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2018.9.5

『鬼嵐』……それは嵐のようにヒトの内臓を破壊する殺人ウイルス!

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『鬼嵐』……それは嵐のようにヒトの内臓を破壊する殺人ウイルス!

医療ミステリーの第一人者が描く衝撃作!!

迫真の医療サスペンス「感染」で第1回小学館文庫小説賞を受賞し、単行本、文庫併せて23万部のベストセラーを生んだ、仙川環氏の最新作!

 

東京の大学病院で、感染症科の医局長として、診療や研究に多忙を極めていた及川夏未は、新任教授からパワハラを受け、北関東の地元に戻って来た。

何か月か休んだ後、再就職先を探すつもりだったが、父親から経営するクリニックを手伝わないかと持ち掛けられ、引き受けた。

過疎化が進み、外国人労働者の増加が目立つ地元では、町おこしの目玉にと、品種改良した中国原産の羊・シャンヤオカイを商品化しようとする動きが進んでいた。

そんな中、夏未が感染性胃腸炎と診断した患者・永沼が自宅で突然、倒れた

 

‹‹これは・・・・・。

いったい何なのだ。

唾を飲みこみ、怯むなと自分に言い聞かせながら、現場を注意深く検分する。

永沼は、畳にうつぶせになって息絶えていた。干からびたカエルのように、四肢を広げている。大量の吐血と下血に見舞われ、のたうち回ったのだろう。畳のあちこちに血の跡がついていた。ベージュのパジャマの袖も、血で真っ赤だ。

何より凄惨なのは、こちらに向けられた顔だった。苦悶で歪んでいるのはよくあることだが、カッと見開かれた白目の部分が鮮血に染まっているのだ。目頭からは、まるで赤い涙のような筋まで垂れている。

血や肌の色から見て、死亡からそれほど時間は経っていない。半日から数時間前に発作に襲われ、そのまま亡くなったのだろう。

そんなふうに分析してみても、衝撃は収まるどころか、さらに強くなった。念のために死亡確認をしようという気にもなれない。こんな遺体を見るのは初めてだ。講義や学会で目にした写真の中には、目を覆いたくなるような凄惨な写真もあったが、これほどではなかった。

ざわざわとしたものが、胸に広がる。

先週診たときには、ただの感染性胃腸炎だと思っていたが、そうではなかったのか。

ざわざわとしたものは、次第に痛みに変わった。胃から胸にかけて、錐で刺されているようだ。

これは自分の誤診の結果なのだろうか。しかし、あのとき、深刻な病気の兆候な何一つなかったはずだ。››

 

謎の感染死はこれだけでは終わらなかった。

独自に調査を始めた夏未を妨害する出来事が次々に起こって・・・・・・。

感染源は何か、そしてその裏側に何があるのか!

外資系製薬会社、外国人労働者、リストラ、そして・・・・・・。

これはあなたの町の事件だ!

医療ミステリーの第一人者ならではの凄まじいリアル!

作家デビュー16年目の脂ののった仙川氏が贈る読み応え満載の社会派医療ミステリーです。

 

『鬼嵐』

著/仙川 環

 

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