入江泰𠮷が
半世紀をかけて撮り続けた
奈良大和路の名作写真を、
B2判超特大画面で掲載!
静かに心に染み渡る、
圧巻の224作品!

日本人の心の原風景が宿る地、奈良大和路。50年近くに渡りこの地のみを対象に、古代日本人の歴史の舞台を撮影し続けた写真家、入江泰𠮷。
なにげない風景の中に栄枯盛衰の歴史、万葉集に歌われた古代人の心を見出し、叙情豊かな写真として残してきた。

そんな入江の名作写真224点を、入江泰𠮷記念奈良市写真美術館開館30周年を迎える本年、同館の全面協力のもと、すべての掲載写真をオリジナル原板から最新のデジタル技術で再現。
入江が制作に関わった写真集を精査しつつ、入江自身がこだわった色調へと再生することに成功。またモノクロ写真の奥深い魅力を伝える。

さらに、入江が一枚一枚の写真に込めた思いを、過去の 著作物から徹底的に発掘。〝入江調〟といわれる名作写真が、どのような思いで撮影されたのかを解き明かし、72ページの解説冊子に掲載。

法隆寺、薬師寺、興福寺、東大寺などの古寺、名仏とともに、飛鳥、葛城、山の辺の道など、神話の舞台、万葉集ゆかりの地を捉えた風景写真も必見!

1905年(明治38)、奈良市生まれ。第二次世界大戦後の失意の中、ふるさとの美しい風景、すぐれた仏像に目を開かれ、 古寺遍歴を思い立つ。以降半世紀近くに渡って、四季折々の 大和路の風景を撮影、叙情豊かな風景写真と深い精神性を示す 仏像写真で「大和の美」を表現した写真集を数多く刊行。

80歳を超えても制作意欲は衰えなかったが、豪華本『東大寺』(小学館) 編集中の1992年(平成4)に急逝。享年86。2022年は 没後30年にあたり、同時に入江の意志で全作品を寄贈した入江泰𠮷記念奈良市写真美術館開館30周年を迎える。

  • 東大寺法華堂
    左:伝日光菩薩立像 右:伝月光菩薩立像
    ともに1968年頃撮影

  • 興福寺 阿修羅像 1973年撮影

常に仏への強い信仰の思いをもって撮影し続けた…
入江の仏像写真は、独特の静寂の空気に包まれている。

入江泰吉の仏像写真には、常に静謐な祈りが写し込まれている。
「心の構(かま)えが整わなければ、み仏の心は開かれない」と語り、仏像の成り立ちや背景を調べ尽くした上で撮影に臨んだ入江の仏像写真の名作は、B2サイズの大画面で見ることで、よりその意図が伝わってくる。

  • たそがれ薬師寺堂塔 1980年撮影

  • 三輪山薄暮 1979年撮影

〝滅びの美〟〝入江調〟と呼ばれる
叙情豊かな大和の風景写真。
夕刻に、月夜に、雨にけぶる日に、
もの悲しくも懐かしい。

多くの日本人の中にある大和路のイメージは、入江泰𠮷の写真によって生み出されたものと言われる。
神話や万葉集などの故事をひもとき、撮影の場所を精査し、思い描く完璧な気象条件を待ち続けて撮影した入江の風景写真は、唯一無二の存在感を示す。

  • 東大寺修二会
    左:食堂作法 右:お水取り 別火坊
    ともに1950年代撮影

  • 法隆寺東院夢殿
    左:昭和大修理完成落慶法要 右:夢殿 露盤宝珠
    ともに1985年撮影

貴重な仏教行事の深奥を捉えた写真の数々。
奈良に居をかまえ、奈良と共に生きた写真家ならではの貴重な作品。

東大寺の旧境内地に居をかまえた入江泰𠮷は、有名寺院で行われる仏教行事の撮影を特別に許される存在だった。
東大寺お水取りはもちろん、東大寺大仏開眼1200年記念法要、法隆寺昭和大修理完成落慶法要、薬師寺修二会花会式など、貴重な行事写真も本書のみどころ。

  • 中宮寺 菩薩半跏像
    左:1970年代撮影
    右:1950年代撮影(ガラス乾板)

  • 左:初夏室生寺五重塔 1979年撮影
    右:室生寺参道 1973年頃撮影

入江泰𠮷記念奈良市写真美術館全面協力のもと、
全掲載写真をオリジナル原板から
最新のデジタル技術で再生。

入江泰𠮷が亡くなって30年が経ち、撮影されたカラーポジは退色が始まっている。
今回、ガラス乾板を含むすべての写真を最新鋭のデジタル技術で再生、印刷データとした。
入江が直接関わった写真集を元に、入江自身がこだわった色調を再現することにも成功。