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2019.8.25

越中八尾を舞台に描く優美で幻想的な純愛小説。『燈火 風の盆』

越中八尾を舞台に描く優美で幻想的な純愛小説。『燈火 風の盆』

江戸時代から続く祭り「おわら風の盆」で出会ったふたりの運命は・・・・・・

富山県の八尾地区に江戸時代から伝わる祭り「おわら風の盆」。

山から吹き下ろす風を鎮め、豊作を願い、彼岸に旅立った人たちを供養するために、9月1日から3日3晩、「おわら節」を唄い、奏で、踊り明かす。

この幽玄な世界をひと目見ようと、毎年20万人から30万人もの観光客が押し寄せる。

 

‹‹――あのねえ、和ちゃん。

おわらの風の盆には、風封じと五穀豊穣を願うほかに、もう一つ、意味があるやで。

彼岸に旅立った人たちにもう一度、あいたいなぁ・・・・・・。

そんなふうに真心を込めて一生懸命踊ったら、彼岸から会いにきてくれるかもしれんちゃねぇ――。››

 

「おわら節」の唄声に合わせ、一心に踊る珠美。

群衆の中から彼女に向けて焚かれたストロボ。

カメラを構える青年の頬に伝わる幾筋の涙・・・・・・。

 

‹‹「さっきはごめんなさい。勝手に写真撮って」

彼が申し訳なさそうに近づいてきた。ストロボのことも、新しいカメラで設定を間違えてしまったのだと謝った。

「え、そうじゃなくて、あの・・・・・・」

珠美は口ごもった。だって、なんて言えばいいの。どうしてあのとき、泣いていたんですか。いきなりそんなぶしつけな質問はできない。

「ああ・・・・・・泣いてるとこ、見られちゃった?」

珠美の様子で察したらしく、彼は照れくさそうに頭を掻いた。

「ちょっとその・・・・・・なんか、溢れ出しちゃって」

「・・・・・・溢れ出す?」

ついおうむ返しに訊ねる形になってしまったけれど、彼はどこか寂しそうな表情で答えず、代わりにまっすぐなまなざしを珠美に向けた。

「きみの踊り、すごくきれいだった」››

 

八尾の和紙工房の一人娘・珠美と東京の写真学校生の裕太。

ふたりは運命の糸を手繰り寄せるようにむすびつく。

ところが、裕太は不慮の事故で帰らぬ人に。

せめて一度だけでも、裕太に風の盆で踊らせてあげたかった・・・・・・。

喪失感から抜け出すことのできない珠美は、ふとしたきっかけで曾祖母・辰乃の悲恋とその後の人生を知る。

かつて売れっ子芸者で踊りの名手だった辰乃は、「おわら風の盆」の夜、幼馴染の信二と再会。

実らないと自覚しながらも恋に落ちてしまう・・・・・・。

 

すれ違うふたり。

叶わぬ想い。

富山八尾の伝統芸能・工芸を背景に、時空を超えて紡がれる、切なくも美しい恋物語。

 

☆ 珠美役に大野いと、裕太役に白石隼也、辰乃役に橋本マナミ、信二役に市川知宏で映画化が決まっています!

 

『燈火 風の盆』

著/豊田美加

 

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