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2016.9.27

本邦初、落語のノベライズ! 直木賞作家による落語小説集『芝浜』

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本邦初、落語のノベライズ!  直木賞作家による落語小説集『芝浜』

「落語の人情世界」を読むのもまた一興!

 

 ありそうでなかった、落語のノベライズが登場! 著者は2002年「あかね雲」で第126回直木賞を受賞した時代小説の第一人者・山本一力(いちりき)です。

 

 表題の「芝浜」の主人公は、魚屋の勝治郎とその女房おしの。

 子宝に恵まれず、すっかり仕事にやる気をなくしてしまった勝治郎。

 信用をなくし、酒におぼれたあげく、借金も背負い人生どん底。

 ところがある日、勝治郎は芝浜で大金を拾います。

 人生一発逆転!と喜びいさむ勝治郎の姿をみて、

 おしのはある策を考え・・・。

 

  ‹‹財布も二分金も夢だったてえのか。

勝治郎が戸惑い見せ始めたのを受けて、おしのが口を開いた。

  「あたしが大事に大事に思ってきたかっつあんというひとは、拾ったお足で飲み食いしたり、掛けを払おうなどと、さもしいことを考えたりはしないひとだわ」

   おしのは背筋を伸ばして両目に力を込めた。

  「お酒や蒲焼を振舞うことになっためでたいことっていうのが、財布を拾った夢がもとだっただなんて、情けなくて悲しすぎるわよ、勝治郎さん」

  そんなひととは、これ以上一緒に苦労なんかできない。

  「今日を限りで離縁してもらいます」

  おしのが離縁を口にしたとき、境内に届いていた西日が失せた。

  勝治郎は定まらぬ瞳でおしのを見ていた››

 

 おしのの大きな愛に、勝治郎はどうこたえるのか? 夫婦の愛情をあたたかく描いた屈指の人情噺です。

 

 このほかにも、

 

・登場人物がすべて実直な善人で、明るい人情噺として人気の高い「井戸の茶碗」

 

・船場の商家を舞台にした大ネタ「百年目」

 

・一文無しの絵描きが宿代の代わりに描いた絵から意外な展開となる「抜け雀」

 

・江戸時代末期の名脇役だった三世仲蔵の自伝的髄筆をもとに作られた「中村仲蔵」

 

 全5話を収録しています!

 

 いずれも人情味あふれる、落語ファンに人気の演目です。

 さて、聴いてから読むか、読んでから聴くか、あなたはどちら?

 

『落語小説集

芝浜』

著/山本一力

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