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2021.10.6

人口400人の町にベビーラッシュ! 若者たちはなぜ石見銀山に移住するのか?『過疎再生 奇跡を起こすまちづくり』

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キーワード: 町づくり 地方創生 地方移住 田舎暮らし 古民家再生 Iターン 経済 ビジネス キャリア ライフスタイル

人口400人の町にベビーラッシュ! 若者たちはなぜ石見銀山に移住するのか?『過疎再生 奇跡を起こすまちづくり』

総務省主催「令和2年度ふるさとづくり大賞」内閣総理大臣賞を受賞した群言堂デザイナー・松場登美さんが、地方の町づくり&事業の極意を伝授!!

2021年1月、著者の松場登美さんは、人口400人の過疎の町、石見銀山を再生・活性化させた功績で、総務省主催「ふるさとづくり大賞」内閣総理大臣賞を受賞しました。

登美さんは、島根県大田市大森町でアパレルや飲食、宿泊を営む株式会社「石見銀山生活文化研究所」所長を務め、夫と共に立ち上げた「群言堂」ブランドを全国展開しています。

彼女がこの町で起業したのは、夫の大吉さんの故郷であるこの町に家族で帰郷した約40年前。

閉山後の鉱山町が辿る過疎化、高齢化という流れの中で、暮らしを楽しみながら、町にある宝を見つけて、事業や町づくりに生かしてきました。

 

«私は暮らしを楽しみながら見つけた町の宝を、事業やいわゆる町づくりに生かしてきました。この本では、この40年間を振り返りながら、私が「足元の宝」をどのように見つけて、それをいかして事業や町づくりにつなげていったのか、お伝えしていきたいと思います。地域の発展に力を尽くされているみなさんのお役にたてるのなら、これほどうれしいことはありません。»

(本書「はじめに」より)

「外から人を呼ぼうにも、うちの地域には何もない」「若い人たちが出ていって、町づくりの担い手がいない」・・・そんな地方の町づくりに悩む人にヒントになれば、と生まれたのがこの本です。

登美さんが話す事業と町づくりのポイントは3つ。

 

① 地域の足元の宝を見つける

自分の足元にあるものは当たり前すぎて、なかなかその価値に気づきにくいものですが、どこの地域にも、その土地にしかない気候風土や歴史、文化があります。

大森町の宝は、古い町並みや豊かな自然環境など。

登美さんは、町の中にある古民家を再生させて、本店や宿泊施設をつくりました。

人の集まる市内ではなく、鉄道の駅もなく、バスも一日数便の大森町の中に、あえて本店をつくったことは「広域的な発展がある」と考えてのことでした。

 

② 有志とともに町づくりをする

帰郷当時、登美さんは31歳、大吉さんは27歳。

ふたりは同世代の仲間たちと一緒に、町の未来について考えて実践する会を発足し、仲間たちとコンサートやイベントを開催し、地域に人を呼び込みました。

年に一度、町民全員が集合写真におさまる「町民元気カレンダー」は30年以上続く、小さな町ならではの素敵な取り組みです。

 

③ 経済49%、文化51%

経済性を優先させると文化的な魅力や地域独特の個性をなくし、その結果、経済性も失いかねない、とはいえ事業を継続するためには、経済性も無視できない、そのバランスを「経済49%、文化51%」が理想と登美さん。

昔から続くよきものを現代の価値に合わせて復活させる「復古創新」という群言堂のコンセプトは、文化を優先させる考えの表れです。

 

「これからは、地方の暮らしに息づく、文化的な豊かさが経済を生み出す時代になる」という登美さんのメッセージを、いち早くキャッチしたのが、感度の高い若者たちです。

大森町で働く社員のうち、約3分の2はライフスタイルを変えるためにやってきたU・Iターン者。

大田市の2012年からの調査によると、大森町に転入した世帯数は32世帯、出生数は43人、年間平均出生数は4.8人。

人口400人の町にベビーラッシュが起こっているのです。

単に収入だけでなく、稼ぐこと以上に有意義なことを求めてやってきているのではないかと登美さんは分析します。

本の中では実際に大森町に暮らす若者3人の事例も紹介しています。

また登美さんと志を同じくする友人である、島根県隠岐諸島の海士町で、地域づくりに取り組む阿部裕志さん、宮城県石巻市蛤浜の再生のために事業を立ち上げた亀山貴一さん、群言堂の商品開発やデザインを手掛けるグラフィックデザイナーの佐藤 卓さんとの対談記事も収録。

大森町の町づくりや群言堂の魅力について、別の視点から語っています。

「登美さんのやってきたことは小さな町の人を勇気づける」と言ったのは、元東大教授で町づくり専門の西村幸夫氏。

地方創生、地方ビジネスにかかわる人、必読!

この本を読めば、うちの地域でも町づくりができると思える一冊です。

 

『過疎再生 奇跡を起こすまちづくり

~人口400人の石見銀山に若者たちが移住する理由』

著/松場登美

 

【著者プロフィール】

松場登美(まつば・とみ) 

1949年、三重県生まれ。株式会社「石見銀山生活文化研究所」代表取締役。服飾ブランド「群言堂」デザイナー。1981年、夫である松場大吉の故郷、島根県太田市大森町に帰郷。1989年、町内の古民家を改装し、「コミュニケーション倶楽部 BURA HOUSE(ブラハウス)」をオープン。以降、数軒の古民家を再生させる。1994年、服飾ブランド「群言堂」を立ち上げる。2003年、内閣府・国土交通省主催「観光カリスマ百選選定委員会」より観光カリスマに選ばれる。2006年、文部科学省・文化庁より文化審議会委員に任命される。2007年、内閣官房・都市整備本部より地域活性化伝道師に任命される。2008年、日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2008 総合3位」に選出される。株式会社「他郷阿部家」設立。2011年、株式会社「石見銀山生活文化研究所」代表取締役に就任。2021年、「令和2年度ふるさとづくり大賞」内閣総理大臣賞受賞。『群言堂の根のある暮らし―しあわせな田舎石見銀山から』(家の光協会)、『なかよし別居のすすめ―定年後をいきいきと過ごす新しい夫婦の暮らし方』(小学館)など著書多数。

 

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