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2018.3.31

山田詠美が綴った、心とお腹を満たすエッセイ集!『吉祥寺デイズ うまうま食べもの・うしうしゴシップ』

この記事は掲載から10か月が経過しています。記事中の発売日、イベント日程等には十分ご注意ください。

山田詠美が綴った、心とお腹を満たすエッセイ集!『吉祥寺デイズ うまうま食べもの・うしうしゴシップ』

大人の愉しみがたっぷり詰まってます!

‹‹初めまして。小説を書き始めて早や三十年になる山田詠美と申します。三十年と言えば、生まれたばかりの子が成長してお母さんになり、自分も二人くらいの子供を持ってもおかしくない年月。そんなにも長い間、こつこつと原稿用紙の升目を埋めて来たのだなあ、脇目もふらずに・・・・・・と思うと我身の健気さに涙が滲む思いです・・・・・・いえ、嘘です。

<中略>

このエッセイ集では、料理や酒のみならず、人生で味わうさまざまな甘露と苦露(造語です)、そこに酸味や辛味も加えて、書き綴って行きたいと思います。››(「始まりはいつもシャンパンの栓」より)

 

熱血ポンちゃんシリーズをはじめとするエッセイの名手でもある著者が、いとしいものに囲まれた日常から政治、ゴシップまでを、時に厳しく、時に愉快に綴ったエッセイ集!

その色彩豊かなエッセイの一部を紹介します。

 

まずは、美味なる食べものについて――

 

‹‹止(や)められない止まらない・・・・・・しかし、惰性で食べている訳ではありません。私は自分の内なる枝豆愛に突き動かされているのだ、と断言出来ます。それが証拠に、私は、家の外で飲食をする際、枝豆を頼みません。自分自身の手によって最上の味に仕立てるために家でしか食べないのです。

それでは、いかにして、その魅力を引き出してやるか。私は、その方法を「枝豆三段跳び」と呼んでいます。三種類の塩を三段階に分けて使用するからです。››(「枝豆三段跳び」より)

 

ゲス不倫については――

 

‹‹恋なんて浅はかで軽率だから、そして、そこに分別のある大人がはまり込むから楽しいんじゃありませんか。

あ、こんなこと書いているからといって、別に擁護してるのではありませんからね。不倫という言葉を使い、他人の道ならぬ恋を非難して正義の味方ぶるのが嫌なだけ。それを踏まえて上で、あえて他人事を無責任に口の端(は)に上らせておもしろがる、ええ、私やその周囲は、そういう加減な輩ばかり。››(「サヴァラン禁断の恋の味」より)

 

忖度については――

 

‹‹私が思うに、アメリカ人にも忖度はあります。しかし、日本と違うのは、忖度をした後で、当人が、しといたからねっ、と恩きせがましく表明すること。

あるいは、私の夫に対する要求と同じように傍若無人ないばりんぼとして圧力をかけることもある。そういう時の忖度は「私の唇を読め(〝read my lips〟)」という言葉で表せるでしょう。ジョージ・ブッシュが発言して、後に、さまざまな楽曲でラップになって引用され、茶化されました。

さて、今夜は、夫の気持ちを忖度してカレーを作ろうと思います。実は、私の強情っぱりのせいで、朝、いさかいを起こしてしまったのです。スパイスに凝ったりせずに、夫の好きなバーモントカレーです。不本意ですが、忖度カレーとも呼びます。››

 

カラフルな幸せと共に日々を送るために知っておきたい大人の愉しみを全95篇収録しています。

「あとがきに代えて」には、著者が実際に使っている特製原稿用紙につづった直筆を掲載。

 

‹‹大学時代に住んでいた吉祥寺に戻って来て、早や二十年近く。その間、世界をまたに掛けた波瀾万丈の年月を送っていたのですが(ここ笑うとこです)、ようやく落ち着いた感あり、で、のんびりとした吉祥寺デイズを送っています。››(「あとがきに代えて」より)。

 

本編と合わせて、こちらもぜひ楽しみにご覧ください!

 

『吉祥寺デイズ

うまうま食べもの・うしうしゴシップ』

著/山田詠美

 

【プロフィール】

やまだ・えいみ

1959年生まれ。85年「ベッドタイムアイズ」で文藝賞を受賞、作家デビュー。87年「ソウル・ミュージック ラバーズ・オンリー」で直木賞、89年「風葬の教室」で平林たい子文学賞、91年「トラッシュ」で女流文学賞、96年「アニマル・ロジック」で泉鏡花文学賞、2001年「A2Z」で読売文学賞、05年「風味絶佳」で谷崎潤一郎賞、12年「ジェントルマン」で野間文芸賞を受賞ほか。現在、「女性セブン」ではエッセイ「日々甘露苦露」を、「日経新聞」夕刊では小説「つみびと」を連載中。

 

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