神保町シアター

S24('49)／新東宝／白黒／スタンダード／1時間31分

■監督：清水宏■脚本：清水宏、岸松雄■撮影：鈴木博■音楽：古関裕而■美術：下河原友雄■出演：大河内傳次郎、風見章子、飯田蝶子、清川虹子、清川荘司、田中春男

「子供」とそして「地方ロケ」を愛した名匠清水宏の牧歌的田園劇。題名はいうまでもなく民謡「会津磐梯山」から取られている。「有りがたうさん」（36年）のロケ地だった伊豆が会津に見立てられている。

＊デジタル上映

S32('57)／東宝／白黒／スタンダード／1時間47分

■監督：丸山誠治■原作：石坂洋次郎■脚本：松山善三■撮影：西垣六郎■音楽：渡辺浦人■美術：浜上兵衛■出演：雪村いづみ、津島恵子、宝田明、小泉博、志村喬、花井蘭子

東北の小さな町を舞台に東京から来た誠実な先生と封建的な風土のなかで自由を求める女学生。"かまくら"で知られる秋田県横手市でロケされている。

S25('50)／新東宝＝藤本プロ／白黒／スタンダード／1時間33分

■監督：成瀬巳喜男■原作：石坂洋次郎■脚本：八木隆一郎■撮影：鈴木博■音楽：服部正■美術：中古智■出演：宮田重雄、池部良、杉葉子、三船敏郎、若山セツコ、堀雄二

石坂洋次郎は弘前市の出身。戦時中から戦後にかけて故郷に疎開。その生活から生まれた田園喜劇。終戦直後とは思えないのどかさがある。まさに「国破れて山河あり」。

S42('67)／東宝／カラー／シネスコ／1時間47分

■監督：成瀬巳喜男■脚本：山田信夫■撮影：逢沢譲■音楽：武満徹■美術：中古智■出演：加山雄三、司葉子、草笛光子、浜美枝、加東大介、浦辺粂子

加山雄三が左遷される地は青森。司葉子が姉の森光子を訪ねる地は十和田湖。最後、二人が行く温泉は青森県の秘湯・蔦温泉。成瀬巳喜男の遺作は青森が舞台になっている。

S37('62)／松竹大船／白黒／シネスコ／1時間12分

■監督・脚本：野村芳太郎■原作：源氏鶏太『わが町の物語』■撮影：川又�ｴ■音楽：池田正義■美術：宇野耕司■出演：鰐淵晴子、十朱幸代、山下洵二、三上真一郎、佐野周二

会津若松と近郊の東山温泉が舞台。磐梯山が遠景に見える。会津若松のタバコ屋の娘、鰐淵晴子と東山温泉の芸者の卵（半玉）十朱幸代の友情物語。二人のかけっこが見もの。

S34('59)／大東映画／白黒／シネスコ／1時間57分

■監督：今井正■脚本：水木洋子■撮影：中尾駿一郎■音楽：大木正夫■美術：江口準次■出演：高橋恵美子、奥の山ジョー、北林谷栄、清村耕次、朝比奈愛子、荒木道子、岸輝子

戦後、社会問題になった、日本人女性と進駐軍米兵とのあいだに生れたハーフの子供を描く。舞台は会津。キクとイサムの感動的な別れの場面は埼玉県の寄居駅で撮影。

S28('53)／新東宝＝俳優座／白黒／スタンダード／1時間28分

■監督：中川信夫■原作：石坂洋次郎『草を刈る娘』■脚本：館岡謙之助■撮影：横山実■音楽：斎藤一郎■美術：北川勇■出演：左幸子、宇津井健、岸輝子、高橋豊子、東野英治郎、永井智雄

石坂洋次郎の短篇『草を刈る娘』の映画化。近くに山村を持たない津軽平野の村人たちが秋になると岩木山の麓に草刈りに行く。岩手県田頭（でんどう）村（現・八幡平市）でロケ。

