お知らせ

2019.11.16

「女系天皇」「ハーフの天皇」はありか? 日米の論客がタブーなしの大激論!『天皇論「日米激突」』

この記事は掲載から10か月が経過しています。記事中の発売日、イベント日程等には十分ご注意ください。

「女系天皇」「ハーフの天皇」はありか? 日米の論客がタブーなしの大激論!『天皇論「日米激突」』

25万部を突破した天皇入門書の決定版『天皇論』の小林よしのりと、『国民の天皇』で大佛次郎論壇賞を受賞した米国の近現代天皇制研究者ケネス・ルオフが語り合った、まったく新しい〝天皇論〟

新天皇が即位を公に宣明し、内外の代表がご即位をことほぐ儀式「即位礼正殿の儀」、天皇陛下の即位を披露するパレード「祝賀御列の儀」、そして先日、大嘗宮にて執り行われた皇位継承に伴う一世に一度の重要な宮中祭祀「大嘗祭(だいじょうさい)」。

代替わりに伴う一連の儀式は祝賀ムード一色でした。

今まで以上に注目が集まる天皇・皇室の未来について、日米の論客がタブー一切なしで激突!!

なにものにも縛られない白熱の論戦が繰り広げられました。

 

● ケネス・ルオフ

‹‹今回、漫画家の小林よしのりさんと対談をしたいと思ったのは、小林さんが「右」や「左」といった派閥に簡単に分けられない方だという気がしたからです。保守系だといわれていますが、いろいろな作品を読んでみると、日本のふつうの保守と同じではありません。僕とは意見が対立する部分もありますが、いくつかの点で驚くほど共通点がありました。たとえば小林さんは女性天皇を支持していますし、経済格差を広げるネオリベラリズムが大嫌いで、天皇が弱者に配慮してきたことにも注目されています。

僕は研究者として中立性を大事にしていますが、小林さんも左右どちらかに与(くみ)するのではなく、ひとつひとつの問題を自分で考えて答えを出している印象を受けました。だから、ぜひお目にかかってお話をしたかった。天皇や日本の戦後社会などについて、多くのことをお聞きしたいと思います。››

 

● 小林よしのり

‹‹<中略>先方から対談の依頼をいただくまで、わしは恥ずかしながらケネス・ルオフさんの存在を知らなかった。皇室問題では日本人の論客を相手にするだけでも十分に忙しいので、ルオフさんのことが目に入らなかったのかもしれない。

だから、対談を依頼されたときには、すぐに返事をせず、まずはルオフさんの近刊「天皇と日本人」(朝日新書)を読んでみた。すると、ものすごくよく調べて書かれている。ここまで深く日本の天皇について研究している外国人がいるとは、夢にも思わなかった。わしには受け入れられない主張もあるけれど、それを議論することも含めて、対談をする価値が十分にある。日本人の研究者と話すよりも、よほど自分の勉強になるに違いない。

さらに「国民の天皇 戦後日本の民主主義と天皇制」(岩波現代文庫)を読むと、日本人の天皇観そのものがどのように変化してきたかが詳しく論じられていた。その推移を把握する作業をここまで深くやった日本人はこれまでいなかっただろう。天皇と閣僚が会って話をする内奏の問題なども、じつによく調べて書かれている。日本の自称保守派は、いまだに神武天皇に始まる万世一系史観にとりつかれているので話にならないが、このルオフさんとの議論では、天皇や皇統の問題をもっと客観視できるだろう。日本人にとって、意義深い対談になるはずだ。そう考えて、この対談をやることにした。わしは英語ができないので心配だったが、ルオフさんは日本語が堪能だというからありがたい。››

 

「そもそも神武天皇は実在しない」から始まり、「天皇が韓国に行ったならば」「天皇に人権はあるのか」「外国人労働者と天皇」「昭和天皇に戦争責任はあるか」「ハーフの天皇はありか?」などなど、日米の論客がタブー一切なしで語り合った衝撃的かつ、まったく新しい「天皇論」。

ふたりは、前出の大嘗祭についても「国費でやるべきかどうか」議論を交わしています。

 

ルオフ 明治以降の神道が特殊なものだったことは理解していますが、やはり僕は神道を宗教として解釈しますね。そして、明治以降の国家神道がまだ残っている面もあると思います。個人がどんな信仰を持つのも自由ですから、皇室のメンバーが個人として宮中の祭祀をするのは問題ありません。でも、大嘗祭のような宗教儀式を国の税金を使ってやるのは危険なことだと思います。

小林 秋篠宮も記者会見で、大嘗祭について「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と疑問を投げかけましたね。もっと規模を小さくして、皇室の私費でやるべきだと言っている。

ルオフ でも宮内庁は「聞く耳を持たない」ということでしたし、右派もそれには反対するでしょう。右派は、できるかぎりかつての国家神道を復活させたいと思っています。

小林 しかし国家神道と言われてもピンと来ないんだよな。さっき言ったとおり、神道には「これをしなければならない」という教義がないから。

ルオフ たとえば「天皇への忠誠」はある種の教義と言えるのではないでしょうか。››

 

激しい論戦から、新しい時代の天皇と皇室、そして新しい日本のかたちが見えてくる一冊!

 

※小林よしのり氏とケネス・ルオフ氏の発言は『天皇論「日米激突」』より引用

 

小学館新書

『天皇論「日米激突」』

著/小林よしのり 著/ケネス・ルオフ

 

【著者プロフィール】

小林よしのり こばやし・よしのり

1953年福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』でデビュー。92年スタートの『ゴーマニズム宣言』はまったく新しい社会派漫画、思想漫画として話題になり、『天皇論』(小学館)は25万部突破のベストセラーとなる。近著に頭山満と玄洋社を描いた『大東亜論最終章 朝鮮半島動乱す!』(小学館)がある。

 

ケネス・ルオフ Kenneth J. Ruoff

1966年米国生まれ。ハーバード大学卒。コロンビア大学で博士号取得。米国における近現代天皇制研究の第一人者。現在、米オレゴン州のポートランド州立大学教授、同日本研究センター所長。『国民の天皇』(岩波現代文庫)で大佛次郎論壇賞受賞。近著に、『天皇と日本人』(朝日新書)、『Japan’s Imperial House in the Postwar Era, 1945-2019』(ハーバード大学出版局)がある。

 

★こちらもオススメ!

現代の日韓関係の原点がここにある!『ゴーマニズム宣言SPECIAL 大東亜論 最終章 朝鮮半島動乱す!』

「皇位を継承する儀式」の見どころは?『図説 天皇家のしきたり案内』

誰も知らなかった!『最後の秘境 皇居の歩き方』

「私が陛下のお気持ちに気づいた時」恋のキューピッド役が初めて明かす純愛秘話。『天皇陛下のプロポーズ』

天皇陛下は日本一の旅人である。『旅する天皇 平成30年間の旅の記録と秘話』

関連リンク