お知らせ
2022.9.13
大人気旅作家が育児という「すげえ」体験を綴る、ニューノーマル育児エッセイ!『1歳の君とバナナへ』
この記事は掲載から10か月が経過しています。記事中の発売日、イベント日程等には十分ご注意ください。
キーワード: エッセイ 育児 子育て 家族 旅 ニューノーマル コロナ禍 岡田悠
1年間の育休で「僕」は「ゆっくり」父になる。
旅行記やユニークなチャレンジを「note」「オモコロ」などのWebメディアで披露し、人気を博している会社員兼作家の岡田悠さん。
旅作家として一歩を踏み出したきっかけは、「すげえ」体験でした。
«18歳のとき、モロッコへ行きました。はじめての一人旅でした。のっけからバックパックを盗まれ、飛び交うアラビア語も理解できず、心も頭も揺さぶられました。帰国した夜は、放心状態で眠れなかったほどです。
「旅行、どうだった?」と友人に尋ねられても、「すげえ」としか返せませんでした。はじめての一人旅は、僕にとってあまりに情報量が多すぎて、処理が追いつかなかったのです。一言では表せないから、代わりに文章にしようと思って、旅行記を書き始めました。
それから、15年の月日が経ちました。その後も海外を放浪し続けた僕は、今では父として近所の公園を放浪しています。
「子育てはどう?」
子どもが生まれてから、そんな質問をよく受けます。しかしなかなか難しい。
最高に楽しい! と言いたくなるし、朝が早すぎる! と愚痴をこぼしたくもなる。大変すぎてどうしれば…‥とため息をつきたいし、可愛すぎてどうすれば……とため息をつきたい。感じることも考えることも毎日変化して、もうどう答えればいいかわかりません。でも、無理やり一言で表現するとすれば、やっぱりこうなるでしょう。
すげえ。»
(本文より)
本書では、まだ見ぬ世界を求めて旅をしてきた著者が、育児という「すげえ」体験を、わが子への手紙として綴ります。
«君はまだ1歳だから、この時間を覚えておくことはできない。バナナの皮を振って踊った朝のことも、歩きたくて涙を溜めた朝のことも、きっとすべて忘れてしまうだろう。
だから僕は、この手紙を書こうと思う。僕らがどんなふうにして出会い、暮らしたのか。10年後か20年後か、いつか君が読めるようになったときのために、書き記していこうと思う。»
(本文より)
2020年、コロナウイルスの脅威が広まる中での「結婚式中止」という苦渋の決断に始まり、妻の妊娠、出産、育児。
こんな時代に家族をつくることには当然、不安や痛みも…。
旅作家としては、まだまだやりたいことも行きたい場所も尽きません。
けれども、我が子の存在は、著者の心に思いがけない変化をもたらしました。
«「子どもができると、人生の主役が交代する」
さて、君が生まれて2ヶ月が過ぎたが、実際のところはどうだろうか。
ひとつの変化として、「あ、主役どうぞ」と思うようになった。これは驚きだった。主役交代なんてまっぴらだと主張していた僕が、簡単に寝返ったのだ。
むしろ、すこし肩の荷が下りた安堵感すらあった。これまでずっと自分のことばかり考えてきて、ちょっと疲れていたのかもしれない。何者かにならなければ、というプレッシャーがどこかにあったのだと思う。でも、らうたし君がいるなら、自分自身はどうあってもいい。僕は特別でなくていいのだと思うと、なんだか気が楽になった。
そして、もうひとつ別の変化があった。最近の僕は君のことばかり考えているし、物理的にも毎日が君を中心に回っている。けれども、そこに、自分の時間が奪われている、という感覚がないのだ。君にブランケットをかけたり、君に語りかけたりしているとき、僕はむしろ以前よりも強く、自分の時間を過ごしていると感じられる。旅をしているときみたいに、生きていることを実感できる。これは結構驚きで、不思議な体験だった。»
(本文より)
1年弱の育休を取り仕事復帰後も家庭中心の日々を送る著者。
2020年代の父親からのメッセージがつまった新時代のニューノーマル・育児エッセイです。
『1歳の君とバナナへ』
著/岡田 悠
【著者プロフィール】
岡田悠(おかだ・ゆう)
1988年、兵庫県生まれ。会社員兼作家。旅行記を中心に様々な Webメディアで執筆。著書に『0メートルの旅』(ダイヤモンド社)、『10年間飲みかけの午後の紅茶に別れを告げたい』(河出書房新社)。一児の父。好きな育児グッズは電動鼻吸い器。
著者のnoteにて、本文の一部を公開中▶▶▶https://note.com/hyosasa/m/m6b58ff10732b
★ こちらもオススメ!
今、最も注目される詩人、最果タヒの最新詩集。『さっきまでは薔薇だったぼく』
異例の大反響! 岸田奈美の爆笑&号泣エッセイ第2弾!!『傘のさし方がわからない』
沈黙を強いる「スティグマ(負の烙印)」の正体。『わたしからはじまる ──悲しみを物語るということ──』
思春期の脳は制御不能、マニュアルなしでは【取り扱い要注意】『思春期のトリセツ』
「後悔は一切ない」彼女たちが大金をホストに捧げるワケ。『ホス狂い』
関連リンク