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2016.9.1
犯罪者を見分けることはできない。防犯のスペシャリストはここをみている! 『子どもは「この場所」で襲われる』
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キーワード: 防犯 通り魔 小宮信夫 東京サマーランド 犯罪
犯罪者たちからわが子を守るためには?
この夏休み中も子どもを狙った事件が毎日のように報道され、わが子のことを心配された方も多かったと思います。連れ去りや性犯罪といった、子どもを標的にした犯罪に対する心がまえについて、日本人で初めてイギリス・ケンブリッジ大学大学院で犯罪学を学んだ防犯のスペシャリスト・小宮信夫氏は「日本の防犯常識は世界の非常識」だと警告しています。
‹‹学校の防犯教室では、いまだに「不審者はどうやって見分けるか」とか、「犯罪者に無理やり連れていかれそうになったらどうするか」といった、子どもに要求するには酷なことばかり教えています。いまどき「不審者」にみえる犯罪者はいません››
小宮氏は日本の防犯常識を、「人」に注目する「犯罪原因論」ではなく、「場所」に注目する「犯罪機会論」に切り替えていく必要性があると、著書『子どもは「この場所」で襲われる』のなかで強く訴えかけています。
‹‹犯罪者は「入りやすく、見えにくい」場所を好むという原則を理解し、こうした狙われやすい場所の見分け方を子どもに教えてあげればいいのです››
そして、危険な場所を知ることは、親や教師のみならず、安全な生活を送りたいと思うすべての日本人にとって、基本中の基本!
明るい場所、人の多い場所も危険!?
さらに本書のなかで、小宮氏はいくつかの日本の常識をくつがえす具体例を挙げています。たとえば、多くの人がいったことも、聞いたこともあるだろう、「暗い道に気をつけなさい」という常套句。一見正論のように思えますが、じっさい、犯行場所に選ばれやすいのは、「真っ暗な場所」ではないのです。
‹‹空き巣、強盗が発生する時間帯は、「午後2時から4時」が最も多く、「午前2時から4時までの」の2倍近い件数が起きていることがわかっています。実は犯罪者たちも私たちと同じで暗い場所は不安だし、明るい場所を好むと考えたほうがいいのです››
おなじく、よく使われる「人通りの少ない道に気をつけなさい」という言葉。これについても、小宮氏は真逆だといいます。
‹‹いざ犯行に及ぶ段になると、犯罪者は人から見えやすい場所は避けようとします。とはいえ、人通りが多いというだけでは見えやすいかどうかは決まりません。人通りが途切れることもありますし、逆に人通りが多すぎると人間は注意力が分散して、他人に無関心になりますから、そこは見えにくい場所になるのです››
8月21日に東京サマーランドのプールで起きた切りつけ事件は、まさにこれに該当するのではないでしょうか。また、人が多い場所では、ほかの誰かが気づくか、助けてくれるだろうと、つい期待してしまいますが、これもまた危険な先入観なのだとか・・・。
‹‹電車でわざと倒れてみて、乗客がその人を助けるかどうか。30人くらい乗っていると誰も助けません。自分が助けなくても誰かが助けるはずだと考えるからです››
‹‹しかし、乗客がひとりだけならば必ず助けにいきます。責任がその人にすべてかかってくるからです。
人が多いと、それが分散されてしまいます。これを「責任拡散論」と呼んでいます››
‹‹誰かが見てくれているだろう、誰かが助けてくれるだろうというのは、まったく根拠のない思い込みです。アウトレットモール、ショッピングセンター、遊園地、お祭り、運動会など、人が多い場所こそ、子どもから目を離してはならないのです››
避けるべきは「危ない人」ではなく、犯罪が起こりやすい「危ない場所」。「危ない人」かどうかは外見ではなかなかわかりませんが、「危ない場所」かどうかは判断する基準があります。本書を読んでから外出すると、「危ない場所」がいかに多いか気づくはずです。
小学館新書
著/小宮信夫
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