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2016.3.25

ブッダ、ガガーリン、石川五右衛門・・・歴史的偉業を成し遂げた「ヒーローたちの意外な『死』」から人間社会の"矛盾"をあぶり出す! 『人間臨終考』

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ブッダ、ガガーリン、石川五右衛門・・・歴史的偉業を成し遂げた「ヒーローたちの意外な『死』」から人間社会の"矛盾"をあぶり出す! 『人間臨終考』

 映画監督、執筆活動のほか、テレビ、雑誌、講演、大学教授など幅広く活躍するなど、映像・活字両面で、今、もっとも注目を集める作家・森 達也氏。彼が今回、題材に選んだのは、「歴史上の人物の『死』」。そもそも"死"ついての考察を深めていた筆者が、それをアウトプットする手段として、偉業を成し遂げたヒーローたちはどのように死んでいったのか、彼らはちゃんと死んでいるのか、に注目するところからはじまります。

 

 登場人物は、石川五右衛門、ブッダ、ガガーリン、キュリー夫人、ノーベル、チェ・ゲバラなど18 人。例えば、チェ・ゲバラが日本の国会議員になって、個人個人が熱狂する「カーニバル」ではなく「盆踊り」のように全員一緒に熱狂する国民性を危惧したり、キュリー夫人が福島第一原発の事故を知って、「日本は資源がないから原子力発電というけれど、ウランを輸入しているのはどういうこと?」と不思議に思ったり・・・さまざまな試みがなされています。

 

 彼らの最期を調べると、人類初の宇宙飛行を実現したガガーリンは若くして飛行機事故で亡くなっていたり、ブッダはきのこか豚肉による食中毒が死因だったり、意外な最期を迎えた人物も少なくなくありませんでした。

 

 類いまれなる筆力と妄想力を炸裂させて、歴史上の人物がどのように死んでいったのか、最期に何を思っていたのかを、ときにフィクション & パロディを織り交ぜながら描き、現代社会の論点・矛盾点を痛烈に、ユーモアたっぷりにあぶりだします。また、彼らの「死」から、社会の矛盾や運命に翻弄される個人の切なさに筆者は心を寄せていきます。

 

 軽快な文章ながら、今、私たちが考えなければならない重いテーマをしっかりと考えさせてくれる、著者ならではの良質な現代社会論です。

 

『人間臨終考』

著/森 達也

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