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2016.8.3

『菊池省三の学級づくり方程式』で子どもが変わる! 親も変わる!

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キーワード: 教育 学校 菊池省三 子どもの貧困 教師 生活保護 ほめ言葉のシャワー

『菊池省三の学級づくり方程式』で子どもが変わる! 親も変わる!

親のマイナス部分が子どもに

受け継がれていく"負の連鎖"

 

  ‹‹「将来、セイホ受けるから仕事なんかせん」――小学6年生の男子の言葉です。

「セイホって何?」と聞き返した私に、彼は「生活保護のことやん」と平然と答えました››

  ‹‹現在、日本の子どもの6人に1人が貧困状態にあるといいます。35人学級なら56人くらいの子どもが該当することになります。確かに大きな問題だと思います。

 しかし、ずっと以前からどの学級にも貧困家庭の子どもはいました。それでも、「セイホ受けるから」などと答える子どもはいませんでした。

 最近、次のような子どもの姿が気になるように感じます。

生活習慣が身についていない

教師や周りの大人を信頼していない。

 子どもの親に目を向けてみると、同様の傾向が見られます。つまり、親のマイナス部分が子どもに受け継がれるという負の連鎖が起こっているのです››

 

 家庭環境が厳しい子どもたちが集う小学校で、「ほめ言葉のシャワー」によって学級崩壊を次々に立て直した菊池省三先生。この実践が、2012年、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で取り上げられ、全国的に注目されるようになりました。

 

 学校管理職と中堅教師のための教育総合誌『総合教育技術』では、 この菊池先生の取り組みを詳細にレポート。毎回記事は好評を博し、現在も『菊池省三の学級づくり方程式』として継続連載中です。本著はその連載を中心にまとめた単行本『菊池省三流奇跡の学級づくり』(2014年刊)に続く第2弾! 菊池先生が現役教師として教壇に立ったラスト2年間の記録です。菊池先生は最後まであきらめず、「ほめ言葉のシャワー」で、「心の貧困」状態にある子どもたちの救済に取り組みます。

 

‹‹小学56年生の2年間受け持ったS君は、中学生の兄、母との3人暮らし。父親とは離婚しており、母親は生活保護を受けながら、パートに出ていました。

 親が家を空けることが多く、S君の家は不良中学生のたまり場になっていました。子どもたちが喫煙していても黙認どころか、母親もベランダで一緒に喫煙。当時小学4年生だったS君も、兄の仲間と一緒にたばこを吸っていました。

 夜遅くまで遊んでいるS君は、朝起きることができず、毎日遅刻を繰り返していました。‥‥‥授業もろくに聞かず、家庭で学習する環境も整っていないS君は当然、学習についていくことができません››

 

 菊池先生は、まず子どもとつながるため、一人ひとりのいいところを見つけるところからはじめました。問題を抱えている子どもたち、とりわけS君のいいところを学級みんなに広げていくようにしました。

 

 

「ほめ言葉のシャワー」で広がる""

 

‹‹S君は今、先生の方を見て話を聞いていましたね。一生懸命さが感じられます」とほめ、机に向かっていれば「やる気があるね」とほめ、「先生はS君のことを見ているよ」››

 

‹‹教師と子どもの縦の糸がつながったところで、子ども同士の横の糸をつなげていく取り組みを始めます››

 

‹‹「ほめ言葉のシャワー」をスタートしました。「ほめ言葉のシャワー」は、一人ひとりのいいところを見つけて、クラス全身がほめ合う活動です››

‹‹みんなからほめてもらったS君は、はにかんだような照れくさそうな笑顔になりました››

 

 学級の仲間に認められるようになると、S君はできることから少しずつ取り組むようになり、彼なりの頑張りを見せはじめます。

 また、そんなS君には、A君という友だちができました。A君のうちに遊びに行き、A君の母親という新しい大人に受け入れられ、素直に大人の言うことを聞くようになります。

S君の成長を実感した母親も少しずつ変わりはじめ・・・。

 

‹‹社会には様々な境遇の人がいます。教室も同じで、いわば社会の縮図といえるでしょう。悪い仲間のもとでは自分も悪くなり、良い仲間の中では自分も成長する。心が豊かになり、ありのままの自分を素直に出せる生き方を知れば、その後の未来につながっていくと信じています››

 

 さまざまな問題を抱えた子どもたちが、「菊池式学級づくりの方程式」で立ち直り、成長していく姿には"可能性"があり、明るく創造的な"日本の未来"が見えてきます。

 

『菊池省三の学級づくり方程式』

著/菊池省三  構成/関原美和子

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