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2018.2.16
「この短篇小説がすごい!」小説読みの達人・湯川豊氏による極上のブックガイド。『一度は読んでおきたい現代の名短篇』
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とびきりの名短篇を読む愉しみ!
純文学からエンターテインメントまで、小説読みの達人・湯川豊氏が、「読む愉しみ」という基準で選んだ現代人気作家44人の傑作短篇小説案内!
「この本の四十四篇に及ぶ名短篇を選ぶ基準は、ただ一つ、〝読む愉しみ〟にあった。愉しみの前では、純文学とか娯楽小説とか、それじたいがほとんど機能しなくなった概念はさっぱりと捨ててある。むろん、このことはどこかで議論をすすめなければならないだろうが、短篇小説をすべて等価のものとして読み、読んで愉しいということだけを手立てとして、作品を選んだ」
44篇の名短篇を紹介しつつ、そこで使われた手法や技巧を追いかけます。
・松本清張「張り込み」
‹‹文章にまったく無駄がない、と思わせるほどの完成度の高さである。冷やかではないが、けっして踊りあがらない抑制された文章が、緊密な物語を展開してゆく››
・瀬戸内寂聴「藤壺」
‹‹源氏のみごとな現代語訳を完成した作家が、紫式部に替って書いてみせた短篇である。優雅にしてエロティックな、源氏の一帖が提示された››
・井上ひさし「モッキンポット師の後始末」
‹‹目を見張ってしまうような、若々しさと勢いがある。それは、いつか小説を書きたいと思いつづけていたのが実現し、才能がほとばしるようにあふれ出しているからだ››
・村上春樹「蜂蜜パイ」
‹‹文章も語られる中身も、生き生きと新鮮そのもの。そこに時々濃密に描写される「場面」が挿しはさまれて、話の流れを支えている。村上がもっている物語る力が、すごみをおびて発揮されている、としかいいようがない››
・林真理子「最終便に間に合えば」
‹‹「時代を映す鏡としての小説。その見本といってさしつかえないような、みごとな短篇››
・角田光代「イリの結婚式」
‹‹角田光代のムダのない、きっちりした短篇のなかで読者である私も旅をし、人類最古にあるイメージに行き当たるような思いだった››
などなど。
エッセイ風、旅行記風、別世界風、童話風短篇から先行作品を下敷きにした「ハイジャック小説」、女性作家の「濃い小説」・・・・・・さまざまな手法を使い、多様な技巧をつくした名短篇の数々。
〝小説の読み巧者〟が選び抜いた44篇が、めくるめく豊穣な世界にあなたを誘います。
「人生のある時の、ある姿の断面をスパッと切ってみせる。それが一断面にとどまらず、人間の背負っている歴史や劇をはっきりと見せてくれる。短篇には、長篇ではめったに味わえぬ魔術性のようなものがあって、よくできた短篇を読む愉しみは濃密であった」
思わず読みたくなる(あるいは再読したくなる)極上のブックガイド!!
読書の幅がぐんと広がります。
小学館新書
著/湯川豊
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