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2018.8.30
現代最高の物語作者・辻原登の謎と奇想あふれる8篇!『抱擁/この世でいちばん冴えたやりかた』
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ゴシック・ミステリから奇譚まで極上の物語集
現代最高の物語作者、辻原登の傑作2冊を合本にして、初の文庫化!
元版は2002年刊の短篇集「約束よ」と2009年刊の中篇「抱擁」です。
第一部「抱擁」は、二・二六事件の翌年(昭和12年)、東京駒場の前田侯爵邸で起こる謎に満ちた事件を描くゴシック・ミステリ。
女学校を卒業後、前田侯爵邸で小間使として奉公する「わたし」の供述で語られる物語です。
5歳の令嬢・緑子の不可思議な行動、ゴシック建築の洋館で起こる異様な事件、物語は謎をたたえて結末に向かって走り出します。
ヘンリー・ジェイムズの傑作「ねじの回転」をパスティーシュ(ある作品のイメージやモティーフ等を使ってつくり上げられた作品)した傑作です。
総タイトルを「この世でいちばん冴えたやりかた」と改めた第2部には、日本と中国を舞台にした奇譚の数々、7篇の名品が並びます。
表題作は天安門事件を背景にした奇想あふれる「黄河水源踏査行」の物語。
単行本時の表題作だった「約束よ」には、官能の匂いが立ちのぼります。
7篇のうち3篇は中国が舞台。
若き日に中国貿易に携わった著者だからこそ書ける濃くて豊かな物語です。
特筆すべきは、著者の代表作である盲目の落語家を主人公にした「遊動亭円木」(谷崎潤一郎賞)の外伝三篇が収録されていること。
文章の力、匂い立つ官能、ページをめくる手がとまらないストーリーテリング、そして作中にヘンリー・ジェイムズ、フローベルの名作が見え隠れする極上の<世界文学>。
解説は作家の宮下奈都さんです。
「濃厚で、艶めかしい。
それなのに、端正で、粋である。
壮大さと、緻密さとを併せ持つ。
読み進むうちに、酔いながらも、どこかが覚醒してくる」
著/辻原登
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