お知らせ
2017.7.12
女性漫画家の開拓者“上田としこ”の生涯を描く! 村上もとかによる『フイチン再見!』最終巻発売!!
この記事は掲載から10か月が経過しています。記事中の発売日、イベント日程等には十分ご注意ください。
キーワード: コミック マンガ 満州 戦争 女流 漫画 まんが
完結第10集が発売されたばかりの『フイチン再見!』は、2013年より2017年まで「ビッグコミックオリジナル」(小学館)で連載された村上もとかによる作品です。
これは、まだ誰も歩いたことがなかった「女流漫画家」という道を拓いた一人の実在した「女」を主人公とした物語です。一人の少女が、戦前の満州ハルピンの高く広い空に、想像の絵を思いうかべた時から、日本の、女の、「漫画の歴史」ははじまったともいえます。
女流漫画家・上田としこ、彼女が青春を過ごした戦前・戦後は、女性漫画家などほとんどいなかった時代。そんな中で、上田としこは持ち前の明るさとガッツで、一人の女性として世間と戦い、女性漫画家として悩み作品を生み出していきます。時には担当編集や同士である女性漫画家とケンカをし、時には後輩の漫画家のために仕事を探し、自身を姉のように慕う手塚治虫の相談にものったりもしました。
“フイチンさん”に憧れた女性と話す上田としこ
「上田としこ」は、1917年生まれの少女漫画の黎明期に活躍した女性漫画家。代表作は『フイチンさん』で、この作品のタイトルの由来にもなっている漫画です。
上田としこは、幼年期を戦前の満州ハルビンで過ごし、一度日本に帰国するも再度満州に戻り、南満州鉄道で働きます。戦後、漫画家として活躍し、1957年に発表した『フイチンさん』(講談社)が大ヒット。その後、日本が高度成長期の時代に入り少女漫画家界の大御所的存在となっていきます。
作者の村上もとかは『龍-RON-』『JIN-仁-』 で歴史に翻弄される人々を描いてきましたが、今作でも、歴史に翻弄された、人生の、漫画家の大先輩・上田としこを一人の人間としてとても魅力的に描ききっています。とても丁寧な描写による、その時代時代の空気感と、戦前戦後の日本、漫画、そして上田としこの波瀾な人生を描いた『フイチン再見!』。幅広い年代の方々に読んでいただきたい作品です。
関連リンク