神保町シアター

S15('40)／東宝東京／白黒／1時間10分

■監督・脚本：成瀬巳喜男■原作：宇井無愁『きつね馬』■撮影：木塚誠一■音楽：早坂文雄■装置：安倍輝明■出演：藤原鶏太（釜足）、柳谷寛、高勢実乗、清川荘司、山根寿子、清川虹子

旅回り一座で馬の脚役に精魂を注ぐ男が、馬が壊れて役を降ろされる――。名脇役・藤原の珍しい主演作で、その味わい深い名演も忘れ難い。

S18('43)／東宝／白黒／1時間33分

■監督：成瀬巳喜男■原作：泉鏡花■脚本：久保田万太郎■撮影：中井朝一■音楽：深井史郎■美術：平川透徹■出演：花柳章太郎、山田五十鈴、柳永二郎、大矢市次郎、伊志井寛

勘当された能楽師が、かつて死に追いやった按摩師の娘に出会い…。娘役の山田が木漏れ日の松林で舞を伝授される場面の流麗な幻想美は絶品。

S30('55)／日活／白黒／1時間57分

■監督・脚本：マキノ雅弘■原作：長谷川幸延■撮影：高村倉太郎■音楽：大久保徳次郎■美術：小池一美■出演：森繁久彌、山田五十鈴、左幸子、河津清三郎、水島道太郎、沢村国太郎

新時代の殺陣を求める殺陣師・段平の苦闘を描く名作。段平の森繁、見守る妻の山田、義娘の左と芸達者が笑わせ泣かせるマキノ流芸道映画。

＊デジタル上映

S38('63)／松竹京都／カラー／1時間45分

■監督：大庭秀雄■原作：村松梢風■脚本：依田義賢■撮影：厚田雄春■音楽：黛敏郎■美術：芳野尹孝■出演：岡田茉莉子、三代目市川猿之助、嵐寛寿郎、中村芳子、津川雅彦、伴淳三郎

出奔した歌舞伎役者・尾上菊之助は乳母・お徳に支えられ芸を磨くが…。同名原作三度目の映画化は、お徳役の岡田の献身愛が一層涙を誘う。

S13('38)／東宝東京／白黒／1時間29分

■監督・脚本：成瀬巳喜男■原作：川口松太郎■撮影：伊藤武夫■音楽：飯田信夫■装置：久保一雄■出演：長谷川一夫、山田五十鈴、藤原釜足、大川平八郎、三島雅夫

新内語りの鶴次郎と三味線弾きの鶴八は喧嘩別れを繰り返し…。芸に生きる男女を、山田・長谷川の名優二人が絶妙に演じた成瀬戦前の傑作。

S14('39)／松竹京都／白黒／2時間23分

■監督：溝口健二■原作：村松梢風■構成：川口松太郎■脚本：依田義賢■撮影：三木滋人、藤洋三■音楽：深井史郎■美術：水谷浩■出演：花柳章太郎、森赫子、高田浩吉、河原崎権十郎、梅村蓉子、志賀廼家弁慶

真実の愛に目覚めた歌舞伎の御曹司・菊之助が歩む茨の芸の道――。数ある芸道物の最高峰の一本で、溝口の神髄が味わえる奇跡の143分。

＊デジタル上映

S19('44)／東宝／白黒／1時間23分

■監督：成瀬巳喜男■原作：長谷川幸延■脚本：八住利雄■撮影：小倉金弥■音楽：清瀬保二■美術：中古智■出演：長谷川一夫、山田五十鈴、古川緑波、花井蘭子、進藤英太郎、志村喬

慢心した人気役者は、世話になった劇場を飛び出し、新天地で舞台に立つが――。『鶴八鶴次郎』に続く成瀬監督、長谷川・山田主演の芸道物。

S37('62)／大映京都／白黒／1時間28分

■監督：安田公義■原作：谷屋充『桃中軒雲右衛門とその妻』■脚色：辻久一■撮影：竹村康和■音楽：小川寛興■美術：太田誠一■出演：三波春夫、月丘夢路、浦路洋子、石黒達也、山路義人、三波豊和、若杉曜子

浪曲師でもあった三波春夫が、明治後期に絶大な人気を博した桃中軒雲右衛門の半生を演じた伝記もの。三波の魂の演技に胸打たれる名篇。