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2018.1.20
日本の幸福は「裏日本」にある。酒井順子版〝陰翳礼讚〟『裏が、幸せ。』
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キーワード: 旅 エッセイ 日本海
酒井順子ならではの視点で、「裏」の宝ものを存分に伝えるエッセイ。
〝控えめだけれども鋭い光を放つ〟日本海側。金箔や漆などの民藝、仏教、盆踊り、演歌、美人、文学、鉄道、田中角栄など、日本海側の魅力満載!
‹‹日本海側において感動した光景の数々は、「裏」であるからこそ残ったのではないかと思ったのです。してみると、裏日本という言葉からにじみ出るのは、えもいわれぬ魅力。万人に開かれた「表」がもはやスレきった土地となった今、裏原宿にしろ裏磐梯にしろ、「裏」のつく場所は、人に「何があるのだろうか」と思わせます。人知れず素晴らしいものが隠されているのが裏、という気がしてならないのです。››(はじめに 「裏」性の魅力より)
経済発展=幸福として、太平洋側=「表」を中心に走ってきた日本ですが、昨今、とくに東日本大震災以降、その構図はくずれつつあります。
経済至上主義によって、私たちは、日本人にとって大切なものをたくさん失ってきたのではないかということに、多くの人が気づき始めているのです。
そして、その開発の手を逃れて、ひっそりとマイペースで生きてきた日本海側=「裏」には、裏だからこその日本の大切なもの=「幸せ」が、たくさん詰まっている、と日本中を何度も旅してきた著者は魅了されました。
富山にある世界一のスタバ、日本海が必須の演歌、美人が多い秘密、谷崎潤一郎、水上勉、泉鏡花、川端康成が描いた「裏」、顔を隠す盆踊り、金箔のほとんどを生産する金沢・・・などなど、「裏日本」の宝ものがユニークな切り口で、次々と紹介されます。
都道府県別幸福度ランキングでは、トップ3は福井、富山、石川の北陸三県。
「控えめだけれど、豊かで強靭な」裏日本の魅力から、現代に生きる人々の幸せを探っていきます。
東京の中心で静かに時代を見つめてきた著者だからこそ書ける、痛快な日本文化論です。
読んだら必ず「裏の幸せ」を求めて旅に出たくなります!
解説は福井県出身の宮下奈都さん。
‹‹彼女が、裏が幸せだと書くからこそ、胸に響く。「明るくて賑やかなことだけが発展や幸福の形ではなく」という言葉に打たれる。表と裏の境目が揺らぐ。ずっと感じていたのにうまくは伝えられなかったことが、酒井さんによってわかりやすく文章にされている。心強く、頼もしい。なにしろ、これまでの世の中は明るくて賑やかなものでまわってきた。明るければ、楽しげなら、よし。そういう傾向が強かった。地元福井を、「地味で目立たないが、よい街」といわれて、どうにも納得のいかない気持ちになったことがあるのを思い出した。「地味で目立たなくて、よい街」ではないのかと思ったのに言葉にできなかった。››(解説より)
小学館文庫
著/酒井順子
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