大人気時代小説「三河雑兵心得」シリーズ(双葉社刊)と、「北近江合戦心得」シリーズ。この二つは同じ時代を「徳川側」と「織田側」から描いた、いわば対をなす物語。
出自は大きく違っても、同じ足軽として戦国の世を翔ける二人の主人公。その魅力をわかりやすく比較してみました。
累計発行部数は100万部を突破!「この時代小説がすごい!2022年版」(宝島社刊)で文庫書き下ろしランキング第1位になるなど、いま最も注目されている時代小説「三河雑兵心得」シリーズ。
この作品は、農民出身の植田茂兵衛が徳川家の足軽となり「汗だく血だらけ泥まみれ」になって戦国の世を生き抜く出世物語です。
一方、「三河」と対をなす「北近江合戦心得」シリーズは2022年12月に誕生し、浅井家重臣の嫡男・与一郎が宿敵・織田信長に挑む冒険譚となります。
「三河」の中で、徳川衆の「同盟者である織田衆への冷めた眼差し」を幾度か表現しました。 そうなると、逆に「織田家の人々は三河武士をどう見ていたのか?」が気になり始めた。それが「北近江合戦心得」の端緒となりました。
著者・井原忠政氏は新作への思いをそう語ります。
出自も性格も容貌も対極にある茂兵衛と与一郎。両シリーズを対比させて読めば、織田徳川連合の実相が浮かび上がるはずです。