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2023.2.22
組織、芸術、ウイルス、すべての疑問を「生命理論」で解く!『新版 動的平衡 3』
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キーワード: 科学 サイエンス 分子生物学 経済 医療 スポーツ 芸術 新型コロナウイルス 生命理論 ベストセラー 福岡伸一
シリーズ累計30万部超のベストセラー第3弾!
生命とは何か?
それは「動的平衡」である。
哲学する分子生物学者・福岡ハカセが生命理論で森羅万象の謎に挑む、シリーズ第3弾!
著者は本書の冒頭、「動きつつ釣り合いを取る」動的平衡の原理を組織論に当てはめて述懐する。
«自転車は走りながら故障を直すことなどできない。それは構成要素の機能分担が一義的に決まっていて、その役割が機械論的なアルゴリズムの中に一義的に固定されているからだ。どれかひとつが壊れれば交換するしかない。
しかし生命の構成要素(細胞、タンパク質、遺伝子など)は、絶えず更新され、動的であるがゆえに、その関係性は可変的で柔軟だ。もし何かが欠落するとか、不足したとしても、増減を調整したり、ピンチヒッターになりかわったり、バイパスを作ったりして、問題にすぐに対処できる。構成要素はどれも基本的には多機能性であり、異なる役割を果たしうる。
さらに大切なことは、生命の動的平衡は自律分散型である、ということだ。個々の細胞やタンパク質は、ちょうどジグソーパズルのピースのようなもので、前後左右のピースと連携をとりながら絶えず更新されている。ピース近傍の補完的な関係性(相補性)さえ保たれていれば、ピース自体が交換されても、ジグソーパズルは全体としてゆるく連携しあっており、絵柄は変わらない。»
(本書「第一章」より)
・ 生命と強いサッカーチームの共通点
・ 老化は風化と似ている
・ 記憶は思い出すたびに揺らぎ変容する
・ 親世代の恐怖体験は子どもの世代に遺伝するのか
・ フェルメールの絵画とストラディヴァリウスのヴァイオリン、この2つは何を持っているから優れているのか
・ 動物実験段階で成功した、画期的ながん治療法とは
・ もしも腸内細菌がなかったら…
etc.
スポーツ、芸術、経済など幅広いトピックから、生命の不思議にいざなうサイエンスエッセイ。
新書化にあたり、新型コロナウイルスにどう向き合うべきかについて述べた論考を新章として追加。
«変異を遂げたコロナウイルスが、コウモリかセンザンコウかはわからないが、宿主から宿主への巡礼の旅の末に、私たちヒトのもとに戻ってきた。それが今回の新型コロナウイルスだったのである。それゆえに、私たちはかつて(それはいったい何万年前の出来事かはわからないが)家出した放蕩息子の帰還を迎え入れているのだ。»
(本書「第11章」より)
どこを切り取っても、知的興奮が高まる生命理論の傑作!
〈目次〉
第1章 動的平衡組織論
第2章 水について考える
第3章 老化とは何か
第4章 科学者は、なぜ捏造するのか
第5章 記憶の設計図
第6章 遺伝子をつかまえて
第7章 「がんと生きる」を考える
第8章 動的平衡芸術論
第9章 チャンスは準備された心にのみ降り立つ
第10章 微生物の狩人
第11章 動的平衡からコロナウイルス禍を捉え直す
著/福岡伸一
【著者プロフィール】
福岡伸一(ふくおか・しんいち)
1959年東京生まれ。京都大学卒業後、ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授・ロックフェラー大学客員教授。研究に取り組む一方、「生命とは何か」について解説した書籍や、絵画についての解説書、エッセイなどを発表している。分子生物学専攻。専門分野で論文を発表するかたわら、一般向け著作・翻訳も手がける。
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