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2016.7.21

「人間は必ず死ぬ運命だ。やれるものはみんなやる」。巨泉流"人生論"が綴られた『大橋巨泉「第二の人生」これが正解!』

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キーワード: 大橋巨泉 タレント セカンドライフ セミリタイア 死生観 実存主義

「人間は必ず死ぬ運命だ。やれるものはみんなやる」。巨泉流"人生論"が綴られた『大橋巨泉「第二の人生」これが正解!』

‹‹生きることを前提に考えておくことは大事だ。だって人間は必ずいつかは死ぬ。死ぬんじゃないか、なんて不安を持つほうがおかしい。不安を持とうと持つまいと、人間は必ず死ぬ運命だ。だから生きていたら期待できるものについて、よりたくさん考えたほうがいい。

 日本人に生まれたんだから、傘寿、盤寿、米寿みんなやって、それに西洋式だけど金婚式もやろう。やれるものはみんなやる、これが巨泉流だ››

 

 これは今月12日に亡くなった大橋巨泉氏が生前『大橋巨泉「第二の人生」これが正解!』の中で語った言葉。米寿、金婚式はかなわなかったが、「やれるものはみんなやる」をつらぬいた人生ではなかったのだろうか。

 

 大橋氏は早稲田大学在学中からジャズ評論家として活動し、音楽の仕事を中心にしながら、テレビの放送作家へ転身。1996年にテレビ番組「11PM」の司会でタレントデビューし、「クイズダービー」や「世界まるごとHOWマッチ」など長寿番組の司会を務めた。

 

 ところが、大橋氏は人気タレントとして絶頂期だった50歳代半ば、突然「セミリタイヤ」を宣言、すべてのレギュラー番組を降板し、表舞台から姿を消した。それ以降、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、そして日本の4か国を転々とする「ひまわり生活」を実践し、「第二の人生」を謳歌した。

 

 2013年4月「第二の人生」23年目に書かれた本著で、大橋氏は「こんなに長生きするつもりはなかった」と言いながら、自らの"後半生"や"死生観"について述べている。

 

‹‹「一生食うに困らないが、死んだ時には一銭も残っていない」と、若い頃に有楽町のガード下で占い師に言われたことがあって、ボク自身、その言葉が気に入っていた。そういう生き方がいいと思ったのだ››

 

‹‹ボクは実存主義者だ。

だから、「人生はデスベッド(死の床)で決まる」と思っている。これは死んだ親父、武治の影響である››

 

‹‹ボクは大学に入って、カミュやサルトルを読んで「ウチの親父は実存主義者」だということがわかった。ボクも実存主義を全うしている。「ボクが死んだら、死骸はドブでもどこにでも捨ててくれ」なんて過激なことを言うようになったワケだ。

 ウチの親父は、「お葬式とか偲ぶ会というのは、残った者のためにやるんだ」と考えていた。そして最愛のパートナーだった母親が五三歳で死んだ時、ポツリと言った。

「死んでいくものは楽なんだ。残された者が辛いんだよ」と››

 

‹‹ボクは、死の直前に女房に「ああ、いい人生だった、どうもありがとう」と言って死ねるのが幸せな人生だと思っている。パートナーより一日でも早く死ぬことが幸福だろう。ウチは一四歳差だから可能性は大いにある››

 

 今月20日、大橋氏の妻、寿々子さんはコメントを発表した。

 

「最後は眠ったまま静かに旅立ちました。どうぞ大橋巨泉の闘病生活に"アッパレ!"をあげて下さい」

 

 大橋巨泉氏のご冥福をお祈りいたします。

 

 

『大橋巨泉「第二の人生」これが正解!

人生80年時代「後半生」を楽しく生きるための10の選択』

著/大橋巨泉

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