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2019.3.4

大ヒット上映中!『映画ドラえもん のび太の月面探査記』の脚本を担当した辻村深月さんインタビュー全5回を公開!

大ヒット上映中!『映画ドラえもん のび太の月面探査記』の脚本を担当した辻村深月さんインタビュー全5回を公開!

大ヒット上映中の『映画ドラえもん のび太の月面探査記』の脚本を担当した辻村深月さんが、自らの手で映画のノベライズに挑戦しました。『かがみの孤城』で2018年本屋大賞を受賞後、初の書き下ろしとなる長編冒険小説です。大の『ドラえもん』ファンとして知られる辻村さんは、いったいどんな思いで物語を紡ぎ、キャラクターに命を吹き込んでいったのでしょう? 全5回でご紹介します。

 

【第4回】

私の頭の中で動いていた、三つのドラえもん。

私が、のび太のセリフを書いちゃっていいのかな。ドラえもんに自分の考えたセリフをしゃべらせていいのかな。最初はそういう気持ちがとても強かったです。けれど、あるとき、藤子先生のチーフアシスタントをされていたむぎわらしんたろう先生から、こんなメールをいただきました。「映画ドラえもん、楽しんでください。ドラえもんたちもきっと、新しい世界へ冒険に行けることを楽しみにしているはずですよ」と。

 

むぎわら先生自身も、藤子先生がいなくなったあとの映画を引き継いできた1人でもあるので、本当に大変だったと思うんです。けれどそのメールを読んで、確かに大変だったかもしれないけれど、むぎわら先生も、ドラえもんたちと冒険したことはきっと振り返ってみたらとても楽しかったんだろうなと思えたんです。じゃあ、私も楽しむことを考えよう、と。地底、海底、宇宙、これまでドラえもんたちにいろいろな場所へ冒険に連れていってもらったけれど、今回は自分がドラえもんたちの手をとって冒険に連れて行く係なんだ。その役割を楽しもうと。気持ちが切り替わってからは、胸をはってドラえもんたちのセリフを書くことができた気がします。

 

小説を書いているとき、私の頭の中で動いていたドラえもんやのび太には3パターンの姿がありました。一つは原作まんがのドラえもんたち。この割合がいちばん多かったかもしれない。ドラえもんの頭もつるっとした青色ではなく、ペンで描いた縦線模様でした。二つめは私が小っちゃいときに見ていた、大山のぶ代さんが声をあてて芝山努監督の演出で動くドラえもん。そして三つめが、水田わさびさんの声で動くいまのドラえもん。とくに金曜日にうちの子どもたちとアニメを見たあとはそうなるんです(笑)。戦闘シーンなどでは、いまのドラえもんたちの声や動きを想像しながら書くことが多かったです。執筆中はまだ声優さんたちにはお会いしていなかったんですが、テレビ画面の向こうから声優さんたちに助けてもらっているような気がしていました。

 

「なんでわすれろ草をもってるの?」

原作まんがに登場するひみつ道具をたくさん出したいな、という気持ちがありました。映画や小説を楽しんだ人たちが、「原作まんがではどんなふうに使われているんだろう」とコミックスに戻ってきてくれたら、と。

 

とくに「わすれろ草」は、コミックスの表紙にも描かれている道具なので絶対に使いたかった。映画の予告を見たうちの息子が、「なんでしずかちゃんがわすれろ草をもってるの?」と、一瞬しか映らないカットにもかかわらず、すぐに気づいてくれて。ああ、このフォルムだけで「わすれろ草」だとすぐにわかるんだと感動しました。同じように多くの大人たちにも、「うちにあったコミックスの表紙に描かれていた花だ!」と気づいてもらえたらすごくうれしいです。

[第5回につづく]

 

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『小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記』

原作:藤子・F・不二雄 著:辻村深月

2019年2月7日(木)発売

四六判上製単行本 定価:本体1,800円+税

ジュニア文庫版 定価:本体800円+税

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