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2018.9.16
叶わぬ恋に身を焦がす純情侍、久能山東照宮へ。『提灯奉行 一寸法師の怪』
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愛しい御台様が失踪した!
「暴れん坊将軍」「遠山の金さん」の名脚本家による人気時代小説シリーズ第2弾!
文化十年(1813)、十一代将軍家斉(いえなり)の正室寔子(とくこ)の夢枕に、夜な夜な一寸法師が立って、「母様、わたくしを救って下さい」と囁いた。
寔子を母様と呼ぶのは二人しかいない。
御台所はこれまで二人の男児を授かったが、長男・敦之助(あつのすけ)は四歳、次いで生まれた長丸(ちょうまる)は生後三カ月でこの世を去り、水子として葬られた。
長丸の死に関しては、近習の者しか知らず、記録では存在しないことになっている。
一寸法師は長丸に違いない。
深夜、奥御殿をさ迷い歩く寔子。
御台所の様子に異変が生じたと察知したお年寄り筆頭の今和泉(いまいずみ)は、過ぐる年、織田信長の影の軍団・影母衣衆(かげほろしゅう)の残党から寔子を救った白野弁蔵に相談を持ちかける。
弁蔵は表向き、提灯奉行という軽輩者だったが、その実、御目付神保中務(じんぼなかつかさ)から陰扶持(かげふち)を頂戴する直心影流の達人だ。
しかも、去年の救出劇以来、弁蔵と寔子は密かに心を通わせる仲になっていた。
叶わぬ恋に身を焦がす純情侍・白野弁蔵に、今和泉の頼みを断る謂れは微塵もない。
‹‹「みどもの勘では、またぞろ影母衣衆の陰謀が動き始めたように思うのですが」
「誰かが御台様に魔の手を伸ばさんとしていると、そう申すか」
「はっ、影母衣衆の祖には忍び人がおりまする。彼奴(きゃつ)らが繰り出す魔術は途方もござらぬが、みどもの考えでは恐らく幻術ではないかと」
「幻術とな」
神保が射るような目で弁蔵を見た。
「めくらましの術を仕掛け、夢と現(うつつ)の区別がつかぬようにして相手を取り込み、その果てに思うがままに操るのでござる。それがための御台様の夢遊の病ではないかと」
「御台様を操り人形にして滅ぼす腹か」
「御意」
「その下手人、身近におるな」
「まずはこの数カ月の内で、御代様のおそば近くに仕えし女中を調べてみては如何かと」
御台様の付女中は数人を除き、入れ替わりがよく行われる。萩と楓は古くから仕えているが、由羅と千勢は新参だ。
「相わかった、よく知らせてくれた」
「ははっ」
神保の言葉に答え、弁蔵は平伏した。››
探索の最中、性懲りもなく大奥に忍び入った影母衣衆を成敗したのもつかの間、思いもよらぬ事態が出来する。
城中から御台所と今和泉が姿を消したのだ。
長丸のお骨は神君家康公を祀る久能山東照宮にあった。
弁蔵はすぐさま、自分を親分と慕う鳶の朝吉(あさきち)と元辰巳芸者の君蝶(きみちょう)を引き連れて東海道を西上し、駿河国に着到する。
御台はなぜ突然、失踪したのか。
五十路の純情侍・弁蔵の恋の行方は?
迫力のアクションシーンあり、慕情あり、見どころ満載でページをめくる手が止まらない。
発売後即、大重版した1作目に続く豪剣時代小説シリーズ第2弾です!
著/和久田正明
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