＊デジタル上映

S27('52)／八木プロ／白黒／スタンダード／1時間45分

■監督：今井正■原作：無着成恭■脚本：八木保太郎■撮影：伊藤武夫■音楽：大木正夫■美術：川島泰三■出演：木村功、岡田英次、金子信雄、和澤昌次、河崎保、西村晃、杉葉子、滝沢修、北林谷栄

「雪がコンコン降る。人間はその下で暮らしているのです」。山形県の山元中学校（現在は廃校）の生徒の作文をもとに作られた感動的な綴方教室。県教組などが協力。

＊16mm上映

S30('55)／大映東京／カラー／スタンダード／1時間31分

■監督：島耕二■脚本：長谷川公之、島耕二■撮影：高橋通夫■音楽：大森盛太郎、島耕二／■美術：高橋康一■出演：若尾文子、北原義郎、岩垂幸彦、遊佐晃彦、見明凡太朗、柳永二郎

大映社長、永田雅一の持馬でダービーを制しながら病いに倒れた名馬トキノミノルがモデル。今度の地震で被害を受けた八戸線の種差駅（現・種差海岸駅）や廃線になった南部縦貫鉄道でロケ。

＊16mm上映

S26('51)／松竹大船／白黒／スタンダード／1時間20分

■監督：大庭秀雄■原作：八木隆一郎■脚本：柳井隆雄■撮影：長岡博之■音楽：吉沢博■美術：浜田辰雄■出演：笠智衆、佐田啓二、杉村春子、三國連太郎、淡島千景、小沢栄、桂木洋子

仙台市に現存する伊達政宗が築いた名城・青葉城（別名・仙台城）が舞台。昭和30年頃、この濠に自殺者が多かったという。それを救う家族の物語。

＊16mm上映

S31('56)／日活／白黒／スタンダード／1時間39分

■監督・脚本：新藤兼人■原作：田宮虎彦■撮影：伊藤武夫■音楽：伊福部昭■美術：丸茂孝■出演：乙羽信子、長門裕之、宇野重吉、殿山泰司、河野秋武、北林谷栄、細川ちか子

成瀬巳喜男『浮雲』を思わせる男女の腐れ縁。「銀温泉」のモデルは、岩手県花巻の奥にある秘湯・鉛温泉。いまはない花巻鉄道の「馬づら電車」の姿に鉄道ファンは感涙。

＊16mm上映

S25('50)／大映京都／白黒／スタンダード／1時間46分

■監督・原作・脚本：伊藤大輔■撮影：石本秀雄■音楽：深井史郎■美術：角井平吉■出演：大河内傳次郎、小夜福子、青山杉作、東山千栄子、二本柳寛、山本礼三郎、三島雅夫、香川良介

現在も十和田湖の湖畔に銅像が立つ、伝説の養魚家・和井内貞行の苦難の人生を描く。魚が住めないといわれた十和田湖についにマスが生きるようになる最後は感動的。

＊16mm上映

S37('62)／東宝／白黒／シネスコ／1時間30分

■監督：丸山誠治■原作：朝日新聞通信部■脚本：国弘威雄、関沢新一■撮影：玉井正夫■音楽：阿部皓哉■美術：浜上兵衛■出演：フランキー堺、白川由美、星由里子、夏木陽介、児玉清、土屋嘉男

フランキー堺が地方で働く記者を熱演する。撮影は、今度の地震と原発事故で大きな被害を受けた福島県のいわき市で行われている。場所は『原子力戦争』とかぶさっている。

S41('66)／本宮方式映画製作の会／白黒／シネスコ／1時間45分

■監督：吉村公三郎■脚本：千葉茂樹■撮影：杉田安久利■音楽：池野成■美術：入野達弥■出演：山岡久乃、宇野重吉、吉行和子、奈良岡朋子、殿山泰司、佐々木すみ江

福島県の本宮町（現在は市）が町を挙げて映画作りに協力した。病気で倒れていた吉村監督の復帰第一作。産休での先生にかわってクラスを受持つ山岡久乃が好演。

S31('56)／東映東京／白黒／スタンダード／1時間46分

■監督：佐伯清■原作：本庄陸男『石狩川』■脚本：高岩肇■撮影：藤井静■音楽：小杉太一郎■美術：北川弘■出演：大友柳太朗、�熕逡艪ﾐづる、伊藤久哉、三條美紀、杉村春子、�燒ﾘ二朗、加東大介、千田是也

