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2021.9.7
少女マンガの先駆者・花村えい子の膨大な全仕事に迫る!『花村えい子本』
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キーワード: 漫画 漫画家 少女マンガ 花村えい子 出版文化
少女漫画黎明期からずっと「カワイイ」の最前線!
エンターテインメント性溢れる華やかな作風で人気を博した、漫画家・花村えい子氏(享年91歳)。
彼女が作家として歩んだ道のりは、そのまま少女マンガの歴史と重なります。
女性の、女性による女性のための創作として、世界でも稀有な表現とされる少女マンガを、その黎明期から中心作家の一人として支えました。
可憐な少女、色彩豊かな花々、妖艶な大人の女性・・・さまざまな世代の女性たちがそれぞれに抱える葛藤を、繊細な筆致でいきいきと描き出し、多くの人々を魅了。
時代によって移り変わる世相を鮮やかに掴みつつ、貸本から少女雑誌、学年誌から少女マンガ、そして青年誌からレディースコミックと、あらゆる媒体でクオリティの高い作品をコンスタントに発表し続けた一生涯でした。
1959年のデビューから60年以上に及ぶ長い作家人生の歩みは多岐に渡り、今ではその全仕事を追うことはかなり困難となってしまっています。
この本では、美しいカラーイラスト・単行本未収録の短編作品などに触れながら、「花村えい子」生涯の全仕事を作品リストや関連資料とともに紹介。
気鋭の漫画研究者らによる各時代の作品についての論考、花村氏の人物像を知る関係者による証言など、「漫画家・花村えい子」を多角的に照射します。
また、交流のあった里中満智子氏、さいとう・たかを氏、ちばてつや氏、わたなべまさこ氏、辛酸なめ子氏による寄稿、楳図かずお氏の特別インタビューも収録。
さらには、1980年「プレイコミック」に掲載された「雪の花」を再録するなど、大変盛りだくさんの一冊です。
«上品さと可愛らしさと叙情性、それが先生の真骨頂です。それが一番発揮されたのは、フランス進出ではないでしょうか。
外国、特に欧米の価値観とは相いれないのではないかと思い込んでいた「可愛い文化」が先生の絵によって認められたのです。ルーブル美術館で展示会を開き、フランスの国民美術協会からサロン入会を認められたのです。»
(本書「オープニングコラム 花村えい子先生へ/里中満智子」より)
ファンのみならず、日本漫画界においても貴重な漫画家本。
「漫画家本」シリーズ好評既刊はこちら▶▶▶https://www.shogakukan.co.jp/comics/series/110101
【花村えい子(はなむら・えいこ)プロフィール】
埼玉県川越市生まれ。女子美術大学絵画科中退。結婚後に住んだ大阪で1959年金竜出版社の貸本誌『別冊・虹』掲載の「紫の妖精」でデビュー。雑誌デビューは1964年『なかよし』11月号掲載「白い花につづく道」。代表作は「霧のなかの少女」、自身の母親の生涯を描いた「花影の女」、ライフワークとして取り組んでいた『源氏物語 上中下巻』、自叙伝『私、まんが家になっちゃった!?』など。日本漫画家協会名誉会員、フランス国民美術協会正会員。2020年、91歳没。
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