神保町シアター

1960(S35) 松竹大船／白黒／1時間49分

■ 監督＝中村登／原作＝橋本忍
■ 脚本＝橋本忍、国弘威雄／撮影＝厚田雄春／音楽＝黛敏郎／美術＝芳野尹孝
■ 出演＝佐田啓二、伊藤雄之助、宮口精二、殿山泰司、三井弘次、織田政雄、浦辺粂子

政界をも揺るがした実際の事件をモデルに、シナリオ界の巨星・橋本忍が脚本を手掛けたテレビドラマの映画化。金の奴隷となった男を佐田がニヒルに演じ、事件を執念で追う刑事役・伊藤との演技合戦は圧巻。

1960(S35) 松竹大船／カラー／1時間33分

■ 監督＝野村芳太郎／原作＝白崎秀雄
■ 脚本＝橋本忍／撮影＝川又昻／音楽＝芥川也寸志／美術＝宇野耕司
■ 出演＝佐田啓二、桑野みゆき、芳村真理、宮口精二、ジェリー藤尾、加藤嘉、日比野恵子

表向きは洋品店経営者、その男の悪辣な裏の顔は…。監督・野村と脚本・橋本の黄金コンビによる異色サスペンス。佐田が美男スターの枠に収まらない悪党ぶりをみせる。宮口、加藤らのベテラン脇役陣も渋い。

1960(S35) 松竹大船／白黒／1時間33分

■ 監督＝堀内真直／原作＝有馬頼義
■ 脚本＝高岩肇／撮影＝小原治夫／音楽＝木下忠司／美術＝梅田千代夫
■ 出演＝佐田啓二、岡田茉莉子、伊藤雄之助、杉浦直樹、安井昌二、三井弘次

満員の野球スタジアムでの試合中に突然死した四番打者。観客の一人だった検事はその死に疑問を抱き…。佐田が事件の謎を探る検事を演じた推理サスペンス。読売巨人軍が協力した迫真の試合シーンも見所。

1962(S37) 松竹大船／白黒／1時間42分

■ 監督・脚本＝木下惠介／原作＝河野道工「道路工夫の歌」
■ 撮影＝楠田浩之／音楽＝木下忠司／美術＝浦山芳郎
■ 出演＝佐田啓二、高峰秀子、久我美子、倍賞千恵子、山本豊三、菅井きん、野々村潔

戦後、故郷・山梨で道路工夫になった義男(佐田)は、妻(高峰)と支え合い懸命に働いたが、一家の暮らしは楽ではなかった―。原作の歌集に感動した木下が自ら脚本を描き上げ、見事なモノクロ撮影で謳い上げた人生讃歌。

1956(S31) 松竹大船／白黒／1時間52分

■ 監督＝小林正樹／原作＝小野稔
■ 脚本＝松山善三／撮影＝厚田雄春／音楽＝木下忠司／美術＝平高主計
■ 出演＝佐田啓二、岸恵子、大木実、伊藤雄之助、水戸光子、三井弘次、東野英治郎、山茶花究

プロ野球界でオフシーズンに繰り広げられるスター選手の争奪戦を描いた社会派エンターテイメント。大学野球で活躍した強打者・穴吹義雄の入団騒動をモデルにした小説が原作で、佐田は手段を選ばない球団の敏腕スカウトマン役。

1957(S32) 松竹大船／白黒／1時間45分

■ 監督＝中村登／原作＝北条秀司
■ 脚本＝椎名利夫、中村登／撮影＝長岡博之／音楽＝武満徹／美術＝芳野尹孝
■ 出演＝佐田啓二、岡田茉莉子、桑野みゆき、沢村貞子、山村聰、日守新一、田浦正巳

役所勤めの松子(岡田)は、家の事情から同僚(佐田)との結婚が破談となり、自暴自棄になる―。堕ちていく女を岡田が力演した悲劇的メロドラマの傑作。どうしようもない弱虫男の役をもモノにする佐田の演技力たるや。

1957(S32) 松竹大船／カラー／2時間40分

■ 監督・原作・脚本＝木下惠介
■ 撮影＝楠田浩之／音楽＝木下忠司／美術＝伊藤憙朔、梅田千代夫
■ 出演＝佐田啓二、高峰秀子、田村高廣、桂木洋子、有沢正子、中村賀津雄、三井弘次

海の安全を守るために灯台で暮らす人々がいた―ある灯台守の手記をもとに、その想像を絶する過酷な生活を、戦中戦後の25年にわたり描いた感動巨篇。全国各地の灯台で敢行したロケ撮影の壮大な映像も見応えあり。

1957(S32) 松竹大船／カラー／1時間43分

■ 監督＝中村登／原作＝井伏鱒二
■ 脚本＝椎名利夫／撮影＝生方敏夫／音楽＝黛敏郎／美術＝熊谷正雄
■ 出演＝佐田啓二、岡田茉莉子、伊藤雄之助、西村晃、中村是好、花菱アチャコ、小林トシ子

井伏鱒二によるユーモアたっぷりの短編を映画化したロードムービーの大傑作。急死したアパートの大家が遺した幼子のため、住人の男女が家賃回収の旅に出る―。したたかな女・岡田とマイペースな男・佐田のコンビが最高！