長らくフィルムが見つからなかった幻の名作。幕府瓦解後に東北・岩出山藩（宮城県）の侍たちが北海道に追いやられ、大自然を開拓する苦闘の物語。札幌の北の当別町を舞台にしているがロケは千歳で行なわれた。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S35('60)／東映東京／白黒／シネスコ／1時間35分

■監督：関川秀雄■脚本：新藤兼人■撮影：仲沢半次郎■音楽：斉藤一郎■美術：森幹男■出演：三國連太郎、高倉健、南廣、梅宮辰夫、中村賀津雄、風見章子、東野英治郎

昭和30年代に多く作られた鉄道員もの（国鉄マンの家族の歴史を描く）のひとつ。大正から昭和の物語だが、盛岡駅を中心にロケされている。無論、蒸気機関車が活躍する。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S30('55)／日活／白黒／スタンダード／1時間51分

■監督：久松静児■原作：伊藤永之介■脚本：井手俊郎■撮影：姫田真佐久■音楽：團伊玖麿■美術：木村威夫■出演：森繁久弥、二木てるみ、杉村春子、三国連太郎、伊藤雄之助、三島雅夫

会津の小さな町を舞台に人情味あふれる警察官と町の人々の哀歓を描く。子役の二木てるみが可愛い！　福島県の郡山、猪苗代町、本宮町などでロケされている。

S34('59)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間42分

■監督・脚本：木下惠介■撮影：楠田浩之■音楽：木下忠司■美術：梅田千代夫■出演：有馬稲子、佐田啓二、川津祐介、津川雅彦、小坂一也、石浜朗、十朱幸代、笠智衆

東北屈指の温泉地、会津若松郊外の東山温泉を舞台にした青春ドラマ。有馬稲子が温泉の美しい芸者に。津川雅彦はじめ美青年揃いに木下惠介監督の少年趣味が。

S33('58)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間33分

■監督：野村芳太郎■脚本：野村芳太郎、山田洋次■撮影：井上晴二■音楽：木下忠司■美術：逆井清一郎■出演：岡田茉莉子、佐田啓二、高橋貞二、桑野みゆき、桂小金治、花菱アチャコ、三井弘次

佐田啓二と高橋貞二が東北、北海道に花嫁探しの旅に出る。松島、弘前、洞爺湖などでロケ。「字幕は退屈です」「このシーンはロケで次はセット」など楽屋落ちが松竹首脳の逆鱗に触れたいわくつきの珍道中。

S33('58)／松竹大船／カラー／シネスコ／1時間36分

■監督：中村登■原作：北條秀司■脚本：椎名利夫■撮影：生方敏夫■音楽：武満徹■美術：芳野尹孝■出演：伴淳三郎、佐田啓二、高千穂ひづる、淡路恵子、石浜朗、沢村貞子、大木実

山形市が舞台。銭湯の主人・伴淳が欲を出して議員に立候補したばかりに起る騒動記。高千穂ひづるが意外な役で。三階建ての木造洋風建築、山形市郷土館がちらりと見える。

S48('73)／斎藤プロ＝ATG／カラー／シネスコ／1時間42分

■監督：斎藤耕一■脚本：中島丈博、斎藤耕一■撮影：坂本典隆■音楽：白川軍八郎、高橋竹山、若美家五郎ほか■出演：江波杏子、織田あきら、中川三穂子、西村晃、佐藤英夫、寺田農、戸田春子

故郷・津軽を捨て東京に出た女（江波）とやくざに追われる若い男（織田）が青森県の津軽半島を旅してゆくロードムービー。津軽はいうまでもなく太宰治の故郷。

S33('58)／東映東京／白黒／シネスコ／1時間25分

■監督：家城巳代治■原作：氷室和敏■脚本：新藤兼人■撮影：宮島義勇■音楽：芥川也寸志■美術：北川弘■出演：江原真二郎、丘さとみ、中原ひとみ、仲代達矢、山形勲、星美智子、岩崎加根子、高原駿雄、東野英治郎

