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2016.4.22

新事実発見! 喜び、怒り、悲しみ、苦悩・・・昭和天皇の心象風景を綴る。 『昭和天皇は何と戦っていたのか 「実録」で読む87年の生涯』

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新事実発見! 喜び、怒り、悲しみ、苦悩・・・昭和天皇の心象風景を綴る。 『昭和天皇は何と戦っていたのか 「実録」で読む87年の生涯』

「昭和天皇」とともにあった「昭和の時代」

 

 4月29日は「昭和の日」。もともと昭和の時代に「天皇誕生日」の祝日だったものが、平成元年(1989)から「みどりの日」となり、その後「国民の祝日に関する法律」の改正に伴い、平成19年(2007)より「昭和の日」となりました。

 

国民の祝日に関する法律第2条では、昭和の日は、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」日とされています。戦後71年目の本年、1年に一度の「昭和の日」というせっかくの機会です。この国の未来を考えるためにも、昭和天皇とともにあった昭和の時代を見つめ直してはいかがでしょうか?

 

宮内庁が24年余りの歳月をかけて作成した「昭和天皇実録」。これは、全61巻、1万2137ページにもおよぶ一大歴史資料であり、超一級資料といえども読みこなすのは大変な作業になるであろうことは想像に難くありません。また、全巻完結が2019年3月の予定であり、残念ながら現在はその全体を把握することはできないのです。

 

 そこで・・・登場したのが、本書!

『昭和天皇は何と戦っていたのか 『実録』で読む87年の生涯』

 

昭和天皇に仕えた宮内庁長官・富田朝彦氏が付けていたメモ――いわゆる「富田メモ」は、昭和天皇が、A級戦犯の靖国神社への合祀に対して不快感を記していたことが注目を浴びました。著者の井上 亮氏は、そのメモを発掘し、2006年度の新聞協会賞を受賞した日経新聞記者です。

 

深い見識と取材経験を持つ著者が「実録」を丹念に読み解くことで、「人間・昭和天皇」の姿が鮮やかに見えてきます。本書では、昭和天皇87年8か月の生涯を、平易な言葉とダイアリー(日記)方式で綴っています。

 

そこには、水滴がコップに一滴ずつたまるがごとく、日本が「戦争」へと進んでいく姿が描かれています。21世紀の我々が、昭和天皇の喜び、怒り、悲しみ、苦悩を知ることは、「激動の20世紀」を"追体験"することにほかなりません。

 

戦後、昭和天皇を苦しめたものとは・・・?

 

本書で大きく取り上げられているテーマのひとつが、「戦後の昭和天皇を苦しめていたもの」です。戦前の軍部と昭和天皇が対立していたことは、すでにさまざまな資料で知られていますが、戦後の昭和天皇の葛藤について論じられることは、そう多くはありませんでした。著者は「実録」をもとに、戦後の昭和天皇の心象風景を描きます。

 

激動の時代を、昭和天皇の人生をともに歩んだかのような体験ができるのと同時に、「実録」の全体像がすべてわかる貴重な一冊です。

 

「昭和天皇は何と戦っていたのか

『実録』で読む87年の生涯」

著/井上 亮

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