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2018.11.20

わたしは生まれつき〝痛み〟を感じない。『無痛の子』

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わたしは生まれつき〝痛み〟を感じない。『無痛の子』

手錠にシャンパンに赤い薔薇・・・・・・薄くリボン状に剥がれた皮膚

自宅のベッドで無数の薄いリボン状に皮を剥がれた女性の遺体が発見された。

血まみれの腹の上には赤い薔薇。

ナイトテーブルには手錠とシャンパン。

ボストン市警殺人課の女刑事D・D・ウォレンは、その異様な様子から、ただの事件現場ではないと察知する。

なぜ殺人現場を舞台のように演出するのか?

なにかが引っかかり、ただひとり現場に残った彼女は、怪しげな気配を感じる。

 

‹‹そのとき、闇のなかから聞こえてきた。低く楽しげな歌声が「おやすみ赤ちゃん 木の上で・・・・・・」

D・Dははっと足を止めた。侵入者の姿を探して、反射的に視線をあちこちに走らせる。歌はまだ続いている。ゆっくりとからかうような調子で。「風が吹いたら ゆりかごゆれた・・・・・・」

そのときわかった。それとともに全身の血が凍るのを感じた。なぜ舞台を演出するのか。観客に見せるためだ。あるいは、ある特定の観客に見せるため。たとえば、うかつにもたったひとりで現場に戻ってくるような、仕事熱心な刑事に。

D・Dはいまさらのように携帯電話に手を伸ばした。

その瞬間、背後で音がした。

目を見ひらき、はっと振り向く。

闇のなかから人影があらわれ、まっすぐこちらに向かってくる。

「枝が折れたら ゆりかご落ちた・・・・・・」

D・Dは本能的に一歩あとずさった。階段の上にいるのを忘れて。左足が空を踏んだ。

携帯電話が手から落ち、シグ・ザウエルが天井を向く。なんとか前かがみになってバランスを取りもどそうとする。

そこで・・・・・・影が腕を突きだした。D・Dは後ろ向きに落ちていった。

落ちて、落ちて、落ちて・・・・・・››

 

D・Dは左肩に大怪我を負い、転落前後の記憶も失ってしまう。

それから6週間後、同様の手口による殺人が発生したが、D・Dは怪我のために捜査に加わることができない。

リハビリのためにペインクリニックを訪れた彼女は、生まれつき痛みを感じないことから、〝痛み〟を仕事にしたという精神科医の女性、アデライン・グレンに出会う。

 

わたしの父は殺人鬼。

わたしの姉も殺人鬼。

アデラインには驚くべき秘密があった。

彼女の父は8人の女性を手にかけ、逮捕直前に自殺したシリアルキラーのハリー・デイだった。

さらに、彼女の姉シェイナは14歳で初めての殺人を犯し服役中だった。

しかも、ハリー・デイとシェイナの趣向は、今回の事件と類似していた。

皮剥ぎ――――。

 

D・Dとアデラインが出会ったのは偶然なのか?

犯人の真の狙いは?

残酷な運命の下に生まれた女医と、執念を燃やす手負いの女刑事のドラマティックすぎる傑作サスペンス!

 

2016年に刊行されたD・D・ウォレンシリーズ「棺の女」の前日譚。

本シリーズは、アメリカでは新作が出るたび、ベストセラーリスト入りする人気シリーズです!

もちろん、シリーズのことを知らなくても、今作だけで楽しめるようになっています。

 

 

小学館文庫

『無痛の子』

著/リサ・ガードナー  訳/満園真木

 

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