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2016.12.13
江國香織×森雪之丞 巨星ふたりのかわす言葉が暗闇でスパークする連弾詩集 『扉のかたちをした闇』
この記事は掲載から10か月が経過しています。記事中の発売日、イベント日程等には十分ご注意ください。
キーワード: 詩
愛を紡ぐ小説家と作詞家が
詩の舞台でコラボ!
‹‹詩は暗闇に生息するのだと思う、
とあるとき私が言うと、
森雪之丞さんは、
でも、もしその暗闇が扉のかたちなら、
あけることができる、と言いました。
びっくりした。だって、
扉のかたちをした闇――。
そんな大胆な発想のできるひとを、
私は他に知りません。
それ、あけたらどうなるんでしょう。
おそるおそる尋ねると、
雪之丞さんは静かに優雅に微笑んで、
それは、あけてみれば
わかるんじゃないでしょうか、と、
いつもの丁寧な言葉遣いでこたえるのでした。
そこで、私たちは詩の朗読会
(タイトルはもちろん「扉のかたちをした闇」)
を始め、一緒に詩を書く
(タイトルはもちろん「扉のかたちをした闇」)、
ということをしてみました。
あとは誰かがこの扉をあけてくれるのを、
息をひそめて待つばかりです››
(はじめに)
1年、12か月をテーマに
江國香織、森雪之丞、
それぞれが書いた詩。
江國香織の詩を受けて、
森雪之丞がこたえる連詩。
「男のひとは
愛に疲れやすいので
愛に倦(う)まない女たちは
自分ひとりで愛に溢れる」
(江國香織)
「女のひとは
愛をむさぼり生きるので
愛を産めない男たちは
夢を耕して愛を補う」
(森雪之丞)
ゴッホ、アンリ・リソーなど
絵画作品をモチーフに
それぞれの詩の3部構成。
ふたりがニューヨークと東京で
やりとりした往復書簡も収載。
‹‹二人で朗読会を始めた頃、
詩についてのインタビューで
江國香織さんは言いました。
いつもの、小鳥のさえずりのように
愛らしい声で、小リスのように
真摯な上目遣いで。
「私はただ、ここにある世界を
言葉にしているだけです。」と。
―――びっくりしました。
だって退屈で煩雑なこの世界を、
切なく愛しくスリリングな
ワンダーランドに変貌させてしまう
江國さんの詩の根源が
「ただ言葉に写し取るだけ」なんて、
目から鱗が落ちました。
僕はと言えば、
見えないモノを見ようとして、
言えないコトを言おうとして、
自分に都合の良い仮想世界を造ることに
躍起でしたから(今でもその傾向は
ありますが・・・・・・)本当に驚いたのです。
詩人の目や耳や心を通せば、
この世界はすでに果てしなく魅力的で、
そこに生きていることがすでに
狂おしい物語であることを、
僕は江國さんから学んだのでした››
(あとがき)
作家と作詞家、
それぞれのジャンルの重鎮が、
たがいの持ち味を存分に発揮した
ソロプレイの応酬。
静寂のなか、かわされる
言葉たちが心の中でスパークする
切なくも美しい連弾詩集です。
著/江國香織 著/森雪之丞
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