お知らせ
2020.2.20
第1回「日本おいしい小説大賞」圧倒的満票の受賞作!『七度笑えば、恋の味』
この記事は掲載から10か月が経過しています。記事中の発売日、イベント日程等には十分ご注意ください。
キーワード: 小説 グルメ 食 恋愛
選考委員こぞって大絶賛!
〝食〟をテーマとするエンターテインメント小説という縛りで一昨年より募集を開始した「第1回 日本おいしい小説大賞」。
総応募数160作の中から第1回の大賞に輝いたのは、古矢永塔子著「七度洗えば、こいの味」。
選考委員の山本一力氏、柏井壽氏、小山薫堂氏による大絶賛を得て、満場一致で受賞した今作がこの度、『七度笑えば、恋の味』とタイトルを変え、書籍化されました!
美味しそうな料理の数々、ほっこり心温まる登場人物たちの会話、そして思わず納得してしまう、44歳差の恋!
はやくも書店員や読者のあいだで話題沸騰中!
今年いちばんおいしい、極上の「恋味」小説を、どうぞご賞味ください。
選考委員の先生方による熱々推薦コメントはこちら!
上手いものを堪能したときの満足感と、本作の読後感とは同一のものだ。――山本一力氏(食の代表作『銀しゃり』)
ただ「おいしい」だけの小説ではない。人情という糸で人を結び、縁を紡ぐ物語である。――柏井 壽氏(食の代表作『鴨川食堂』)
心を満腹にしてくれる傑作! 映像化される前に、いち早く召し上がれ!――小山薫堂氏(伝説のTV番組『料理の鉄人』構成)
「おいしい小説大賞」の詳細はこちら▶▶▶https://www.shosetsu-maru.com/pr/oishii-shosetsu/
優しい七皿を召し上がれ!
人目に触れぬよう外では常にマスクと眼鏡を身につけて暮らしている28歳の日向桐子。
強烈な容姿コンプレックスをもち誰にも心を開かない桐子は、多くの職場を転々としてきたが、〝優しい料理〟のサービスに力を入れる単身高齢者向けマンション「みぎわ荘」での仕事は気に入っている。
ところが、新しく調理補助のアルバイトで入った墨田の言動が彼女の心をかきむしる。
ここにも居場所がなかった・・・・・・そう思っていた桐子の前に偶然現れたのは、「みぎわ荘」の住人で、〝優しい料理〟を一切食べに来ない匙田譲治だった。
自由気ままな不良老人・匙田に言われるがまま連れてこられたのは「居酒屋やぶへび」。
匙田は慣れた様子でカウンターの内側に入っていった。
大雑把ながら手際よくつくられた白いスープが桐子の目の前に置かれた。
‹‹ためらいながらもマスクを外す。顔を見られることの怖さを、鼻いっぱいでおいしそうな香りを吸い込みたいという欲求が上回った。
ほっこりとした湯気と共に立ちのぼる甘い香り。まずはサーモンをスプーンですくい、おそるおそる口に運ぶ。心配していたような生臭さはなく、日本酒のすっきりした香りで、旨味だけが存分に引き出されている。冬野菜の甘みが溶け出したミルクスープは、じんわりと私の舌をあたため、喉をすべり落ちてゆく。スープが通っていた道筋が、熱を持ったように温かくなる。
「・・・・・・おいしい」
呟くと同時に、涙が溢れていた。匙田さんがどんな魔法を使ったのかは知らない。それでも、酒粕の香りがする熱いミルクスープは、頑なだった私の心を、たったひと匙でほどいた。››
いつしかお店の常連となった桐子は、おいしい料理と心優しい人たちに囲まれ、自分の在り方を見つめ直していく。
本当の自分でいられる場所を見失っているあなたへ。
温かくてほっと安らぐ、極上の「おいしい小説」はいかがですか?
著/古矢永塔子
第1回「日本おいしい小説大賞」受賞のことば
「私が小説を書き始めたのは、娘とのふとした会話がきっかけでした。『お母さんの将来の夢は?』という問いに『お母さんはもう大人だから』と返した私に対し、娘はひとこと『大人は夢を見ちゃいけないの?』と不思議そうに言ったのです。その日から、毎日少しずつではありますが物語を書き続け、夢を追い続けてきました。
今回、賞の創設の言葉にありました『三十代から五十代の女性は食にまつわる物語を求めている』という部分を読み、ならば三十代の自分が今一番読みたい物語を書いてみよう、と思い立ちました。
特別なご馳走ではない、日常のなかにある料理。調理をしながら込められた作り手の思いと、受け手が味わう苦みや甘み、そこから自然とこぼれる涙と笑い。できることならいつまででも書きつづけてゆきたい、愛おしい物語になりました。
最後になりますが、選考委員の先生方、審査に携わって下さった全ての方々と、執筆中の私を応援し支えて下さった皆様に、心から御礼申し上げます」
【著者プロフィール】
古矢永塔子(こやなが・とうこ)
1982年青森県生まれ。弘前大学人文学部卒業。 2017年より小説を書き始める。現在は高知県在住。
★こちらもオススメ!
・「鴨川食堂」の次は、ぜひ当館へお越しください!『海近(うみちか)旅館』
・小山薫堂が書き上げていた第1稿シナリオ!『おくりびと オリジナルシナリオ』
・「小説はこんな面白さも表現できるのか」ベストセラー作家が皮肉とユーモアと反骨の傑士の半生に光を当てる。『太平洋食堂』
・悩みや葛藤を抱えながらも前に進む人々の〝生き様〟をポップなビートに乗せて描く、『お願いおむらいす』
関連リンク