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2017.12.18
【大増刷!】すべての〝本好き〟に問いかける夏川草介著『本を守ろうとする猫の話』が、本好きに愛されて6刷!
この記事は掲載から10か月が経過しています。記事中の発売日、イベント日程等には十分ご注意ください。
キーワード: ベストセラー 猫 読書
「お金の話はやめて、今日読んだ本の話をしよう」
「神様のカルテ」著者、初のファンタジー長編!
「夏木書店」は町の片隅にある小さな古書店。
ここは引きこもりの高校生・夏木林太郎にとって安息の場所だった。
ベストセラーもなければ、人気の漫画や雑誌ない。
けれども、挙げればきりがないほど世界中の骨太な傑作が無数に並んでいる。
重厚な書籍の山を作り上げたのは林太郎の祖父だ。
両親が離婚し、母が若くして他界したため、それ以後、林太郎は祖父とふたり暮らしをしていた。
ところが、その祖父が急逝し、今度は面識のなかった伯母に引き取られることに。
一週間後の引っ越しのため、夏木書店の整理をしていた林太郎は、書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコのトラと出会う。
トラは、本を守るため林太郎の力を借りたいのだという。
猫につれられ、店の奥へ進むとそこには不思議な空間が広がり、目の前に大邸宅が現れた。
「無事、本を開放できなかった場合は、お前はこの迷宮から抜け出すことができなくなる」
「で、僕は何をすればいいんだい?」
「対話の結果、相手が降参すればそれで終わりだ」
〝本〟をめぐる迷宮でのバトル、開戦!
感涙の大ベストセラー「神様のカルテ」著者による初のファンタジー長編です。
読書にどんな価値を見出すのか?
主人公・林太郎が各章で対峙する男たちとのバトルを通して、著者の本への思いが語られます。
第三章「売りさばく者」とのやりとりでは、現代の本づくりについて皮肉たっぷり!
その一部を紹介すると――
‹‹「君も夏木書店で育ってきたのなら知っているはずです。今の世の中の人たちは忙しすぎて、分厚い傑作文学などに費やしている時間もお金もないんです。でも社会的ステータスとしての読書はまだまだ魅力的ですから、誰もが小難しい本で貧層な履歴書を少しでも派手に飾ろうと躍起になっています。そういう人たちが何を求めているかを考えて、私たちは本を作る」
要するに、とにゅっと首を突き出して、
「安っぽい要約やあらすじがバカみたいに売れる」
あはははと楽し気に肩を揺れして笑う。
「ただただ刺激を欲しているだけの読者には、暴力か性行為の露骨な描写が一番。想像力のない人向けには"本当にあった話"なんて一言添えれば、それだけ発行部数はアップ。売り上げは順調に伸びて万々歳」
林太郎はだんだん胸が悪くなってきた。
「どうしても本に手が伸びない人のためには、もう単純な情報を箇条書きにすればいいだけ。成功するための五つの条件とか、出世するための八か条なんてね。そんな本を読んでるから出世はできないなんてことには、最後まで気づかない。でも本を売るという最大の目的は無事達成というわけです」
「やめてください」
「やめませんよ」››
(第三章 第三の迷宮「売りさばく者」より)
世の中のすべての本好きに問う、センス・オブ・ワンダーに満ちた21世紀版「銀河鉄道の夜」であり、著者の本に対する真摯な思いがつまった清々しい青春小説でもあります。
あなたは本に何を求める?
これからの読書について考えるきっかけをくれる一冊です。
著/夏川草介
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