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2016.8.9
ビジネスにも通じる「すきやばし次郎」職人哲学の秘密 『匠 すきやばし次郎 JIRO PHILOSOPHY』
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キーワード: すきやばし次郎 小野二郎 鮨 哲学 ビジネス 自己啓発 和文英文併記 伝統
90歳を機に「鮨」についての信条、流儀、心意気をまとめた一冊
‹‹私は1925年生まれ、2015年の10月27日に90歳になりましたが、いまだに毎日お客様に鮨を握っております。
8歳から料理旅館で働きはじめ、途中、第二次世界大戦がありましたが、職歴は80年を超えております。その間、一度たりとも、自分の仕事がいやになったり、仕事を休みたいと思ったことはありません。鮨職人になって、本当によかったと思っています。
26歳のときに鮨屋へ修行に入りましたから、もう50年も鮨屋で働いているわけですが、いまだ鮨の仕事を極めたとは思っておりません。まだ、やるべきことがあるのではないかと、そのことばかり考えて仕事を続けております。
90歳を機に「鮨」についての信条、流儀、心意気をまとめてみました。この一冊に、現在の『すきやばし次郎』の仕事が詰まっております››
本書は、世界中からリスペクトされる「すきやばし次郎」の仕事を支える職人哲学がテーマ。
山本益博氏の監修で、小野二郎氏の職人の至言、「すきやばし次郎」の仕事の秘密、さらに、おまかせコースの鮨の流れ、を豊富な写真とわかりやすい文章で構成しています。その一部を紹介いたします。
Chapter 1 小野二郎の言葉
‹‹自分に合う仕事などありません››
‹‹仕事に自分を合わせるから上達するんです››
‹‹掃除ができなきゃ、料理なんてできません››
Chapter 2 すきやばし次郎の仕事
‹‹たまごを焼くまで10年
‹‹たまごは、次郎のおまかせではフランス料理のデザート。思ったほどたまごは使わず、えびは芝えびを使います。芝えびだけは火を通しても固くならないんです。それにつなぎに大和芋。1時間以上かけて焼き上げます。うちでたまごを焼かせられたら一人前ですが、そこに至るまで少なくとも10年はかかります››
‹‹準備が95%››
‹‹鮨屋は座って注文されたら、すぐに鮨を出します。料理店はお客さまにできるのを待っていただく時間がありますが、鮨屋はあらかじめやっておかないといけません。その準備に時間がかかります。あわびだって4時間くらいかけて仕込んでいますから、準備が9割5分くらい。カウンターではもう握るだけです››
Chapter 3 すきやばし次郎の旋律
第1楽章 伝統
かれい
‹‹幕開けのすし種の「かれい」は、淡白な白身。鮨の常識が「最初はまぐろ」だった時代に、淡泊な白身を最初に出したのは次郎でした。次郎で初めて食べたほとんどの方は「お酢が強い」とおっしゃいます。しかし、酢めしの味はこれが江戸前の本筋。食べ進めていくうちに「これでなくては」と納得されるでしょう››
第2楽章 四季
あわび
‹‹味が転調する第2楽章。まずは、ふくよかに煮上げられた「あわび」。あわびを温かい温度で供した最初が「次郎」ということはあまり知られていませんが、舌触りも香りも生のあわびとは比較になりません。次郎は江戸前のネタを復活させつつ、小野二郎さんが工夫を重ねた新しいすし種を体験できる稀有な店です››
第3楽章 進化
うに
‹‹いよいよフィナーレの第3楽章。その幕開けは、3貫続く軍艦巻きです。まずはジョエル・ロブションが「まるでクリーム」と評した「うに」。この最上級のうには、今や貴重品です。そんなうにに匹敵する味の立役者がのり。毎朝、備長炭の火で丹念にあぶったのりの豊かな風味と、濃厚なうにとさらに酢めしとの三重奏の趣です››
世界一の鮨「すきやばし次郎」のフィロソフィー(哲学)とそれを具現化する仕事は、まさに小野二郎氏の精進の結晶。小野二郎氏の仕事の流儀は、とにかく最高に美味しくするにはどうしたらいいか、と試行錯誤を積み重ね、本当に美味しい鮨をにぎるまでの過程で最高を追求するというもの。世界一の鮨をにぎる、職人歴82年の小野二郎氏の仕事の流儀は、いかにして次郎で働く職人たちに受け継がれ、世界一旨い鮨が常に供されるのか? 読む人に、やる気と元気を与える言葉と智恵がたくさんつまっています。どんな仕事にも通じる職人の哲学は、社会人のギフトにもぴったりです。ポケットに入るハンディなサイズで和文英文併記。
著/小野二郎 監/山本益博
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