1958(S33) 松竹大船／カラー／1時間38分

■ 監督＝大庭秀雄／原作＝舟橋聖一
■ 脚本＝猪俣勝人／撮影＝生方敏夫／音楽＝池田正義／美術＝浜田辰雄
■ 出演＝有馬稲子、佐田啓二、杉田弘子、小山明子、水戸光子、笠智衆

鉄道自殺を目撃して事情を聞かれた木曽(佐田)は、関係者だという花絵(有馬)と知り合い、何かと世話を焼くが、やがて二人の間には恋愛感情が芽生える―。現代的な女性たちの波乱に満ちた恋愛群像を描いた問題作。

1958(S33) 松竹大船／カラー／1時間37分

■ 監督＝中村登／原作＝梅崎春生
■ 脚本＝椎名利夫／撮影＝長岡博之／音楽＝黛敏郎／美術＝芳野尹孝
■ 出演＝佐田啓二、有馬稲子、小山明子、日守新一、三井弘次

ひょんなことで知り合った男とオンボロ邸宅で同居を始めた五味(佐田)だったが、その男は突然雲隠れし、代わりにおかしな奴らが次々訪ねてくる―。原作は直木賞受賞作で、佐田と曲者役者との掛け合いも絶品のドタバタ喜劇。

1958(S33) 松竹大船／カラー／1時間33分

■ 監督＝野村芳太郎
■ 脚本＝野村芳太郎、山田洋次／撮影＝井上晴二／音楽＝木下忠司／美術＝逆井清一郎
■ 出演＝岡田茉莉子、佐田啓二、高橋貞二、桑野みゆき、桂小金治、花菱アチャコ

思わぬ懸賞金を手にした平凡なサラリーマンと、偶然知り合った道連れの男が繰り広げる花嫁探しの珍道中！ 大船新三羽烏の佐田と高橋が主演した恋愛コメディで、東北・北海道の名所旧跡のロケも楽しいロードムービー。

1962(S37) 松竹大船／カラー／1時間53分

■ 監督＝小津安二郎
■ 脚本＝野田高梧、小津安二郎／撮影＝厚田雄春／音楽＝斎藤高順／美術＝浜田辰雄
■ 出演＝笠智衆、岩下志麻、佐田啓二、岡田茉莉子、東野英治郎、加東大介、岸田今日子

男手ひとつで育て上げた娘の結婚を心配する父親は…。軽みの中に老いの孤独を絶妙にブレンドさせた味わい尽きぬ小津の遺作。団地に住む長男を演じた佐田は、妻役の岡田に頭が上がらない夫を飄々と演じて最高。

1953(S28) 松竹大船／白黒／1時間56分

■ 監督・脚本＝木下惠介
■ 撮影＝楠田浩之／音楽＝木下忠司／美術＝中村公彦
■ 出演＝望月優子、桂木洋子、田浦正巳、上原謙、高杉早苗、高橋貞二、佐田啓二

温泉宿の女中で二人の子供を育て上げた戦争未亡人の悲劇的な末路――。戦後日本の闇を鋭く描き出した社会派ドラマで、佐田は主人公を見守る流しのギター弾きとして登場。主演・望月の体当たりの演技が忘れ難い。

1958(S33) 松竹大船／カラー／1時間36分

■ 監督＝中村登／原作＝北条秀司
■ 脚本＝椎名利夫／撮影＝生方敏夫／音楽＝武満徹／美術＝芳野尹孝
■ 出演＝伴淳三郎、佐田啓二、高千穂ひづる、淡路恵子、石浜朗、沢村貞子、大木実

持ちあげられ市議会選挙に出馬した銭湯の主人の周りには奇々怪々の輩が群がり…。伴淳の故郷・山形を舞台に繰り広げられる風刺喜劇の快作。佐田は東京から来て選挙参謀になる怪しげな男をニヒルに好演。

1959(S34) 松竹大船／カラー／1時間34分

■ 監督＝小津安二郎
■ 脚本＝野田高梧、小津安二郎／撮影＝厚田雄春／音楽＝黛敏郎／美術＝浜田辰雄
■ 出演＝佐田啓二、久我美子、笠智衆、三宅邦子、杉村春子、設楽幸嗣、島津雅彦

郊外の新興住宅に住む人々の何気ない暮らしを、卓抜なユーモアで綴る至福の名作で、庶民生活をいきいきと描き出した小津の真骨頂の一本。佐田は、子供たちに英語を教える、純朴で恋に不器用な青年を演じる。

1960(S35) 松竹大船／白黒／1時間27分

■ 監督・脚本＝吉田喜重
■ 撮影＝成島東一郎／音楽＝林光／美術＝佐藤公信
■ 出演＝佐田啓二、芳村真理、岩崎加根子、三上真一郎、織田政雄、佐野浅夫、柏木優子

リストラに抗議するため自殺を図った会社員は、マスコミの寵児になっていくが…。松竹ヌーヴェルヴァーグの旗手・吉田喜重の監督第二作。運命の荒波にのみ込まれる男を、佐田が苦悩の表情で鮮烈に演じた。