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2019.3.5
超記憶をもつ少女の忘れられない物語。小学館文庫『世界が記憶であふれる前に』
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過去に捕らわれ、未来に絶望した少女・ナノの病名は超記憶症候群
8歳の夏から、すべて覚えている。
見たもの、聞いたこと、触れたもの、そのときの感情も全部。
でも、さすがにメモリーが限界だ。
自身の異変を察知しはじめたナノ。
東京大学医学部にダントツの成績で合格し入学するが、超記憶症候群が治る見込みがないことを悟り、退学を決意する。
フリーターになったナノは、表参道の高級スーパーでレジ打ちのバイトをはじめる。
といっても、たった一日だけ。
‹‹二時を過ぎた頃からクレジットカードで決済する客が増えてきた。それもハイグレードなカードばかり。カードを受け取る度に表も裏も丹念に見た。見るだけだ。
4時28分、やっと五十人目のクレジット決済。まだ足りない››
一度目にしたものは、決して消えることがない。
ナノはこの特殊能力をつかって、クレジットカードの情報を入手し、多額の現金を得ていた。
女性にだまされて借金をしたあげく、ナノに口座の金を盗まれたソライ
一方、宅配ドライバーのソライは、ほれた女性にだまされて300万の借金を抱えてしまう。
親や友人に頭をさげてようやく金をそろえたソライだったが、銀行に預金を引き出しに行くと、口座はからっぽになっていた。
表参道のスーパーで買い物をした際、ナノの目の前で財布の中身をぶちまけ、ネットバンキングの暗証カードを見られたからだ。
なんの手がかりもなく、警察すらお手上げの完全犯罪かと思われたが、ソライは宅配ドライバーならではの経験でナノにたどり着く。
「盗んだお金を返す」というナノに帯同して、マネーロンダリング先の香港に行くソライ。
銀行で無事に金を引き落とし、帰国しようとしたところで、事態は急展開!
記憶があふれ出てくるナノと、ごくふつうの男・ソライ、ふたりの運命はいかに・・・?
すべての物事を忘れられない痛切さを描いた悲劇。
著者は舞台の演出、TV番組や映画の脚本家として活躍し、2014年に岡田将生主演で映画化され大ヒットした「彼女との上手な別れ方」(映画のタイトルは「想いのこし」)で作家デビュー。
〝絶対記憶〟ともいうべき能力をつかって世の中を駆け抜けるナノの描写が痛快!
ユニークな設定と驚愕の展開にハラハラドキドキ!
ラストは感情があふれ出して止まらない・・・。
著/岡本貴也
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