お知らせ

2016.5.30

太陽光飛行機で世界一周に挑んだ空飛ぶ精神科医の人生哲学を綴った『空の軌跡』

この記事は掲載から10か月が経過しています。記事中の発売日、イベント日程等には十分ご注意ください。

太陽光飛行機で世界一周に挑んだ空飛ぶ精神科医の人生哲学を綴った『空の軌跡』

空から人間を、地球を、見つめ直す!

 

「空中は果てしなく孤独だ。そして孤独が集中力を増幅させる。また、ある種の意識が強まり、体験中の瞬間と自分自身との一体感が研ぎ澄まされる。だが、ひとたび着地をすると、それはコミュニケーションの障害物となる。空で体験したことを話してほしいと言われると、ほんの一部分しか再現できない。話すときには、もはやそれらを体験していないからだ。」

「人生とは、僕らが体験したいくつものすてきな瞬間から成るのではないだろうか。それらの体験は消えることのない足跡を残し、完全な覚醒の瞬間を生み出して、高度な意識をうっすらと感じさせてくれる。この本を読んだ人たちに、人生をすばらしい冒険と感じてほしい。また、そこに隠れている特別な瞬間を発見してほしい、と願っている。もしかすると、心のなかの微妙で魅力的な状態を探求することにつながり、それがその人の人間性に新しい色合いを添えるかもしれない。

 本書によってこうした目標を達成できれば、今後は空中でそれほど孤独を感じないだろう」

 

 太陽エネルギー飛行機で世界一周にチャレンジするスイスの飛行家であり、精神科医のベルトラン・ピカール。祖父は水素気球による初の成層圏飛行を実現、深海潜水艇バチスカーフなども発明した物理学者オーギュスト・ピカール、父のジャックも有人潜水深度記録(バチスカーフで海底1万916メートルまで潜った)をもつ親子3代の冒険一家。

 16歳のころからハンググライダーに熱中し、精神科医をつとめる傍ら、冒険家としても活動。ハンググライダーによるアクロバット飛行の欧州チャンピオンになったこともある。1997年1月に熱気球による世界初の無着陸世界一周飛行に挑んだが、失敗。1999年3月には3回目の挑戦をし、19日と1時間49分で、約4万2800キロを飛行、気球による世界初の無着陸世界一周旅行を達成する。2015年3月より太陽エネルギー飛行機での世界一周を目指す。

 

 少年時代からアポロ計画の関係者と交流をもち、飛行や冒険に慣れ親しんだピカール氏。ハンググライダーから気球、そして太陽エネルギー飛行機(ソーラー・インパルス2)と、さまざまな飛行にチャレンジし、常に限界に挑む勇気の根源とは何か? 前人未踏の快挙を成し遂げるまでの半生と、空からの視点で地球を見つめる彼ならではの哲学とは?

 

天候不順で名古屋に緊急着陸した彼から日本へのメッセージ!

 

 太陽エネルギー飛行機によるピカール氏の大冒険は、2015年3月にアブダビを出発後、名古屋に不時着したことが、日本でも大きな話題に!  彼から日本への感謝の気持ちを込めて、本書には日本読者へのメッセージも綴られている。

 

 「太平洋上空の天気が悪化したため、ソーラー・インパルス2は名古屋に緊急着陸した。僕らの冒険は日本滞在期間に入った。必要な許可をすみやかに入手できるよう、現地の管轄機関が最善を尽くしてくれた。彼らに感謝の気持ちを示すため、すぐにパイロット用ジャケットの胸に日本の国旗を加えた。

 

 未知の物事を取り組むときに役立つパイオニア精神と創造性。飛行高度を変更する勇気をみなさんにも持ってもらいたい。大気圏の風だけでなく、人生の風のなかでも、精神的かつ哲学的に高度を変更すること。目標を持ち、自由に思考して人生の進路を自分で選ぶこと。飛行高度を変更することは、誰にでもできる。人生や職場、または国家レベルでも可能なのだ。そのことが、ソーラー・インパルスのおかげで明らかになった」

 

 人生の境界線を越える勇気、そして、自分の心の中の軸を見つけるきっかけをもらえる快作!

 

『空の軌跡』

著/ベルトラン・ピカール  訳/シドラ房子

関連リンク