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2019.9.29

歴代総理も頼った最強ヤクザの肖像。『殺しの柳川 日韓戦後秘史』

歴代総理も頼った最強ヤクザの肖像。『殺しの柳川 日韓戦後秘史』

三代目山口組組長・田岡一雄の全国制覇の尖兵となり、

韓国大統領・全斗煥(チョン・ドファン)のインテリジェンス工作を担い、

空手バカ一代・大山倍達の窮地を救い、

国民作家・司馬遼太郎と意気投合し、

フィクサー・許永中が「在日の誇り」と憧れた。

韓国・釜山に生まれ、幼くして大阪にわたり、戦後の混乱期に己の力のみで身を立てていった柳川次郎。

1958年、わずか8人で、100人の構成員を抱える鬼頭組に殴り込みをかけ、柳川の名前はヤクザ社会に知れ渡る。

同じ年、柳川組を正式に旗揚げすると、そこから破竹の勢いで全国に勢力を広げ、10年足らずで1700人もの構成員を抱え込むほどに拡大した。

「殺しの軍団」と呼ばれ恐れられた柳川組だったが、過激な勢力拡大が仇となり、警察による壊滅作戦により1969年に解散を余儀なくされた。

本書では、鮮烈な印象を残したまま45歳でヤクザの世界から足を洗った男の後半生を綴る。

 

‹‹「もう忘れてもらわないといかんからね、柳川のイメージを。自分ではね、完全に拭い去ってしまったもんだけど。しかし、私の場合は、昔のイメージが強いわけやから、普通の人間なら二年、三年のものを、10倍、20倍努力せにゃいかんわけですよ。だから、(組を)解散して何か今までの償いに、やっぱり迷惑かけたわけやから。実際にヤクザの世界に入り、したい放題したわけやし無茶苦茶もした。せやから、解散して堅気になって何か自分にできることを模索しとったわけやね、私は」››

 

カタギになってからも、柳川は異彩を放つ。

日韓の太いパイプを築き上げ、80年代の全斗煥時代には政権中枢にまで影響を及ぼすなど、人脈を拡大。

表に裏に顔が利く柳川を、多くの人間が頼った。

大山倍達、梶原一騎、金大中、司馬遼太郎、田岡一雄、朴正煕、町井久之・・・・・・など数知れず。

その中には、田中角栄、宇野宗佑ら日本の歴代総理の名前も――――。

 

‹‹「もし愛人になってくれたらこれだけ出す」

宇野が指三本(30万円)を示して愛人となるよう求めたという芸妓本人の告発は政権を直撃し、参院選でも結党以来初めての過半数割れとなる歴史的な惨敗をした。69日間の短命政権に終わった。新井三ノ進(中曽根康弘の秘書だった人物で中曾根派の「裏仕事」担当と言われている)がこの時の舞台裏を明かしてくれた。

「宇野さんが辞める原因となった相手は神楽坂の芸妓ですが、これとは別に祇園に女がいたんです。むしろこっちが本命でした。宇野さんが総理になるにあたり、これを隠さないといけないということになり、それを柳川さんに相談したんです。柳川さんは『分かった』とだけ言って、京都の現役組長と相談して女をしばらく韓国に匿ってくれた。結局、神楽坂の芸妓との一件が報道されたのでこの工作は意味がなくなってしまったわけですが、柳川さんたちはビタ一文取らずに素晴らしい手際の良さでした」

政治家のトラブル処理といえば、田中角栄とも関わりがあった。これはあるジャーナリストの証言である。

「ロッキード事件の裁判をやっている最中に田中の秘書の早坂茂三から頼まれて、早坂と柳川の会食をセットしたことがある。当時、田中はいろんなややこしいところから目白台の自宅に街宣をかけられて大変な状況になっていたので、その対応を相談するためだった。当時は右翼の親玉であるはずの児玉誉士夫ですら、右翼青年にセスナ機で自宅に突っ込まれるくらいだったから」

政界の最大実力者だった田中角栄ですら、柳川を頼ったというわけだ。››

 

カタギになった柳川が望んでいたのは日韓の橋渡し役だったが、こういったトラブル処理や裏工作も多かった。

「殺しの柳川」と恐れられた男の悲しき生涯とは・・・・・・。

戦後史の闇に埋もれたエピソードをすくい、存命者の証言を丹念に集めた渾身のノンフィクション!

 

‹‹「殺しの柳川」とのタイトルには、少なからず躊躇があった。暴力にまみれた彼の前半生ばかり強調することになるからだ。後半生において暴力の世界から抜け出そうともがき続けた泉下の柳川はきっと不本意であろう。だが、この「殺しの柳川」との異名は、彼の十字架として終生ついてまわったことは事実である。周囲もまたそうした柳川であることを期待した。その悲哀を描かずして彼の生涯を語れないとの思いから、このタイトルとした。››(本書「あとがき」より)

 

『殺しの柳川 日韓戦後秘史』

著/竹中明洋

 

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