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2018.7.3

長崎・天草地方の<新・世界遺産>から黙殺された島があった!『消された信仰』

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長崎・天草地方の<新・世界遺産>から黙殺された島があった!『消された信仰』

高野秀行、三浦しをん、古市憲寿激賞の謎解きノンフィクション!

6月24日からバーレンで開かれている世界遺産委員会で、日本がユネスコ(国際連合教育科学文化機関)に推薦していた「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が正式に世界遺産登録されました。

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、長崎・熊本にまたがる12の構成資産からなります。

そのひとつが、生月島(いきつきしま)の隠れキリシタンが信仰対象にしている殉教聖地を含む「平戸の聖地と集落」。

ところが、なぜか日本政府や長崎県の当局は、この「生月島」の存在をこっそり消そうとしている、というのです。

長崎県がPRのために、2014年と2017年に作成したパンフレットを見比べてみれば、その疑惑は一目瞭然!

 

◆2014

「平戸地方の潜伏キリシタンの子孫の多くは禁教政策が撤廃されてからも、先祖から伝わる独自の信仰習俗を継承していきました。その伝統は、いわゆる<かくれキリシタン>によって今なお大切に守れられています」

 

◆2017

「キリシタンの殉教地を聖地とすることにより、自らのかたちで信仰をひそかに続けた潜伏キリシタンの集落である。‹中略›(禁教の)解禁後もカトリックに復帰することはなく、禁教期以来の信仰形態を維持し続けたが、現在ではほぼ消滅している」

 

文末の「今なお大切に守れられています」という表現が、「現在ではほぼ消滅している」と書き換えられています。

文章以外にも、パンフレットでは、生月島の信徒宅に保存されていた「聖画」の写真やこの島の信仰組織の概念図も変更後、削除されているのです。

この信仰はなぜ消されようとしているのか?

その謎を解くため、著者は何度も島に足を運びます。

 

今も島に残る独特な信仰の姿。

音だけを頼りに伝承されてきた「オラショ」という祈り、西洋画と全く違う筆致の「ちょんまげ姿のヨハネ」の聖画・・・・・・250年以上も続いたキリスト教弾圧のなかで信仰を守り続けた「かくれキリシタン」たち。

取材を進める中で、著者はある真実にたどり着きます。

 

<目次>

序 章 ちょんまげ姿の洗礼者ヨハネ

第一章 蔑ろにされた「聖地」

第二章 とても長い祈り

第三章 受け継がれる儀式

第四章 「かくれキリシタン」か「カクレキリシタン」か

第五章 壊し合いの歴史

第六章 「復活」を選ばなかった理由

第七章 バチカンからの視線

終 章 信じ続ける意味は

 

第24回小学館ノンフィクション大賞受賞作!

審査員激賞!!

 

高野秀行(ノンフィクション作家)

「世界遺産の意義とは? キリスト教とは何か? 奥深い問いを投げかける作品だ」

 

三浦しをん(作家)

「いまを生きる『かくれキリシタン』たちの生の声が胸を打つ。綿密な取材に感動した」

 

古市憲寿(社会学者)

「『ちょんまげ姿のヨハネ』をはじめ、謎めいた習俗を紐解く過程が抜群に面白い!」

 

『消された信仰

「最後のかくれキリシタン」--長崎・生月島の人々』

著/広野真嗣

 

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