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2022.2.8

最新の研究から悪のイメージが一新! NHK大河「鎌倉殿の13人」の主人公を紐解く『史伝 北条義時』

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キーワード: 歴史 文化 北条義時 北条氏 鎌倉幕府 鎌倉 NHK大河ドラマ

最新の研究から悪のイメージが一新! NHK大河「鎌倉殿の13人」の主人公を紐解く『史伝 北条義時』

 

「鎌倉幕府の保護者」北条義時の謎に包まれた生涯に迫る。

2022年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の主人公・北条義時(ほうじょう・よしとき)(演:小栗 旬)は、わが国最初の武家政権を確立した権力者です。

父は伊豆の豪族・北条時政(ほうじょう・ときまさ)。

姉は源頼朝(みなもとの・よりとも)の妻・北条政子(ほうじょう・まさこ)で、兄に三郎宗時がいました。

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第1話では、〈小四郎殿は平家の世がずっと続いてもいいというのか〉と問われて〈だってけっこう穏やかに過ごせているではないですか〉答えていた義時。

第5話で兄宗時から〈俺はこの坂東を俺たちだけのものにしたいんだ。西から来た奴らの顔色をうかがって暮らすのはもうまっぴらだ。坂東武者の世を作る。そしてそのてっぺんに北条が立つ〉という「遺言」を聞いて、武士の世を作る決意を固めます。

以降、平家の戦いを経て、頼朝が建久10年(1199)急逝すると、時政と政子らは13人の有力御家人の合議制を導入し、義時はこの13名のメンバーに加えられます。

源氏将軍家の世継ぎが源頼家(みなもとの・よりいえ)から源実朝(みなもとの・さねとも)になると、ほかの御家人の間で、激しい権力闘争に見舞われます。

 

『史伝 北条義時』は、鎌倉歴史文化交流館に勤務する新進気鋭の研究者である筆者が、北条義時に、現在もっとも肉薄する研究者と評価される通り、義時の生涯を最新の研究から再評価。

義時と頼朝の関係、北条家のほんとうの実力など、『鎌倉殿の13人』を10倍以上楽しめる蘊蓄が満載です。

 

«本書の主人公である北条義時は、鎌倉幕府内部での政争を勝ち抜き、執権政治を確立して北条氏の優位を明確にし、さらに京都の朝廷までをも武力で打ち負かすことで、武家政権の基礎を固めた人物である。しかし、その功績に比して知名度は低く、成し遂げた偉業も承久の乱で王家(皇室)を討ったという一点に抹殺され、近世以降、「不忠の臣」という評価を恣(ほしいまま)にするにいたった。さらに、源氏将軍が三代で途絶したことから、将軍から政治の実権を奪った陰険な策謀家としてのイメージも強い。

しかし、本当に義時は政治の実権を奪ったのであろうか。源氏将軍が途絶えたとき、幕府が瓦解する可能性もあるなかで、朝廷との粘り強い交渉の末、京都から新しい将軍を迎え、幕府体制を維持した過程をみたとき、むしろ鎌倉幕府を守った功労者として評価すべきだと考えるのである。簒奪者のイメージは、三代将軍源実朝暗殺の黒幕を義時と決めつけるところに始まるが、これは厳密な史料批判に基づく推測ではなく、王家を討つような極悪人であるから、将軍も討ったに違いないという、至極あいまいな理由にすぎない。»

(本書「北条義時とは何者か――プロローグ」より)

 

新史料を元に初期鎌倉時代政治史のミッシングリンクを解明し、鎌倉時代の歴史書「吾妻鏡(あずまかかがみ)」以外の公家史料も駆使して、なぜ北条氏が執権として権力掌握に成功したのか、その真相にも迫る一冊。

姉・北条政子と源頼朝の結婚、頼朝の挙兵、平家との戦い、武家政権の成立、将軍代替わりを契機とする政権内の権力闘争、将軍暗殺、承久の乱・・・・・・など、大河ドラマのストーリーをより深く理解し、楽しめる構成になっています。

また、1979年の大河ドラマ「草燃える」を視聴したオールドファンにとっても目から鱗の情報が満載です。

さらに、著者の勤務先(鎌倉歴史文化交流館)が鎌倉という「地の利」を活かして考古学の成果も活用。

カラー写真・図版満載で、鎌倉散策のお供にもなる書に仕上がりました。

 

『史伝 北条義時

武家政権を確立した権力者の実像』

著/山本みなみ

 

【著者プロフィール】

山本みなみ(やまもと・みなみ)

1989年、岡山県生まれ。京都大学大学院にて博士(人間・環境学)の学位を取得。現在は鎌倉歴史文化交流館学芸員、青山学院大学非常勤講師。中世の政治史・女性史、とくに鎌倉幕府や北条氏を専門としている。

 

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