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2019.2.3
この葬儀場では、奇蹟が起きる。第19回小学館文庫小説賞受賞作!『ほどなく、お別れです』
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3+1回泣ける!「神さまのカルテ」以来の最強デビュー作!!
大学生4年生の清水美空は、就職活動がうまくいかず、秋になっても大学の就職課に顔を出していた。
ある日、悶々とした日々を送っていた彼女に、バイト先の「坂東会館」から電話が入った。
スタッフ不足で、今すぐ人出が欲しいそうだ。
こういう時、どれだけ忙しい状況か美空は理解していたが、自分を必要としてくれることが嬉しくて、半年ぶりとなる葬儀場のアルバイトに復帰した。
そこで美空は、見慣れない葬祭ディレクターの男と僧侶に出会う。
‹‹事務所でお茶でも飲もうと、階段を下りたところでさっきの男を見かけた。確か漆原だ。
到着した僧侶を迎えに出たようで、駐車場へ通じる自動ドアから連れ立ってロビーへと入ってくるところだった。
最初の印象の通り、四、五十代のベテランが多い坂東会館の葬祭ディレクターの中では、かなり若い気がする。身長があって姿勢がいいので、黒いスーツ姿が様になり、いかにも葬儀屋らしい。
一緒にいる僧侶も漆原と同じくらいの年齢に見えた。若い僧侶に会ったのは初めてで、もの珍しくてついまじまじと眺めてしまった。ある程度の年齢を重ねているほうが、貫禄があって、ありがたみも違う気がするな、などといささか失礼なことを考えてしまうのも、普段ここを訪れる熟練の僧侶たちを見慣れているためだ。
おまけにもうひとつ奇妙なことがある。通常、僧侶は式の時にまとう袈裟などの入った大きなバッグを持ってくる。普通ならば迎えにきた担当者がそれを持つものだが、漆原はなぜか手ぶらで、僧侶が自らそのバッグを手にしていた。
ふたりが近づいてきたので、立ち止まって慌てて頭を下げた。
すぐ目の前を漆原の革靴がさっと通り過ぎた。潔い歩き方である。やや遅れて続いたのは僧侶の草履の足音だ。こちらはゆっくりと静かなものである。知らないふたりだが、歩き方も性格を表すようで面白く思っていると、僧侶が私の前でふと立ち止まった。
おや、と思ううちに、再びゆっくりと通り過ぎていった。一瞬感じた視線に、息が詰まる思いがした。ふたりはエレベーターに乗り込み、ようやく私は体の緊張を解いた。››
久しぶりに忙しく体を動かした美空は、心地よい充実感に満たされていた。
そんな彼女に、漆原からクリスマスイブの日の葬儀を「手伝ってもらいたい」と指名が入った。
訳ありの葬儀ばかり担当する漆原が、なぜ彼女にサポートを依頼したのか?
僧侶が美咲の前で、ふと立ち止まった理由とは・・・?
3+1回泣ける!「神さまのカルテ」以来の最強デビュー作!!
夫との死別から2年の歳月をかけて書き上げた、この冬を最高に温かくする新たなベストセラーの誕生です。
「神様のカルテ」の著者、夏川草介氏から推薦文が届いています!
「私の看取った患者さんは、『坂東会館』にお願いしたいです」
――医師・作家/夏川草介
全国の目利き書店員さんからも絶賛の嵐!
「この本を読むことで私たちは、別れが訪れる前に、生きているうちに、伝えなければならない想いがあることを知る。いま、大切な人に『大切だ』と伝える勇気がもてなかったら、この本を読んで欲しい。もし、それでも伝えられないならば、この本をそっと大切な人へと贈って欲しい。抜群のデビュー作です」(さわや書店フェザン店 松本大介さん)
「登場人物それぞれの気持ちに涙し、最期の別れの儀式を通して美空が成長していく様子を、まだまだ読みたいと思いました。心があたたかくなる作品です」(宮脇書店ゆめモール下関店 吉井めぐみさん)
「今を生きる人達へ、柔らかな綿毛のような癒しが届けられる一冊です。まるで映画を観ているかのように映像が広がり、感涙しました」(うさぎや矢坂店 山田恵理子さん)
「自分が経験した〝お葬式〟や、あちらへ見送った身内のことが重なり、涙が止まりませんでした。『ほどなく、お別れです』というタイトルから『しばらくしたら、また会えるね』という思いが胸にあふれてきます」(ブックランドフレンズ 西村友紀さん)
「大切な人を亡くした時、ずっと思い続けることが愛だと思っていた自分に、愛ある別れは必要だと、この作品は教えてくれた」(ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん)
「坂東会館のお葬式は、旅立ちを迎えるその人の、生きた道を最後に照らす、あたたかい光でした」(平和書店TSUTAYAアル・プラザ城陽店 奥田真弓さん)
第19回小学館文庫小説賞受賞作
著/長月天音
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