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2017.1.23
松本清張の筆が自由に走り回る! 忠心愛国のシンボル『山中鹿之助』を描いた幻の名作!!
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キーワード: 時代小説 文庫
ピュアすぎる?
ストイックすぎる?
戦国時代、山陰地方を
治めていた尼子氏には、
「楠木正成にも勝る」と
うたわれた武将がいました。
その名は山中鹿之助幸盛です。
その勇猛さと才智を
のちの頼山陽や勝海舟にも激賞された
鹿之助は、天文十四年(一五四五年)、
出雲国富田に生まれました。
幼少期を山野で過ごした鹿之助は、
三日月の前立てと鹿の双角を備えた兜を被り、
一騎打ちに抜群の強さを発揮!
没落しつつあった尼子家一筋にすべてを捧げ、
月山富田城を取り囲む毛利元就の大軍を
幾度も跳ね返し、武名を高めました。
自分を鍛えるため、月に「願わくば、
我に七難八苦を与え給え」と祈った
ストイックすぎるセリフはあまりにも有名です。
しかし、最終的に尼子義久が毛利の軍門に下り、
富田城を明け渡すことになってしまいます。
野に下った鹿之助は
その後も尼子家再興を使命とし、
尼子勝久を擁立し、幾度の苦難を乗り越え、
石見国入りし新山城を占拠。
けれども、毛利勢との戦に敗れ、
富田城へ入城することは叶いませんでした。
それからさらに10年後、
織田信長の毛利攻めに乗じ、
ふたたび、尼子軍を再興した鹿之助は・・・。
不屈の精神に
筆が奮い立つ!
‹‹日本の歴史で、どの時代が一番面白かったか
と聞かれたら、私はすぐに戦国時代だと答える。
何故かというと、戦国時代は人間が裸で、勝手な
事が出来た時代である。古い規則に縛られずに、
自分の実力で思うままの行動ができた時代である。
後の徳川時代になると、秩序が出来上がって
しまって、人間は、たいそう窮屈そうである。
戦国時代でも、信長とか秀吉とかいう
知られすぎた人物は、余り有名すぎて魅力はない。
ここには、山陰の一地方にあって、
いつも大敵に挑みながら、一生を思う存分に
暴れた「山中鹿之助」のことを書いてみたい。
作者の筆も、思う存分に、本誌の上で
走り回ろうと志している››――著者まえがきより
鹿之助のドラマティックな人生を、
松本清張が生き生きと描いた
忠義の武士の物語。
読みやすい文章で、
初心者にも愛好家にももってこい!
もっと違う生き方や、
ほかに生きていく道はあったはずなのに、
100回打ちのめされても
1000回挫折を味わっても、
尼子家再興をあきらめなかった鹿之助。
その純朴なキャラクターと
不屈の精神には、感動しきりです。
小学館文庫
著/松本清張
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