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2017.2.9

『音の糸』は"神の意図"。堀江敏幸が言葉を奏でる、初の音楽エッセイ!

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キーワード: 音楽 エッセイ エンタメ

『音の糸』は"神の意図"。堀江敏幸が言葉を奏でる、初の音楽エッセイ!

『デビルマン』の最終回、流れていた音楽は・・・

 

堀江敏幸が言葉を奏でる初の音楽エッセイ!

小学生の時に友人の家で聴いたカラヤンのレコード、

中学校の音楽室で耳を傾けたブラームス、

学校の先生に借りたミュンシュ、日曜朝のFM放送、

故郷でストーヴを焚きながら聴いた

灯油の臭いのするカセットテープ、

大学生になって、抽選で当たって訪れた"はずだった"、

あるピアニストのコンサート・・・。

 

‹‹第一楽章を追いはじめてまもなく、

私は小さな声を上げていた。これか。これだったのか。

悪の世界から送り込まれてきた主人公が、

人間の優しさに触れて改心し、

自分の正体をひた隠しにして古巣と闘う、

永井豪原作のテレビアニメ『デビルマン』放映を、

私は愉しみにしていた。

最終回、デビルマンは想いを寄せていた女の子の前で、

どうしても姿を変えなければならなくなる。

その苦悶の数刻に流れる音楽が、

ブラームスの《交響曲第一番》の

出だしであったということに気づいたのだ››

 

音の記憶の糸をたぐり寄せ、

絡まった糸を一本ずつ解きほぐしていくと、

そこには何が見えてきたのであろうか――。

50篇で綴る、音楽と記憶の断片。

 

‹‹音の糸は音の意図。場合によっては神の意図にもなる。

翻弄されるのはつねにこちらのほうであって、

だからこそ音楽との一対一の関係に適度な緊張が生まれてくる。

どんなに細く、どんなに絡まり合っていても、

それが音楽にまつわる身分証明である以上、

むげに断ち切ることなど、いまも、またこれからもできはしないだろう。››

 

エッセイに登場する、およそ70曲におよぶ音の記憶。

みずからたぐり寄せるものもあれば、

ある出来事をきっかけに突如、

呼び起こされるものもある・・・。

自身の音の記憶と、共鳴することも。

静かに響きわたる珠玉のエッセイ。

 

『音の糸』

著/堀江敏幸

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