昭和30年代、東映お得意の国鉄マンもの。江原慎二郎が蒸気機関車の機関士の助士（釜たき）を演じる。明示されていないが、福島県の交通の要衝、郡山周辺でロケされている。

＊東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

S53('78)／松竹／カラー／シネスコ／1時間25分

■監督：満友敬司■原案：山田洋次■脚本：朝間義隆、梶浦政男、植村信吉■撮影：竹村博■音楽：渋谷毅■美術：重田重盛■出演：勝野洋、鮎川いづみ、カルーセル麻紀、ハナ肇、嵐寛寿郎、吉幾三、橋本功

吉幾三のヒット曲をモチーフに作られた田園喜劇。青森県の五所川原で撮影されている。村の秀才が故郷に錦を飾る驚きの場面は津軽鉄道の津軽中里駅で撮影されている。

S53('78)／文化企画プロモーション＝ATG／カラー／ヴィスタ／1時間46分

■監督：黒木和雄■原作：田原総一郎■脚本：鴨井達比古■撮影：根岸栄■音楽：松村禎三■美術：丸山裕司■出演：原田芳雄、山口小夜子、風吹ジュン、石山雄大、浜村純、佐藤慶、和田周、戸浦六宏、岡田英次

某雑誌でこの映画のことを書いたら没にされた。問題の福島第一原発を舞台にしているから。失踪した恋人を探すやくざの原田芳雄が訪れた町は、原発に近い福島県のいわき市。

S63('88)／東京放送＝東宝／カラー／ヴィスタ／1時間49分

■監督：生野慈朗■原作・脚本：鎌田敏夫■撮影：仙元誠三■音楽プロデューサー：恒川光昭■美術：桑名忠之、大嶋修一■出演：明石家さんま、大竹しのぶ、小林稔侍、加藤善博、清水紘治、渡辺えり子、ベンガル、阿藤海

明石家さんまと大竹しのぶが絶妙なコンビぶりを見せるロードムービー。東北から北海道へと二人は逃避行。福島、青森、函館などでロケされている。

H9('97)／吉本興業＝電通ヤング・アンド・ルビカム／カラー／ヴィスタ／1時間58分

■監督：阪本順治■脚本：丸山昇一■撮影：笠松則通■音楽：井上堯之■美術：金勝浩一■出演：豊川悦司、真木蔵人、原田知世、菅原文太、三浦友和、宇崎竜童、余貴美子、杉本哲太

東京のしがない探偵二人組（豊川・真木）が事件を追って東北を旅する。この映画を選んだのは、いまは廃線となった南部縦貫鉄道と今度の津波の犠牲になった三陸鉄道が描かれているから。

H14(2002)／日活＝バップ＝NHKソフトウェア＝博報堂＝ハマーズ／カラー／ヴィスタ／1時間52分

■監督・脚本：長尾直樹■原案：中山加奈子■台詞協力：保坂和志■撮影：藤井保、松島孝助■音楽監督：岸谷香■美術：福澤祐二■出演：唯野未歩子、豊川悦司、松坂慶子、岸部一徳、きたろう、天光眞弓

唯野未歩子（近年は作家として活躍中）が素晴しい！　山形県米沢市に勤務する女性の年上の男性への恋を描く。冒頭の駅は、近年、秘境駅として名高い。奥羽本線の峠駅。

H17(2005)／「待合室」製作委員会／カラー／ヴィスタ／1時間47分

■監督・脚本：板倉真琴■撮影：丸池納■音楽：荻野清子■美術：鈴木昭男■出演：富司純子、寺島しのぶ、ダンカン、あき竹城、斉藤洋介、市川美和子、利重剛、風見章子

新幹線の開通は有難いことだが他方で在来線が見捨てられることになる。東北新幹線の開通によって小さなローカル線の駅となった旧東北本線・こつなぎ小繋駅を舞台にした人間ドラマ。