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2019.6.12

スウェーデンの年間ベストセラー第2位。重厚でスリリングな超弩級の歴史ミステリー!『1793』

スウェーデンの年間ベストセラー第2位。重厚でスリリングな超弩級の歴史ミステリー!『1793』

1793年、秋。

湖で発見された男の死体は四肢と両眼、舌と歯を奪われ、美しい金髪だけが残っていた。

フランス革命から4年。

革命の混乱が続き、前年に国王グスタフ3世が暗殺されたここスウェーデンにも、その風は吹きつつあった。

無意味な戦争、貧困や病にあえぐ民衆の不満と怒りはマグマのように煮えたぎり、王室と警察は反逆や暴動を恐れ疑心暗鬼となっていた。

 

そんな中、ストックホルムの湖で見つかった無残な男(仮名:カール・ヨハン)の死体――。

 

‹‹カール・ヨハンには腕も脚もない。四肢はどれも、ナイフや鋸(のこぎり)の届くかぎり、できるだけ胴体に近いところで切断されている。その顔には瞳がない。眼球が眼窩(がんか)からくり抜かれているのだ。残された身体には栄養不良の痕跡がみられる。肋骨が浮き出ている。腹はガスでふくらみ、臍(へそ)が飛び出していているが、(中略)成人した男性の厚みはない。頬は落ちくぼんでいる。生前の彼に備わっていた特徴の中で、なによりも良好な状態を保っているのが、髪だった。この教区に属する敬虔(けいけん)な信徒が石鹸で洗い、くしけずったのだろう、波打つ明るい金髪が台から垂れている。››

 

警視庁から依頼を受けた法律家ヴィンゲと、戦場帰りの荒くれ風紀取締官カルデル。

貧しく汚く腐敗したストックホルムで、二人の男が殺人事件の謎を追う。

重い結核に冒されたヴィンゲの捜査は、時間との闘いでもあった・・・。

 

大胆で繊細、スリリングで濃密なスウェーデン発、大型歴史ミステリー!!

著者は本作執筆にあたり、1793年のスウェーデンを深く掘り下げた。

 

‹‹一七九三年という年を選んだのは、ヨハン・グスタフ・ノルリーン警視総監がいたからだ。彼はこの年の一月、ニルス・ヘンリック・アシャン・リリエンスパレの後を継いで警視総監の座に就いたが、同じ年の冬にはもう辞めさせられて、横領犯ウルホルムが後任となった。これらの事実が、この本の背景となっている。加えて、第三部を書きはじめた時点で、この年を選んだのが大正解だったことがはっきりしてきた。長島(ロングホルメン)に関するグンナル・ルードステットのすばらしい本に、当時の紡績所の状況が詳しく記されていたのだ。殺人の前科のある管理人ペッテル・ペッテションと、所長のビョルクマン、その仇敵(きゅうてき)であるネアンデル牧師の関係についても書かれていた。このうちビョルクマンとネアンデルは、対立関係が極限までエスカレートしたのち、どちらも一七九三年に紡績所を去っている。しかも一七九三年の冬は、十八世紀半ばに始まった日中平均気温の測定記録によれば、観測史上最も寒い冬だったという。このほかにも、一七九三年にはいろいろな要素が詰まっていた。››(「著者あとがき」より)

 

訳者はスウェーデン在住の翻訳家ヘレンハルメ美穂

スティーグ・ラーソン著「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」、M・ヨート&H・ローセンフェルト著「犯罪心理捜査官セバスチャン」など多数の訳書をもつ。

 

‹‹『1793』はニクラス・ナット・オ・ダーグ(一九七九年生)のデビュー作で、本国スウェーデンでは二〇一七年九月に刊行された。その際にまず注目されたのが、ナット・オ・ダーグ、〝夜と昼〟という変わった姓であったことは否めないだろう。ナット・オ・ダーグ家は、スウェーデンで現在も続いている中では最古の貴族の家系であり、一二八〇年にはじめて公の記録に登場する。現在のスウェーデン人の中にはもちろん、これが由緒正しい貴族の名であることを知らない人も多く、「『面白い名前だね、自分で考えたの?』と言われてしまうこともある」とは著者の弁だ。いずれにせよ目を引いたことはまちがいない。

だが、刊行後の『1793』は、著者名よりもその内容が注目を集め、スウェーデン推理作家アカデミー新人賞を受賞。ほかにも複数の賞を獲得し、二〇一八年のベストセラーリストではペーパーバック部門の二位に入るなど、デビュー作ながらもひじょうに高い評価を得た。››(「訳者あとがき」より)

 

『1793』

著/ニクラス・ナット・オ・ダーグ 訳/ヘレンハルメ美穂

 

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