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2019.9.8

三浦綾子の世界をもっと知りたい、あなたへ――。『ごめんなさいといえる』

三浦綾子の世界をもっと知りたい、あなたへ――。『ごめんなさいといえる』

許し、許されることの意味を、そっと教えてくれる優しさに満ちたエッセイ&インタビュー集

名作「氷点」誕生50年を記念して、刊行された単行本が、待望の文庫化。作家デビュー当時の頃から1990年代まで、幅広い時期のエッセイを収録しています。

 

第一章では、「氷点」応募にいたる経緯や、新聞連載中の読者からの反響、自身が行った講演の模様など、知られざる秘話や逸話を紹介。

また、二人三脚で作品を作りだしてきた夫・光世氏の当時の日記を初公開します。

さらに、その日記について行われた光世氏の特別インタビューを通して、執筆時の二人の生活ぶり、入選までの様子など、名作誕生のエピソードを披露

 

‹‹――1963年1月9日の日記に「綾子、数日前から長編に着手」と書かれていますが、「氷点」はいつごろからどんなふうに書き始められたのでしょうか?

 

光世 元日には私たちはいつも近くに住んでいた綾子の両親のところに新年の挨拶に行っていたんですが、その年もいつもと同じように行きましたら、綾子の母が「秀夫が外出する時に、綾子姉さんが来たらこれを読ませるようにといって出て行ったよ」といって、1000万円新聞小説募集の社告の載っている朝日新聞を渡してくれたんです。それを見た綾子は「あら、私には関係ないわね」といっていました。ところが家に帰って寝て、二日の朝になると、綾子が「昨夜長編小説のあらすじができたの、書いてもいい」というんです。それで私は「ああ、読んでくださる方に勇気と希望を与えるものが書けるといいね」というと、綾子は「あら、嬉しいわ。じゃ書くわね」といって書き出しました。››

 

第二章では、「積木の箱」「泥流地帯」などの作品や支えてくれた忘れ得ぬ人たちへの思い、小説執筆以前に詠んでいた短歌創作の原点について綴った文章を収めています。

 

作家である三浦綾子を形作ってきた多くの物事が、愛すべきものとして浮かび上がる一冊。

控えめでありながら、素直で瑞々しく感性に満ちあふれた文章から、著者の生き生きとし心の動きが伝わってきます。

 

解説は、田中綾さん(三浦綾子記念文学館館長/北海学園大学教授)です。

 

‹‹印象的なタイトル『ごめんなさいといえる』は、第一章所収の「〝原罪〟とは何か」からとられている。インタビューに対して、三浦綾子が「氷点」の陽子の役割を端的に回答しているが、明るく素直な陽子を、決して「肯定的に描いているつもりはない」と断言したところに凛とした表情が感じられる。

懸命に、「自分が一番正しいんだ」といいきかせながら生き抜いてきた陽子を、作者綾子は「神様から見れば一番愛されない人間なの」と突き放す。けれどもそのうえで、そんな自分に気付き、神にも他者にも「ごめんなさい」といえるような人間になることこそ、大切だ、と説く。

人間は、弱い。弱いもの同士であるからこそ、神にも人にも「ごめんなさい」といい、かつ、他者をもゆるす寛容さが大切なのだろう。互いの弱さを認め合うことが、今の自分にはできているだろうか――私たち読者一人ひとりに、その問いが向けられているようにも思われる。››

 

小学館文庫

『ごめんなさいといえる』

著/三浦綾子

 

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