ファイア・ドーム 辻村深月

L県蒔戸市(えるけんまきどし)

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北陸地方にあるL県は人口二百万人ほど。縦に長い地形を持つ。気候や文化を語る際には、北地、中地、南地と県土を三分割した呼び方が一般的にされる。日本海に面した北地にある県庁所在地・皆岡市の南、中地に位置するL県第二の都市が蒔戸市である。蒔戸盆地と呼ばれる独特の地形を有している。

一郷屋百貨店(いちごうやひゃっかてん)

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蒔戸市で唯一のデパート。再開発が進むなかでも、開業当時の面影を残す外観はほとんど変わらない。館内は大型モールと比べるとやや照明が落ち着いている。地方都市に多く見られる百貨店で、かつてはお中元やお歳暮などの贈答品、スーツなどを買うときには必ず足を運ぶ場所として、多くの県民に知られた存在だった。

1994年の誘拐事件
(L県デパート受付嬢誘拐殺人事件)

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1994年7月13日、一郷屋百貨店で受付業務を担当していた女性のもとに、地元紙の記者を名乗る男から取材依頼の電話が入る。女性は退勤後、指定された待ち合わせ場所へ向かったが、その夜、帰宅することはなかった。翌日、同じ男から再び電話が入り、女性を誘拐したこと、また身代金として六千万円を要求することを告げた。事件発生から五日後、L県末並市笠山の笠蔵ダムにおいて、女性の遺体が発見された。

報道協定

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誘拐や立てこもりなどの人質事件が発生した際、被害者の安全を最優先するために、警察とマスコミのあいだで結ばれる。協定が適用されている間、マスコミは事件に関する報道を控える。その代わり、警察は捜査状況を平時よりも迅速かつ限定的に共有するものとされる。1994年の誘拐事件でも、この協定が適用された。

小蒔山(こまきやま)

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蒔戸市と皆岡市を繋ぐ標高四五〇メートルほどの小山。市街地からのアクセスが良く、休日には家族連れや学生の姿も見られる。山頂には公園施設や展望台が整備され、蒔戸盆地を一望できる場所として市民に親しまれてきた。1994年、誘拐事件と時を同じくして、この山の中で児童のひき逃げと思われる事案が発生する。

ファイア・ドーム 辻村深月 2026年6月5日発売予定

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