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2018.7.28
ジャーナリストが立ち入れない「現場」では一体何が起こっているのか。『紛争地の看護師』
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イラク、シリア、パレスチナに、8年間で17回派遣。
「国境なき医師団」看護師が初めて綴る、生と死のドキュメント。
2016年10月17日、日本。
イラクで「イスラム国」(IS)に占拠されたモスルの奪還作戦がはじまったとニュースが伝えていた。
‹‹「イラクのモスルに緊急出発してほしい」
咄嗟に、メール画面が開かれたままのスマートフォンを両手で胸の前で握りしめた。隣のダイニングルームでテレビを見ている父に視線を向けると、食後のお茶を飲みながら、爆音とナレーションが交錯するモスル奪還の戦闘を見ている。
(お父さんが今テレビで見ている場所への出発要請がきたよ)
そんなこと、どうして言えるだろうか。››
筆者は8年前から「国境なき医師団」看護師として活動。
これまでイラク、シリア、イエメン、南スーダンなど17か所の紛争地に派遣された。
この日も、父との間にしこりを残したまま、イラクのモスルに発つ。
けれども、現地に赴くとそんなことに心を悩ます時間はなかった。
一般市民を「人間の盾」にして抗戦するISの戦闘員たち。
彼らは非道の限りを尽くしていた。
国境なき医師団は、広大な砂漠にテント病院を建て、モスルで負傷した市民の受け入れ準備を整えていた。
ある日、病院全体に大きな緊張が走った。
IS戦闘員の子供が負傷して運ばれてきたのだ。
両親は自爆テロで亡くなっていた・・・。
2017年だけで、イエメン、イラク、シリアと3度も紛争地に入った筆者。
彼女を過酷な医療現場に駆り立てるものは何か。
ジャーナリストが立ち入れない「現場」では一体何が起こっているのか。
そこで何を見たのか。
悲しみ、憎しみ、恐怖。
それでも信じたい人間の強さ。
「2018年現在、いまだに数多くの国が紛争下にある。一部の人間の欲望により、今日も大勢の市民が血を流している。その人たちの叫びが、本書を通じて多くの人に届くことを強く願う」
戦争は日本人にとっても他人事ではない。
【動画公開中】 ▶▶▶ 「戦争は今も世界で起きている――『紛争地の看護師』著者が語る」
戦争で苦しむのは武器も持たない、最も弱い一般市民たち。彼らが助けを求める限り、私はそこに向かわなければならない――。イラク、シリア、南スーダンほか8年間で17回もの紛争地に派遣された「国境なき医師団」看護師・白川優子さんのメッセージ。自著執筆にかけた思いも語ります。(編集担当者)
〈目次〉
第一章 「イスラム国」の現場から ─モスル&ラッカ編─
第二章 看護師になる ─日本&オーストラリア編─
第三章 病院は戦場だった ─シリア前編─
第四章 医療では戦争を止められない ─シリア後編─
第五章15万人が難民となった瞬間 ─南スーダン編─
第六章 現場復帰と失恋と ─イエメン編─
第七章 世界一巨大な監獄で考えたこと ─パレスチナ&イスラエル編─
最終章 戦争に生きる子供たち
著/白川優子
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