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2021.1.17

ベストセラー作家・藤原正彦を造った「昭和のメロディ」『我が人生の応援歌』

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キーワード: エッセイ 昭和歌謡 古関裕而

ベストセラー作家・藤原正彦を造った「昭和のメロディ」『我が人生の応援歌』

「にっぽんの歌」とともに人生を振り返ったエッセイ集

270万部の大ベストセラー「国家の品格」の著者・藤原正彦氏の人生は歌で満ちている。

本書では、この国の情緒を育んできた「にっぽんの歌」の聞きどころ、歌いどころを、著者の想い出とともに、徹底分析する。

 

«これまでに私が歌ってきた歌を公にしたうえ、思い出まで語るということは、シャイな私にとって、公衆の面前でストリップをするようなものであった。しかも、私の軟弱で、女々しい面を人目にさらすことにもなり、「武士道精神の権化」とか、「時代遅れの日本男児」として通ってきた私の勇名を汚しかねない。

ただ、本書を手に取るような賢く上質の趣味を持つ読者は、「古武士の剛毅と、内面に秘められた女々しさとが相まっての異常な魅力」と思ってくれるだろう。

私は本書に集められた、私を造った歌が、読者一人一人を造った歌でもあることを願っている。そして、一人一人がそんな歌を歌い、自らの人生の軌跡をたどることにより、山あり谷ありながら、振り返ればなかなかよい人生だった、と感じていただければうれしい。»

(本書「まえがき」より)

 

明治から昭和期の歌謡曲、詩歌を厳選。

詩、メロディから人生を回顧する。

著者の父・新田次郎、母・藤原ていなど、その人となりが目に浮かぶような、〝身内の〟エピソードには、当時の生活や文化が色濃くにじみ出る。

 

«小学生の頃、市会議員の息子で乱暴者で通る男が、貧しい家のひ弱な子を殴るのを見た私は、直ちに彼に飛びかかり叩きのめした。夕食時にそれを報告すると、父は「そうか、貧しい子を助けたんだな、よくやった」と私の頭を何度も撫でてくれた。

側で見ていた母は、嘆息した。

「何バカなことを言ってるの。相手に怪我させたりしたら、どうするの? 謝りに行くのはもうごめんですからね。・・・・・・本当に、この親にしてこの子ありね」

ここから父母のいつもの口論が始まるのだが、母が近くにあるものを父に投げつけるまで、喧嘩は続いた。

そんな父が、いちばん好きだったのが、『白い花の咲く頃』だ。昭和二十五年に、岡本敦郎の伸びのある歌声によって大ヒットした。»

(本書「黙ってうつむいてた お下げ髪」より)

 

そのほかにも、幼少期の初恋や宝塚への憧れ、数学と詩歌の関係性、生まれて初めてハマったNHK朝の連続ドラマ「エール」についてなど、研ぎ澄まされた情緒で綴ったエッセイ集。

童謡・唱歌「赤とんぼ」「夏の思い出」「この道」「椰子の実」や、昭和のヒット曲「山小屋の灯火」「誰か故郷を想わざる」「長崎の鐘」「津軽のふるさと」など、幅広いジャンルの中からの懐メロ全34曲を収録。

 

小学館新書

『我が人生の応援歌

日本人の情緒を育んだ名曲たち』

著/藤原正彦

 

【著者プロフィール】

藤原正彦(ふじわら・まさひこ)

昭和18年(1943)、旧満州新京(現・吉林省長春)に、いずれも作家の新田次郎、藤原てい夫妻の次男として生まれる。数学者。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。お茶の水女子大学名誉教授。名エッセイストとしても知られ、昭和52年(1977)、『若き数学者のアメリカ』で、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。

 

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