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2017.4.24
『シン・ゴジラ』『君の名は。』超え!! 第37回日本SF大賞受賞作『WOMBS』とは?
この記事は掲載から10か月が経過しています。記事中の発売日、イベント日程等には十分ご注意ください。
2009年より「月刊IKKI」(小学館)に連載され、
後半は描き下ろされて単行本全5巻が発売された、
白井弓子『WOMBS(ウームズ)』が、
第37回日本SF大賞を受賞しました!
「日本SF大賞」は日本SF作家クラブが1980年に創設した賞で、
過去の受賞作に『童夢』(大友克洋)、『帝都物語』(荒俣宏)、
『新世紀エヴァンゲリオン』(庵野秀明)など、錚々たる作品が連ねています。
そして、第37回日本SF大賞は、最終候補に残った――
昨年に社会現象ともいえるほどブームになった『シン・ゴジラ』『君の名は。』などを抑えて、
『WOMBS』が受賞しました!!
『WOMBS』の主人公は、マナ・オーガという若い女性兵士。
自らの子宮に「或る生物」の胎児を移植し、
月が満ちるまでの期間のみ「転送能力」を発揮し戦います。
“妊婦のような”女性だけで構成される特殊戦闘部隊。
そこに所属したマナの戦いと葛藤の日々が描かれています。
厳しくも魅力的な軍曹。彼女もお腹の中には…
「戦う女性」の物語は数多くありますが、
戦うのが「女性である意味」を持つところが、この作品の特徴です。
いびつな月が照らし出す碧王星(へきおうせい)。
そこで子宮に異星物の細胞を入れ、転送兵になって、異世界の座標空間に飛ぶ…
という世界観は本格SF作品そのものです。
さらに、戦争が当たり前となっている日常で、一般人だった主人公が入隊し、
自分たちの土地を奪った相手と戦う、という重厚な戦争作品でもあります。
一見SF作品に不向きのような、黒の濃淡を使い分ける水墨画のようなタッチ。
しかしその画風により、迫力のある戦闘シーンとともに、
戦争の暗さ、重さがより際立って描かれ、厳しい状況下での人間ドラマに深みが加わります。
「SF大賞」を受賞した本作品、SFファンには間違いなく受け入れられると思いますが、
“SF”というだけで敬遠してしまっている方にも、読んでいただきたい一作です。
『WOMBS(ウームズ)』白井弓子
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