同じ地層から時代の違う骨、出現！？

福岡県の中央、あさくら市にある大学のキャンパスに通う考古学専攻の田中灯里。

キャンパスに生えるたんぽぽを主食にするほどハードな極貧生活を凌ぐため、男前な古賀先輩に福岡グルメをたかりながら、アルバイトに精を出す毎日だ。

昔から妙に〝持っている〟灯里は、スコップ片手の発掘現場でたびたび貴重なものやヘンなブツを掘り当てては、西枝教授（人はいいが運は悪い）から羨ましがられたり、古賀先輩から呆れられたりしていた。

ある日、古賀先輩が敬愛する西枝教授から、研究室で発掘した遺物に〝偽装の疑い〟がかけられているという不穏な話を聞いた灯里。

疑惑の遺物は、先日、灯里がかかわった発掘調査で掘り出されたものだったが、同じ年代の地層から出たふたつの棺の中に、それぞれまったく時代の違う人骨が納められていたという。

‹‹「この現場、そういえばちょっと変わってましたよね」

灯里は、気持ち悪くならない程度に目を休ませながら、資料を読む。

「家が一つと、甕棺が二つ見つかっただけ。近くに他になにもなかったですよね」

「他にいくつか甕棺が見つかると思ったけどそうでもなかったわね。しかし、たまたま、トレンチ調査でぶつかったから良かったけど、普通に気づかずに作業始めてしまってもおかしくない場所だったわよね」

調査前の段階では、あまり出ることはないだろうと思われていた地域だった。そういう場所はトレンチ調査、すなわち試しに穴を掘ってみて遺物が出るか否かで、発掘調査をするか決めるのだ。

「なんか民家っぽいあとはありましたけど、それと甕棺が二つ、なんか消化不良な感じでした」

灯里はぺらりと資料を読みながら言った。››

灯里と古賀先輩は、あり得ない事態に困惑するが・・・・・・。

発掘現場に隠されたやっかいな謎を、タフな女子大生・灯里と隠れ甘党な古賀先輩が解き明かす！

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考古学のプチ知識にワクワクしながら、サクサク読めちゃいます。

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著／日向 夏　 イラスト／ｖｉｅｎｔ

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