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2021.3.6
ヒトなし、カネなし、武器もなし。最小で最弱の情報機関=公安調査庁を描く!『鳴かずのカッコウ』
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キーワード: 小説 公安調査庁 インテリジェンス
インテリジェンス小説の巨匠、再始動!
「ウルトラ・ダラー」「スギハラ・サバイバル」で知られる手嶋龍一にとって11年ぶり3冊目となる小説。
ヒトなし、カネなし、武器もなし――そんな知られざる公安調査官たちの諜報活動の一端が白日の下に!
主人公は何も知らず、公安調査庁に入庁してしまったマンガオタクの青年・梶 壮太。
«壮太は、インテリジェンス・オフィサーに憧れて、この職場を選んだわけではなかった。学校は関西の国立大学法学部。専攻は国際政治で、卒論は「戦後日本占領史の研究」だった。サークル活動では「漫画研究会」に属していた。
二年生になった春のことだ。はるき悦巳の『日の出食堂の青春』の合評会があり、その後、部員揃って飲み会に出かけた。そこで先輩たちから就活をめぐるボヤキをさんざん聞かされた。
「リーマンショックの余波で民間企業はどこも採用枠を絞り込んでいる。壮太、お前みたいなやつは、給料が安うても、景気に左右されへん国家公務員がええと思うわ」
先輩の就活苦戦記はずしりと胸にこたえた。かくして壮太の安定志向は揺るぎないものになった。早速、アルバイトで貯めたなけなしの金をつぎ込み、公務員試験の予備校に通い始めた。生真面目な性格なのである。
初めから上級職は望まず、地元採用枠のある一般職に狙いを絞った。期せずして迷い込んだのが公安調査庁だった。
この役所のことは就活を始めるまで名前も知らなかった。官公庁合同の説明会でたまたまブースに立ち寄ったところ、手持ち無沙汰の担当者と一対一の面談になってしまった。
「君、酒のめる?」
「はぁ、まあ」
「いける口? ビール何本? 日本酒何合?」
いきなり型破りな質問が飛んできて困惑した。その一方で給料は悪くないなと感じた。公安職は一般の行政職より初任給で二万五千円近くも多く、率にして十二%も高い。公安調査官は国民の生命安全を守る仕事だからだろうと勝手に解釈した。その後の試験は難なくクリアした。»
(本文より)
かくして調査官として6年目を迎えた壮太はある日、ジョギング中に目にした看板から、中国、北朝鮮、ウクライナといった国々が入り乱れたインテリジェンスの世界に誘われていく。
諜報後進国に現れた突然変異のインテリジェンス・オフィサーが、国際諜報戦争で大金星!?
本邦初の脱力系インテリジェンス小説、誕生!!
日本が舞台であっても、主人公は英国情報部員だった「ウルトラ・ダラー」「スギハラ・サバイバル」。
今作『鳴かずのカッコウ』は、主人公も脇役も全員日本人だ。
これには、日本でもインテリジェンス小説を書く素地が整ってきたことに加え、情報(インテリジェンス)を巡る国際諜報戦線に、「これ以上出遅れてはならない」という著者の危機感が読み取れる。
https://shosetsu-maru.com/yomimono/essay/nakazunokakko
〈目次〉
プロローグ
第一章 ジェームス山
第二章 蜘蛛の巣
第三章 千三ツ屋永辰
第四章 偽装開始
第五章 彷徨える空母
第六章 守護聖人
第七章 「鍛冶屋」作戦
第八章 諜報界の仮面劇
エピローグ
著/手嶋龍一
☆ 一語一語に情報源(ネタもと)あり! 手嶋龍一のインテリジェンス小説が小学館文庫より発売中!
■ 国家の謀略を暴いた「現代の黙示録」
ダブリンに新種の偽百ドル札「ウルトラ・ダラー」あらわる――。
一報を受けたBBCの東京特派員にして英国情報部員のスティーブンは米中朝の国際諜報戦に踏み入った。
「現実の事件が物語を追いかけている」と評されたインテリジェンス巨編!
作品の背景について自ら解説した「15年目の著者ノート」も収録。
解説:山内昌之氏(歴史学者)
著/手嶋龍一
小説だからこそ書けた歴史の真実!
9・11同時多発テロ、リーマンショックほか、世界の激動のたびに、マネーは大暴落した。だが、その裏では事前にドルを売り抜き、有り余る資金を懐にしたものがいた。
そしていま再び金融マーケットに異変が起きている。
調査に乗り出した英国情報部員スティーブンは、21世紀の資本主義の源流に、〝諜報の天才〟と呼ばれた戦前の外交官・杉原千畝がまいた種を見る。
舞台背景を著者自ら綴った「11年目の著者ノート」も収録。
解説:佐藤優氏(作家)
著/手嶋龍一
【著者プロフィール】
手嶋龍一(てしま・りゅういち)
作家・外交ジャーナリスト。NHKワシントン支局長として2001年の9・11テロに遭遇し、11日間の24時間連続中継を担当。独立後に上梓したインテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』、続編の『スギハラ・サバイバル』がベストセラーに。ノンフィクション作品も多数発表。
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