだろうか

 ã€Œãã‚Œã§ã­ã€ç§ã¯èµ·æ¥­ã—たいの。あの家がやっおいる䌚瀟より倧きな事業をやっお、あの家よりお金持ちになりたいんだ」

 䜐知子が蚀う「あの家」ずは、祖父母の家のこずだろう。

 ã€Œã©ã†ã„うこずで起業したいの」

 ã€Œã ã‹ã‚‰ãã“なのよ」

 改めお向き盎っお蚀う。

 ã€Œä»Šã€å­Šç”Ÿã§ã‚‚起業しお成功しおる人いるじゃない 䞭には䞭高生もいるんだよ。もし䞭孊生でも利益が出たら、卒業埌この家を出られる。ひずりでやっおいける」

 ã€Œãˆã€é«˜æ ¡ã¯ïŒŸã€

 ã€Œå¯®ãŒã‚るずこもあるし、自分で皌いでたら、ひずり暮らししおそこから通えばいいし。お互いそのほうがいいず思うんだよね」

 お互い、ずは今の家族ず、っおこずだろう。

 ã€Œã“の家から独立する時は、自分のお金で堂々ず胞を匵っお出おいきたいんだ。誰にも䜕にも蚀わせない。でもね、じゃあ具䜓的に䜕をしたらいいかっお、党然思い぀かないんだよね。それでこの前、若くしお資産家になった人の自叙䌝読んだら、その人、小孊生の時から株やっお資金䜜ったんだっお。その株に投資するお金は芪からもらったんだっお。高校卒業たでのお小遣い前借りしお。でも私の堎合、それは絶察やりたくないの。ここの家からは䞀円ももらいたくない」

 ã€Œã§ã‚‚、そしたらどうやっお起業資金を甚意するの」

 ã€Œãã“なのよ。だからそこを考えお欲しいのよ、花ちゃんに」

 ã€Œãˆã€ç§ã«ïŒŸã€

 ã€Œã ã£ãŠèŠ±ã¡ã‚ƒã‚“ã€é ­ã„ã„ã—ã€ã„ã‚ã„ã‚ã‚ˆãçŸ¥ã£ãŠã„ã‚‹ã—ã€

 ã€Œãˆãˆã£ã€ã¡ã‚‡ã£ãšã€ãã‚Œã¯ã€

 突然の提案に戞惑っおいる私を拝むようにしお、䜐知子が「お願い」ず繰り返す。

 ã€Œãã†èš€ã‚ã‚ŒãŠã‚‚、私そういうの党然詳しくないし。うヌん、䞭孊生だずバむトもできないし。䜕か売るずか 私はやったこずないけど、ネットずかで」

 ã€Œã‚、それは私も考えた。でも䜕売る 私たちに売れそうなものっお、えっず、䜓操着ずか制服ずか」

 ã€Œãã€ãã‚Œã¯ãƒžã‚ºã‚€ã‚ˆã€‚ビゞネスっおや぀でしょ。起業する前に捕たっちゃうよ。いや、捕たりはしないか。別に犯眪ではないか。でもそれはマズむよ。それに制服売ったりしたら、私、四䞭の制服着るこずになっちゃう。いや、四䞭の制服なら売っおいいか、いやダメか」

 ã€Œã‚“ どゆこず」

 ã€Œã„や、こっちの話。ずにかくそれはダメ」

 ã€Œã‚„っぱ、そっか。じゃあ、ほかに私たちにできるこずっお」

 ã€Œå®¶åº­ç§‘クラブだから、矊毛フェルトのマスコットずか䜜っお売る」

 ã€Œäœ•かチマチマしおるなぁ」

 党くだ。起業するたで貯めるずなるず、䞀䜓いく぀フェルトマスコットを䜜ればいいのか。気が遠くなりそうだ。瀟䌚で習った『女工哀史』の䞀堎面を思い出す。

 ã€Œãã®ãƒžã‚¹ã‚³ãƒƒãƒˆã§é¡˜ã„が叶ったずか、恋が実ったずか、そういうのがあれば売れるんじゃない スピリチュアル的な」

 ã€Œãã†ã„うの、勝手にしおいいの」

 ã€Œç—…気が治ったずか、痩せたずかいうのだずマズむけど、もっずもやっずした感じなら倧䞈倫なんじゃない 法の盲点突く、っおいうか」

 ã€Œã„や、突きたくないよ。䞀歩螏み倖したら、倧倉なこずになりそうだもん」

 どうにも話が危ないほうに傟いおいく気がしおならない。糖分が欲しくなり、バラのゞャムをスプヌンですくっお舐める。

 ã€Œã‚、じゃあこれは バラのゞャム䜜っお売る。これなら健党っぜいし、倧きな鍋なら䞀床に倧量に䜜っお売れる」

 ã€Œãã‚Œã¯é£Ÿå“è¡›ç”Ÿæ³•ずかに匕っかからない 食べ物を勝手に売るのっお、そっちのほうがマズむ気がする」

 ã€Œãã£ã‹ã€‚食べ物は難しいか。食䞭毒でも起こしたら、資金貯めるどころか、逆に慰謝料ずか賠償金取られそうだもんね」

 ふたり同時にため息を぀く。起業ぞの道は遠い。

 しかしこうしお考え、アむディアを出し、話し合うこずが倧事なのだず䜐知子は蚀う。もうこれだけでも、昚日たでの私たちずは違う。無から前進したのだ、ず。

 そのあずは挫画を読んだり、ゲヌムをしたり、䜐知子が録画しおいたお笑い番組を芋たりしおいたら倕方になり、䜐知子の家族が垰っおくる前に、䜐知子の家をあずにする。

 垰りがけに䜐知子が、庭のバラを「キンセンカのお返しに」ず蚀っお、䜕本もハサミで切っおくれた。

 ã€Œã©ã‚ŒãŒã„い ピンク 赀 黄色いのもあるよ。この癜いのは、むングリッシュロヌズっおいうの」

 躊躇なくバラの枝に次々ハサミを入れる䜐知子に「いいの 怒られない」ず聞くず「党然。今日䞀日しっかり留守番したんだから、このくらいのこず、いくらしたっお構わないよ」ず蚀っお、口を真䞀文字に結んだ。

 倕日を受けたその顔は怒っおいるようにも耐えおいるようにも芋えた。

 䜐知子は色ずりどりのバラの花束を、高玚掋菓子店の厚みのある包装玙に包み、自転車の前かごに入れおくれた。

 たくさんあるから、倧家さんにも分けおあげよう。

 倧家さんにもらったキンセンカのお返しなんだし。

 家に着き、バラを分ける。

 お銎染みのフレヌズ「買えば高いよ」ず、きっずあのふたりは蚀うだろうなあ、ず思ったら、案の定その通りだったのでおかしくなった。

 ã€é€£èŒ‰ç¬¬ïŒ”回に続く】第回、第回、第回、第回、第回

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