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2016.8.18
吉田沙保里、将来の夢は「スーパーのレジ打ち」だったあのころ。『12歳の約束 そして世界の頂点へ』
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キーワード: 吉田沙保里 リオデジャネイロオリンピック レスリング スポーツ YAWARA 霊長類最強 金メダル
女子柔道・田村亮子の活躍が転機に!
レスリング競技の吉田沙保里選手。1982年10月5日、三重県津市に生まれた彼女は、レスリングの元全日本チャンピオンである父・栄勝さんの影響で、3歳からレスリングをはじめました。
そんな彼女が小学生の卒業文集に書いた将来の夢は、「レスリングで世界一になること」ではなく、なんと「スーパーのレジ打ちさんになること」でした。理由は、買い物に行くと、レジ打ちする人のスピーディーな動きが恰好よかったから。また、沙保里選手が小学生のころ、女子レスリングはまだオリンピック種目ではなく、オリンピックに出るという夢をもてなかったのです。
‹‹小学生のときは将来の夢というものがなく、自分からやるのではなくレスリングをやらされているという感覚でした。だからやめたいと思うこともあったのだと思います」
しかし、沙保里選手が中学2年生のとき、転機がおとずれます。アトランタ五輪の女子柔道で田村亮子選手(その後結婚し現在は谷亮子さん)が活躍する姿を見て、「自分もオリンピックに行きたい」という夢ができたのです。そのころはちょうど女子柔道に続いて、女子レスリングも近い将来、オリンピック種目になるだろうという気運が高まっていた時期でした。
‹‹「夢を持ってから私は変わりました。小学生のころは何度もやめたいと思ったのに、レスリングを頑張ろうという気持ちになったのです。やらされているという感覚から、やらないといけないという気持ちに変わっていきました」››
勝っているのに、やめるのはもったいない!
それからの彼女の成長と実績は、とにかく「素晴らしい」のひと言。アテネ五輪から連覇し、すでに目標は達成したかのようにみえますが、それでもなお現役を続けられるモチベーションの源は?
‹‹「自分がダメだと思ったらダメだし、できないと思ったらできないと思います。これからも体が動く限り、気持ちを切らさない限りは、できると思っています。それに勝っているうちは、やっぱりやめづらいですし、やめたらもったいないという気持ちもあります››
そしていま、吉田沙保里選手が考えているのは、「記録にも記憶にも残る選手になりたい」ということ。
攻め続けるレスリングで戦い続けた彼女の勇姿は、世界中の人びとの瞳に焼きついているに違いありません。
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ほかにも白井健三、伊藤美誠など、計7選手を紹介しています。
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