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2022.3.2
なぜ人は争い続けるのか? 緊急重版!『奇跡に出逢える世界の聖地』(稲田美織/写真・文)
この記事は掲載から10か月が経過しています。記事中の発売日、イベント日程等には十分ご注意ください。
9.11を偶然目撃してしまった写真家が「調和の鍵」を求め、世界11箇所の「祈りの場所」に導かれて撮って綴った記念碑的名著。緊迫のウクライナほか、イスラエル、トルコ、チベット、ネイティブアメリカンの聖地、そして魂の源流・伊勢から、人類の未来へ送る渾身のフォトメッセージ。
世界中がウクライナを注視している。
ロシア・プーチン大統領によるまさかの軍事侵攻により、美しいウクライナがまさに地獄絵図と化し、核戦争勃発、第三次世界大戦突入がいま現実味を帯び始めているからだ。
「ここ数日かなり緊迫していて、不安でいっぱいです。いざという時にどのように退避すればいいのか考えているところです」。首都キエフ在住で元駐日ウクライナ大使館文化担当のマリア・ペヴナさんから、深刻な状況がメールで送られてきたのはロシアによる軍事侵攻が始まるわずか数日前。
日本とのプロジェクト・コーディネーター・通訳として活動するマリア・ペヴナさんが企画した日本ウクライナ国交樹立30周年記念展覧会「ウクライナ・日本 心の響き」が昨年12月から首都キエフの国立ウクライナ書籍・印刷博物館で開催されており、コロナ禍、そして非常事態下にもかかわらず、好評のため3月まで延長されることになったと連絡があった直後のことだ。
日本から約8000キロ離れているウクライナは実は大の親日国。小学校では松尾芭蕉の俳句、高校では川端康成の小説「千羽鶴」が教えられるというから驚きだ。
しかもキエフ近郊のチェルノブイリ原発事故を経験するなど、奇しくも日本との共通点も多い。
展覧会は写真家・稲田美織氏の作品に心酔するマリアさんが3年ほど前から企画し、稲田氏の「伊勢神宮」の写真とウクライナの著名な画家オレクサンドル・イワフネンコ氏の絵画が同時に展示されたものだった。
「今回の展覧会は日本の魂である“伊勢神宮”の写真とウクライナの伝統的な景色や情景が描かれた絵画を一緒に展示することによって、表面的には異なっていても、根底では通じ合っていることを表現したいのです。稲田さんはNYで9・11を目撃して以来、調和のカギを探し求めて世界中の聖地を撮影し続け、日本人の心、調和した世界、自然とのつながり、循環共生思想の大切さを発表している。その日本の美しさや魅力は、ウクライナにも通じるものだと確信しています」(マリア・ペヴナさん)
稲田氏とウクライナとの関係は十数年前に遡る。
「当時、駐ウクライナ大使だった馬渕睦夫氏からウクライナを撮影してほしいとのオファーがあり、1か月近く滞在して各地を撮影し、その後も数回行きました。街の電柱にコウノトリが巣をつくっていたのには驚きました。またキエフから飛行機で1時間くらいのイワノ・フランキフスク州を訪れた時には木造の教会が建っていて、どこか日本と通じるものを感じましたし、昔の人は木を大切にする精神から一生にたった一本の杖だけを作っていたという話が大変興味深かったです」(稲田氏)
2008年にはウクライナ大使館の主催で東京農大において「ウクライナの魂」という稲田氏の写真展も開催された。
稲田氏はのちにこの『奇跡に出逢える世界の聖地』(小学館)のなかで美しいウクライナの写真とともに以下のように綴っている。
“森、そして自然によって人々が生かされていることを理解し、自然への畏敬の念のようなものがあるのだろう。あちこちに磐座(いわくら・神様が降臨するといわれる岩)のような巨大岩があって、その頂点には小さい十字架が立てられていた。また、木造教会の建築方法は神社やお寺に通じるものがあり、門や入り口には対でメープル、白柳(しろやなぎ)、樫(かし)の枝が飾ってあった。それはまるで、神社の鳥居や建物に供える対の榊(さかき)のように見え、その共時性に心から驚いた。”
写真家の目線は日本とウクライナの本質的な親和性を見抜いたのだろうか。
そして、さらにキエフの聖地ペチェルスカ大修道院を訪れた時の気になるエピソードも稲田氏は綴っている。
“ここの神職の方が不思議な話をしてくれた。聖クリメントの頭蓋骨から2000年近く湧き出る奇蹟の聖油は、ソ連時代には一滴も出なかったそうだ。私は思わず手の甲に塗られた油の匂いを嗅いでみた。全く何の匂いもせず、あっという間に手に塗られた聖油は、跡形もなく消えていた。それはあまりにも不思議な出来事だった。”
2月25日夕方、マリアさんから「車に子供ふたりを乗せ、ポーランド国境付近まできた。電波も悪く、今後はメールを返せなくなるかもしれない」とのメールが届き、展覧会は中止となってしまった。
これまで幾度となく繰り返されてきた「戦争」という愚行がまたしても始まってしまった。
<本文&見出し>から
●7世代先のことを考えて生きる (ナバホ族の聖地 レインボーブリッジ)
●原子爆弾とホピ族の予言(ネイティブアメリカンの聖地)
●我欲のために滅びたアトランティス(ギリシャ)
●巨大な地下都市で人々は祈っていた(トルコ・カッパドキア)
●ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の中心である岩のドーム(イスラエル・エルサレム)
●太古の記憶が木を通して書き込まれる(パレスチナ・死海)
●人間の文明は自然の前では、一瞬で無力なものなのかもしれない(カンボジア・アンコールワット)
●ラサに到着した晩に不思議な夢をみた(チベット・ラサ)
●ケルトから続く霊性(フランス・モン・サン・ミッシェル)
●世界で一番古くて新しい聖地(日本・伊勢)
