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2018.12.24

「絶対に不可能」といわれた業界の常識を覆した『世界に⼀軒だけのパン屋』

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「絶対に不可能」といわれた業界の常識を覆した『世界に⼀軒だけのパン屋』

地産地消で年商10億円、行列の絶えない奇跡のパン屋

流行りのブーランジェリーが林立する都立大学駅付近で、ひときわ異彩を放つ人気のベーカリーがある。

「満寿屋商店」。

小麦粉のいい香りがベストセラー作家の胃袋をトリコにした。

 

‹‹とろ~りチーズパン、あんパン、クリームパン、あんドーナツ、ネジリドーナツ、カレーパン、白スパサンド、食パン、バゲット、チャバタ・・・・・・。

おいしそうなパンばかりだったけれど、わたしより早くから並んでいたお客さんたちがほぼ買いつくしてしまった後だったので、買えたのは食パンとあんパンだけだった。それでもまだラッキーだった。わたしよりも後に並んだ人たちは何も残っていなかったのだから。

その後も何度か満寿屋に行ったが、購入できたのは食パン、あんパン、バゲットばかりだったのである。

ずっと狙っていた白スパサンドを手に入れることができたのは五度目に訪れた時だった。白スパサンドはマヨネーズ味のスパゲティサラダを食パンにはさんだ炭水化物サンドである。満寿屋の白スパサンドは端っこまでスパゲティサラダが詰まっていて、しかも、ひと口噛んでも、中身のスパゲティがパラパラ落ちてくることがない。同種のサンドウィッチでは、たいてい、なかからスパゲティがはみ出て、落ちてしまうのである。味だけでなく、確かなサンドウィッチ技術がなければスパゲティという具材をホールドすることはできない。満寿屋はパンを焼くだけなく、調理技術もあるのだ。››

 

満寿屋は創業68年、本店は帯広で、同市および近郊に6店舗を持ち、2016年に東京進出した。

一見普通の店に見えるが、実は業界でも不可能といわれた国産小麦100%使用を成功させ、年商10億円を売り上げる、奇跡のパン屋だ。

 

じつは日本で獲れる小麦の大半はうどんやラーメン用で、それでおいしいパンを焼くことはできない。

父、母、息子・・・・・・満寿屋は三代前から、地元の農家を訪ねてパン用に新たな小麦を作ってもらい、その小麦にあった新しいレシピを探ってきた。

満寿屋の現在の社長・杉山雅則氏はその苦労をこう語る。

 

「当社のパンは小麦だけでなく、副原料も十勝産もしくは北海道産です。水は大雪山系の雪解け水、牛乳、バター、チーズ、砂糖、卵、小豆、じゃがいも、イースト菌・・・・・・すべてふる里のものです。私の父が国産小麦を使ってパンを焼こうと決めてから、国産にするためには二五年、かかりました」

 

安全、安心、そして究極国産パンを造ろうとチャレンジを続けてきた、世界でも希なパン屋3世代の熱いドラマを描く。

 

『世界に一軒だけのパン屋

地産地消で年商十億円 北海道「満寿屋」三代の奇跡』

著/野地秩嘉

 

【著者プロフィール】

野地秩嘉(のじ つねよし)

1957 年東京生まれ。早稲田大学卒業。ノンフィクション作家。著書に「キャンティ物語」「イベリコ豚を買いに」「ビートルズを呼んだ男」「高倉健ラストインタヴューズ」「サービスの達人たち」「トヨタ物語」など。2011 年に「TOKYO オリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。

 

☆ 代官山 蔦屋書店で、本と書店のコラボ企画始動!!

奇跡の国産小麦パンが出来るまでを描いたノンフィクション本と、この本に出てくるパンを同じ売り場で売る、新しい試みがスタート! 北海道帯広に本社を持つ、地元で地産地消の究極のパンを作っている満寿屋商店の三代にわたる、国産小麦パンを作るための熱いドラマを描いた本の刊行にあわせて、その満寿屋商店の人気の国産小麦パンを約2か月にわたって毎週末に書店で売るという新たな試みです。

■期 間:2018年12月1日から2019 年1月中旬まで

■場 所:渋谷区猿楽町17‐5

「代官山 蔦屋書店」3号館1 階のエスカレーター脇

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